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【閑話2】 あの日の自分は……

ねむいけど起きなきゃ……

「う……?」



辺りをきょろきょろと落ち着き無く見渡す幼い子供



そんな子供を心配して周囲を浮遊するすけている存在は声をかける



『こらグスタ、余所見してたら逸れるだろう、ルーシスが心配する』



「りゅ、しゅ、?」



上を見上げて首を傾げる子供、グスタークに聖獣王リヴァストは額に手を当ててため息をつく



『あー……人の言葉に不慣れだなぁ、グスタ』



頬を両手で包んで話しかけてやるとグスタークは少し何かを考えた後、表情を変える



「ふぅ?へぇっ……」



『笑うの下手くそだなぁ、グスタ、行くぞ』



リヴァストはグスタークの手を少し引っ張って、解りやすいように人を真似て歩く



仲間の精霊、聖獣達に見られたら驚かれる事間違い無しの優しい顔



だが、グスタークにとってはリヴァストの表情はこの顔である



「にゅ、りぶと?」



『ルーシスと』



「ぶー……」



ふくれっ面になったグスタークにリヴァストは苦笑しつつ嬉しそうに笑う



あまり人と上手く行っていないのは知っているのだが、流石に甘やかしてしまうと更に溝が生まれてしまいそうなのでどうにか軌道修正をしているリヴァスト



そんなこと知らないのか幼いグスタークには通じていないけど



『後で遊んでやるから、な?』



「うーっ!やーっ!」



うえーん!とギャン泣きし始めてしまったグスタークにリヴァストは頭を抱える



取り敢えず泣きやませようと抱き寄せて頭を撫でてもギャン泣きは収まらない



相当嫌なのだろうことは分かった



『なんでお前は駄々っ子すんだか』



そうこうリヴァストが頑張っていると………



「グスタ、どうした?」



「ふぇ!」



「うん?………妖精か?」



リヴァストは額を抑える



すぐにリヴァストに抱き着いて、家族には人見知りをするグスターク



リヴァストは空を見上げる



『はぁぁ………やっちまった………悪いなルーシス』



「やっ!やっ!」



グスタークはルーシスを払い除けるように手を払う



『どうしたグスタ!?自分の兄貴だろ!?』



「なとすりふぃるすと(ぐすたしらない)!」



『グスタ嘘だろ!?ここにきて家族拒否は洒落にならねえんだが!』



「………まさか、シューフェ語!?グスタ!人語よりも精霊様方の言葉を覚えちゃったのか!?」



『その点は本当にすまん……』



リヴァストは姿隠しの術を使っているからルーシスには言葉は届かない



だが、ひたすら謝るしかない



懐かせすぎた



「なとす、りゔぃりすた、けるす(グスタ、リヴァストと、いる)」



『グスタ、人の言葉話そうな』



「ふえ……」



『え"〜………子供難しいなぁ……』



「りゔぃりすた、しゅなず?(リヴァスト、なんて?)」



リヴァストはしゃがみこんでグスタークを撫でる



『ナトス、ヨルフェシュタークド、ヨルフルスフィストルディ(グスタ、人の言葉も覚えるんだ、お前は人なんだから)』



「しゅなでぃす!?(どうして!?)」



ルーシスは先程から独り言状態のグスタークを青ざめた顔で見つめて固まっている



そう、精霊、妖精に魅入られた子供の一生についての伝承を知っているから



「ぐ、グスタ、グスタが連れて行かれるぅぅぅぅ!」



その言葉に、その日グスタークに会いに遊びに来ていたアルブエストや、家族や執事、メイド達が買い物をやめて戻って来る



「グスタ!」



母に抱きしめられたグスタークはほぅ、と息を吐く



母親には人見知りしないグスタークにリヴァストも安心する



ルーシスが頭を撫でる



母がいるからか拒絶はしない



だが、ふと顔を上げた瞬間、グスタークは顔を覆って母を突き飛ばす



「あ、あっああああああ!!」



リヴァストは思い出した



つい最近、獣人族に怖い目に合わされてしまったのもあって大きい大人が駄目らしい



『なんで俺はいいんだか……ナトス』



「………?」



恐る恐る見上げてくる小さな瞳は今にもコロッと出て来てしまいそうなほど大きい



リヴァストは苦笑しながらグスタークを抱きしめる



そのまま優しく頭を撫でていてやるとグスタークは胸元に抱きついたままなので、リヴァストは各幼少時の儀式の内の一つを熱で欠席しているグスタークを心配する家族を見つめながら頭を掻く



『せめて臨時儀式終わってからだったなぁ……』



リヴァストはグスタークを上に向かせて額にキスをして、シューフェ語で『お前のお兄ちゃんも父さんもお前が心配なんだよ』と伝えると、グスタークは恐る恐る兄と父を見る



「ぐ、グスタ?」



「……グスタ、大丈夫か?」



グスタークはリヴァストに背を押されてルーシスへ恐る恐る手を伸ばす



「………落ち着いたか?ター……」



「しゅな」



「ん、ん?」



『グスタ、人の言葉は?』



「な、ぃ?」



『なに、だ』



「な、にぃ?」



ルーシスは頭を撫でて微笑む



「こわいの、なくなった?」



ルーシスはゆっくり話してやる



グスタークは頷くとルーシスの胸元に収まる



『早く大きくなれな、グスタ』



リヴァストは立ち上がり、少し離れる



それでまた不安そうな顔をするもんだから近くにいるだろ、とリヴァストはシューフェ語で言ってやる



「…………と、とー?」



「うん、どうしたグスタ」



「……とーしゃ」



ノイドは嬉しそうに微笑む



その微笑みにグスタークはようやく安心してノイドに抱かれる



メイド達もウズウズしているがノイドは離さない



「グスタ、まだ精霊様方のものにはならないでくれな……」



ノイドの切実な言葉にリヴァストは歳取って死ぬまでは連れて行かねえよ………と…苦笑した



その数年後、本当に儀式を受けなかったからなのか、まさかあんな事になるなんて思っていなかったけれど…………





リヴァストは甘いですが理由がありますので今後それかけるといいな

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