#39 ミレニアノールの記憶
グスタークが死の恐怖と戦い、薬液に抗っている時の事
ミレニアノールの本体とも言える大樹の種子がひとつ………人間の体内へ入り込んだ気配を感じた直後
激しい共鳴が始まり、自身でも初めてな程に自身の身体の制御が効かなくなった
そんな事は初めてで、とにかく原因を探ろうと慣れない力を使いながら原因を探す
このままでは人間の身体が壊れると思った
精霊でもなく、エレーンでもない……ただの人間の子供
そんな存在が大樹の種子を受け入れることなんてできるわけが無い
そして、ひと月を費やして、ようやく見つけたそこには、他者の魔力を無理やり奪って、ひとつの身体へと集約させている違法集団の研究施設で、見覚えのある子供が種子の依代にされていた
そして、違法集団の目的は精霊界にしか無い大樹をこちらに新たに召喚し、それを自身達で制御し、擬似的に作った大樹の王を使って世界を自身達で動かすことだった
それでも、人の器には重すぎるモノ
何度も眠りながらも助けを求めるかのように彷徨うまだ幼い人間の子供の手が水の中で動く
聖獣や精霊達が愛し、大切にする存在がそんな仕打ちを受けるのは、統治する存在としては許せなくて、ガラスに手を触れる
日々が入るだけのガラス
子供が触れても割れるわけがない
子供が微かに目を開け、目があった
その瞬間、いけない!そう思い目を逸らした
だけど、それは遅かった
起きてはいけない事が起きる
種子の力と、悔しくも研究は完璧だったらしい
二人は混じって、そして、人には到底制御できる存在ではなく、不安、恐怖、拒絶、嫌悪、疑心
そして、それまで無かった殺意だけが二人の中で入り混じって、不本意なこちら側での誕生となり、そして王の力に応えるかのように小さな木が大樹となった
辺り一帯が森となり、研究者達は歓喜し、そして制御しようと躍起になった
だが、負の感情を糧にした負の大樹の王を……入り混じった二人ですら制御できない存在を制御できるはずも無かった
一人の研究者を除いて全ての研究者を殺し、そして大樹の周囲には負の感情から呼び出された魔獣達が蔓延り、討伐隊もそう長く魔獣の相手ができる筈がなく、何度も撤退していく姿を目にしていた
そうして、一つの国を滅ぼした所でバタディーク王国と他国の連合部隊がやって来た、と言う事だった
おはようございます
身体は朝に起きるものですねぇ、夜勤したのに




