#31 痛い痛イいタイ痛イ
眠さに負けながら仕事していた私です
休憩時かーん
「ん"ッ………ったぁ……」
グスタークは痛む身体を押さえながら身体を起こす
本来あるべき部位の感覚がなくてその部位のあった場所を触ると、そこには何もなかった
「………そりゃぁ、いたい、よな」
グスタークは辺りを見回して、そして絶句した
其処は、ラウデリッシュの王城の地下
ゾンビが居た場所だった
そして、その周りには何人いるのだ、という程の人間達が、グスタークと同じように困惑しながら辺りを見回している
「な、んだ、此処」
「此処は研究場所だよ、私達のね」
グスタークはその声に悪寒と恐怖と既視感を感じた
片腕は何処かに繋がれているらしく、逃げを打ったはずの身体はただ無理に引っ張ったせいで生じる痛みと反動に負けてグスタークは地面に転がる羽目になった
「片腕を無くしてしまったんだね、でも大丈夫、私の研究なら君の腕もきっと綺麗になるよ」
グスタークに触ろうとする研究者らしき男と、その後ろでこの暗い中書類を見たり書いたりしている女や男にグスタークは吐きそうな自身を律して男から出来るだけ距離を取る
だが、すぐにグイグイ距離を詰めて聞きたくもない研究の話をしてくる
そして、グスタークが浄化したゾンビは、元々この研究で誘拐され、死んでしまった人達だった
「まあ、彼らが龍脈に縋りついたせいで、研究は暫く動かせなかったけど、おかげで君が来てくれた……君が城に連れてきたあの男、あれも攫いたかったんだけどなぁ」
男のその言葉に、グスタークは一気に殺気を漏らす
「ああ、大丈夫、君さえいればいいんだ、ここにいる彼らは君の為の玩具なんだ、暇潰しと自我を正常にしておくためにね」
男は懐から封印呪札を付けられた硝子の封印物に眉がぴくりと動く
「大きいが、何かの花の種……か?」
小さな声で呟いたが、それなりの近さ
それ故に男にはよく聞こえたらしい
「流石バタディーク次期国王のグスターク様!」
グスタークはギリッと歯を軋ませる
「国王になる気なんて微塵もない!」
男はその言葉を聞いて、口角を気持ち悪く持ち上げて、気色の悪い笑みを浮かべる
その笑みは不快でしかなく、グスタークは足で男を攻撃しようとする
「ふんッ!」
「おっとととっ」
避けられたが、距離を取ってくれたので良しとする
「君が王にならないのなら、それなら良かったよ、私もね、君を見たその日から、君しか居ないんじゃないかって思っていたんだよ」
グスタークの後ろから研究員達がグスタークの身体を押さえ付ける
周囲の人間達も、拘束されている中で研究員達を怒鳴りつけ、やめろと言って止めようとしてくれる
だが、グスタークの抵抗、周囲の声を聞いてもそいつらにとってはただグスタークは研究材料でしかない
男は小瓶の蓋を開ける
その瞬間、それが何なのかを理解し、そして身体が必死で逃げろと信号を出し始めた
男を蹴ろうと足を動かす
それすら押さえつけられてもグスタークはそれだけは阻止しようと口を開く
「《我を護れ【ミストルティン】》!」
グスタークは障壁を作る
だが、何時もよりも魔法発動に時間がかかり、なかなか魔力も集まらずに【ミストルティン】が発動できない
グスタークにとって、【ミストルティン】は瞬発的に使える得意魔法の一つ
だからこんなに力を収束できない事に焦りを感じる
「ここは新しいゾンビ達に龍脈へ集らせているから、散々戦った君の体内に魔力が無い限りは魔法は発動しないんだよ」
男は小瓶をグスタークの体絵躊躇なく突き刺す
微かな魔力に反応したのだろう
小瓶内にあった種子がグスタークの身体の中へ侵入してくる
男は小瓶だけを引き抜いて他の研究員に見ているようにと言って小瓶を投げ捨てた
「ッがっ!あ"っ!う"あっ、あっああああ!り"ぃっあがっあっひぎっ!あがぁぁっ!」
グスタークの体内に入り込んだ種子が体内で芽を出して、その激痛にグスタークは地面に倒れ込んで藻掻き苦しむ
あまりの激痛に他の場所が怪我をしようが関係なく暴れ泣き叫び続けるグスターク
言葉には出来ない、だが、今心の底からリヴァストへ助けを求めるグスターク
微精霊でもいい!とグスタークは手を伸ばして藻掻く
届いた微精霊を握り締め、それからも激痛に絶叫し続ける
男はグスタークの前で膝を折って興味深そうに観察する
「あっぎっんぎっ!あ"え"っ、り"っ」
「君はやはり凄いね、他の人間達ならもうゾンビになってたよ」
グスタークは男の首めがけて鋭くした爪を振りかざす
殺さないと、コイツだけは今ここで!とグスタークは痛みを堪えながら攻撃をし続けるが、攻撃する度に全身へ種子が攻撃し激痛が走り続ける
「さあ、まだまだ時間はかかるだろうが、頑張ろう、グスターク・フォン・リンディハイム君」
グスタークは微精霊から手を離し、耐えられずにのたうち回る
痛い痛い痛イ痛い痛いイタイ痛いイタいイタイイタイタい痛いイたイ
脳内にそれだけが走り続ける
男の顔は醜い笑顔が張り付いたままだった…………
ねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむいねむい




