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#30 魔力の枯渇が原因というわけでも……

本日は夜勤なのでこの時間に投稿させて頂きます




「バタディーク王国より参りましたグスターク・フォン・リンディハイムと申します!応援に参りました!ラウデリッシュ国王に謁見させて頂けないでしょうか!」



『グスタ、兵の様子がおかしい』



ウィルナスは辺りを見て怪訝そうに言う



「うん、前はもっと……」



『………何故だ、扉は開いているみたいだが……』



グスタークは扉を押すと、容易く開く王城の扉にギョっとする



慌てて中へ入ると、兵達の数は少ない上に、門番達は外に居る国民達よりも疲弊していた



「………魔力が、枯渇している」



『ああ、どうする』



「………【魔力分配】」



スペルだけで辺りに魔力を与えるグスターク



少し楽になったらしい兵達だが、それでも回復には至らない



ただ、幾分か顔色が良くなったかな?というくらいの変化



急いでグスタークは王に謁見する為にナタリシアの力を借りて王室に向かう



『何故ここまでになるまでに助けを求めんのだっ』



「ウィル、変だと思わないか」



グスタークは王城を見つめながらそうウィルナスへ声をかける



『何がだ』



「王城の方が魔力の枯渇が酷い、これじゃ……港からの発生じゃなくてここからにしか……」



『……王室だぞ、そんな事するか?』



グスタークは王室前で足を床へ下ろす



今は取り敢えず国王の事を優先しよう、と扉に手を掛ける



「……嫌だな、俺こういうの嫌いなんだよ」



嫌な予感しかしないような事とか特にね、とグスタークは呟く



『知っている』



「……ラウデリッシュ国王陛下に拝謁したく存じます!私はバタディーク王国使者のグスターク・フォン・リンディハイムと……」



グスタークはまた突然襲ってきた不快感と悪寒に後ろへ振り返る



全身の鳥肌、何故か震える身体にグスタークは戸惑う



『どうした』



「いや、だ、だいじょーぶ、と、思う……けど、長居はしたくないかな」



『ああ、そうした方がいい、死臭がする』



グスタークは眉を寄せて溜息をつく



扉へ向き直ると、グスタークは一息つく



「はぁ……私はバタディーク王国使者のグスターク・フォン・リンディハイムと申します!失礼致します陛下!」



グスタークは扉を開く



だがそこには人一人居らず、グスタークは舌打ちをする



「ウィルナス!兵達をひと所に集めて治療!俺は国王を診る!」



『得意じゃないが仕方がないな、行ってこよう』



ウィルナスは走り出し、目に入ると抱えて一時的に異次元空間へ人を預けるようにして広そうな部屋に人を集めるために動く



他の応援に来ていたらしい国の兵士達までもが同じくして倒れている現状にウィルナスは不味いなと口にする



グスタークはと言えば、失礼とは分かっていても焦りながら王の眠っているだろう寝室へ足を踏み入れる



疲れながらも必死に治療している治療員達にもう良い、とグスタークは声を掛けて、治療員達はグスタークの顔を知っているのでホッとしてその場へ座り込む



グスタークは王の顔を覗き込む



ラウデリッシュ国王もまだ若い



まだ三十路で、そんなにすぐ弱るのか?と言うほど弱りきり、グスタークは取り敢えず魔力過多になり過ぎないように注意して魔力回復と体力の回復を測る



「……グスターク……様」



「陛下、詳しいことは回復されてからお聞きしたいと思っていましたけど、早急に伺わなければならないようですね」



「……原因が、わからないのです」



「なに…何故」



それなりの時間があった中で、何故か原因究明が出来ていないらしい流行り病や魔力の枯渇



これだけの規模の国で、幾ら何でも倒れる前に少しは情報収集できていると思った



国の情報収集で分からなかったということは、原因は外部から意図的にかもしれない



「始まりは今年の頭からです、海から上がる魚達が減って、港の者達もどんどん活気がなくなっていると報告を受けて視察をしたのですが、原因がわからず、そこから直ぐに港で流行り病が広がって、気がつけば王城まで」



