#32 ソノ頃
「最近、魔力を多く保持している人間が誘拐されているという報告は受けていたそうです……」
『俺はそんな話聞いてない』
リヴァストはあの日以来、なぜか洞窟に篭ってしまっている
ヘルミーナやルーシスが訪問しても洞窟の中から姿は見えないが声だけは聞こえる、という状態
ルーシスは洞窟に向かって話しかけ続ける
「我々の国に話が届いていなかったそうです」
『何故だ』
「異変を知らせるための使者を殺されていたからです」
『そうなる前に対処しなかっただろう』
「リヴァスト様、グスタは生きている筈です、どうか、ヤケは起こされませぬようお願い申し上げます」
ルーシスは洞窟を去る
『………んな事はわってんだよ……』
あれから、あまり外には出てはいない
だが、何もしていない訳ではない
各国の眷属達からの情報を見て、どこかで見ていないかを見つける為に一人でいる
ルーシスやヘルミーナには悪いと思う
だが、リヴァストの優先順位は一生、グスタークが生きている限りは変わることはない
『……入れこむもんじゃねえな……』
リヴァストは苦笑する
『グスタ、それでも、お前もミーナやルーならこうなってたよな……』
リヴァストはまた目を伏せて情報を集め始める…………
ねむいですひたすらに