「いや、ですが、王城の方が魔力が枯渇していますけど」



「魔力の枯渇は我々が民を助けようと遠隔で魔力譲渡を続けていたせいもあるかと思います」



「……なるほど」



ただ、遠隔だろうが供給が間に合わないのはおかしい



龍脈に何かしらの接触でもされたか、もしくは世界がおかしくなったか、である



「グスターク様………」



「ここ、地下ありましたね」



「あります、ですが、もう誰も案内できる者がおりません……」



王はグスタークの後ろで力なく座り込む護衛兵や執事たちを見る



正直、限界が来ていてもうまともに歩けるかもわからない



執事も立とうとするが力が入らないらしい



グスタークは執事を静止して、王に微笑む



「平気です、妖精達に頼ります、少ないですけど力は感じますので」



「お気をつけ下さい、貴方に何かあればノイド様や貴方への仇返しになってしまう、それだけは………」



グスタークは魔法で王の魔力と病を治す



治すと言っても一時的に軽くなっただけなので、養生は必要だけど



「ありがとうございます、お気になさらず、これで少しはマシかと、お休みください、それと、父はそんな簡単に仇なんて思う人じゃないですよ」



「すみません」



「王様がすぐに謝らないんですよ、ね、陛下」



「っ、はい」



グスタークは頭を下げて寝室を後にする



地下の部屋まではウィルナスの配下の精霊が案内してくれるようで、お礼で魔力を分けてやると、精霊は少し元気になったのかくるくるとグスタークの周りを飛び回る



そのまま地下へと続く扉の前にグスタークを誘って下へ降りて行く



………大体、三十分程だろうか



グスタークは口を開く



「……………すっくねぇ!妖精少ねえ!なんで!?」



地下に居た妖精達はグスタークから溢れている魔力を少し借りて少し元気になり始める



可哀想なほど魔力に飢えているが、離れなかったのは国の為なのだろうことはわかるので、グスタークは妖精達を撫でて力を与える



「………原因は港始まりな筈なのに、ここまで王城が枯渇するのは可笑しい……大樹からの供給だって、いくらなんでも………」



妖精達はグスタークへ事情を話し始める



漂う妖精達の言葉では、枯渇の原因はその大樹が原因な事



大樹の力が何故か国に入る前に堰き止められている



王がどうにかしようとしていた事



だけど、王も倒れた事



王が倒れたのは原因が別にあり、その原因までは解っていない事



他の国も多数応援に来てくれたが、それもすぐに魔力の枯渇が原因で流行り病にかかって滞在している事



上げれば切りがない現状にグスタークは頭痛を抑えようとする



地下を光で照らすと地下の大樹に繋がる龍脈に群がるゾンビ化した魔獣達が目に入る



ゾンビでも、生に群がる存在の為龍脈の力に縋っているのだろう



「《死に抱かれた哀れな者達よ、今救われん【purification】》」



グスタークは消えゆくゾンビ達を完全に見送った後、龍脈が正常に働くようになるまで観察し、正常と判断してから地下を去る



地下から地上に上がると、少しずつだが魔力がめぐり始めていてほっと息を吐く



「ゾンビのせい………だけか……?そもそも、この国の地下にゾンビになるような死体なんてないはず……」



グスタークはぶつぶつと呟きながら地下の扉を閉める



その瞬間、後ろから伸びてきた手にグスタークは気付いて身を翻し、攻撃をする為に一度距離を取る



その横から爆裂魔法を使われて窓から吹き飛ばされる



「っ!もう!本当に!悪いことに悪いことばっかり!」



グスタークは追い掛けて来る刺客達の攻撃を避けながらリヴァスト達のいる協会へ向かった……



そして、グスタークが地下へ降りていた間ウィルナスはと言うと、王城から兵達を全て協会へ連れて行き、グスタークの居る王城へ戻ろうと動く



リヴァストも警戒はしているし誰もが警戒していた



ある程度回復したらしい執事や護衛たちは王の側にいるので問題ない



そんな時だった



王城から爆音が響く



全員が振り返ると王城の窓からグスタークが吹き飛ばされて来た



「《【Call:ギオルギス】》!」



召喚魔法で従魔を召喚するグスターク



グスタークの頭から流れる血を見た瞬間、城に戻ろうとするウィルナスや、咄嗟に動いたハディレイ、ルシュテーカ、リュェラスよりも、ヘルミーナやルーシスよりも、やはりリヴァストが一番早く動いた



『《援護しろ【ギオルグ】》!』



リヴァストがグスタークの服を掴みリヴァストの側にグスタークが戻ったと、誰もが思った



思った瞬間だ



刺客は見えるのに、グスタークだけがその場から消えた



『は?』



「………逃げたか」



刺客もその場から消え、リヴァストは、グスタークは戻ると思った



だが、グスタークは戻って来ない



その瞬間、理解した



グスタークを狙う視線をグスタークは前々から気にはしていた



だけど、完全には気づけないほどの隠密力だった

刺客だけではなく、もう一つ居たのだと理解するのにそう時間はかからなかった



リヴァストは追いついて来たハディレイに肩を叩かれ、自身の手を口元へ充てがう



『や、られた………ッグスタが捕まった』



そこで全員が絶句した



ウィルナスもだ



リヴァストは、やられた、やられたッ!と何度も繰り返して殺気を垂れ流す



鋭い爪で自身の頭皮を引っ掻くリヴァストのその溢れる怒りの魔力にハディレイやウィルナス達ですら息を呑む



魔法を行使し続けていたグスタークは魔力もそれなりに使っている



そうなるように仕向けたのだとしたら……そう考えるだけでリヴァストの腸は煮えくり返る



「リヴァスト様ッ」



ヘルミーナはふと自身の近くへやって来た妖精に目を見やって、そして慌ててリヴァストへと声を掛けた



『ッ!うるせぇ!こっちはそれどころじゃッ「違います!この、この子が」妖精がなん………グスタのブレ………ッ!繋がりを絶ちやがった……!』



『リヴァスト!』



『今度はなんだ!』



『………この、なんだ………恐らくは』



リヴァストは、リュェラスに渡された物で暫く無言になったがさらに激怒する



リュェラスからリヴァストに渡されたのはグスタークの片腕だった



爆風で吹き飛ばされたのだろう



引き千切られて火傷の跡も酷い



激怒するリヴァストの後ろからカリュファーとナタリシアがやって来て背中へダイブしリヴァストは倒れ込む



『『リヴァストそんなことしてるひまない!アレクが察知していまさがしてるの!』』



リヴァストはハッとして二人を抱き上げて、そうだ、我忘れてる暇ない、と深呼吸をする



『お前らは空挺の力使って探せ、表面になければヨナーンに力を借りろ、リュェラス、ルシュテーカ、お前らは眼を使え、許可する、レティシア!』



『はい、リヴァスト』



『お前は周囲の微妖精達にも聞いて回れ、ガキ共の声はまだグチャグチャしてて俺には聞こえん』



『承知いたしました』



『他は暫くここの警護!』



精霊、聖獣達はそこから言われた通りに動き出す



リヴァストは溜息をついて、ヘルミーナの頭を撫で回す



ハディレイはリヴァストの背中を無言でトントンと叩いて仕事、と動き始めた



グスタークの火傷と血に塗れた千切れた腕を見つめながら、今にも泣き出しそうな程涙を目に溜めているリヴァストに誰も何も言えなかった……











ここからは本当にまだなんか書き上がってなくてお待ちいただくことになりますすいません

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