#29 自分の願いは誰かの為の願いである。
「想像以上の荒廃ぶりに驚く~……」
辺りを見回すと、本当にそこが漁業が盛んだった港町だなんて想像もできないほど荒れている
街の人間が街の至る所で息も絶え絶えに生活している
これでは手が回らないのも頷ける
『どうすんだよ、こんなん………病気だって流行り病なら身体弱った時点で伝染るぞ』
リヴァストは一人の人間の状態を見てそうグスタークに告げる
誰もが状態が芳しくない状態
誰がいつそこで息を止めてしまうかもわからない
グスタークは一人を抱え上げて、一人、また一人と集めて横にする
「うん、それに、これ、通常の流行り病だけなら良かったんだけど……ハディ」
『んー?』
「……ここで死んだ人数、アレクに確認してきて、記憶共有してるならジレムが見たここ最近の死亡者も全部」
いくつかポーションを出しつつ、グスタークは指示する
『あいよ』
ハディレイはその場を立ち去ろうとするが、その肩をリヴァストが叩く
『ハディレイ』
『あー?』
『死亡原因もそうだが、どこが一番多いかも探れよ、なんか嫌な予感するからな』
『へーへー』
ハディレイはその場から消えてグスタークは病の者達の前で詠唱を始める
少しでも回復できればまだ助かるかもしれない
グスタークの仕事はこうやって人を助けたりすることでもあるのだから
「………《我が名、グスターク・フォン・リンディハイムの名において、癒やしの精霊レティシアに希う、彼の者に罹る病を癒せ》【セイクリッドヒール】」
『それで治る病ならなぁ』
ヒールの一種の力はあまり効かず、グスタークはため息をつく
「取り敢えず、この人は協会に連れて行って、それから王城に行って、それから本格的に動くね」
ヘルミーナは男性を抱えて協会で待機している、とグスタークに頭を下げ、パーティーメンバーを連れて抱えられる人を抱えて協会へと向かう
グスタークはその背中を見送りつつ口を開く
「ルシュー」
『ここに居る』
グスタークは振り返って悪いけど、と切り出す
そういう顔はあまり見たくないな、とルシュテーカは溜息をつく
彼の願いは、本当の願いはいつも自分の為には使わないところは好きだけれど、本当は今は自分を大切にしてほしいものだ
「悪いけど、他の人も協会にお願い」
『分かった、リュェラス手伝えっ』
『おう!どこから行こう!』
グスタークの真後ろから現れたリュェラスにグスタークは驚いて蹴り飛ばしてしまったが、リュェラスにしてみればグスタークに構ってもらえて嬉しいのかもっと来い!と言う
是非ともリュェラスには空気を読むための力を授けてやって欲しい
「リュェラスは北からお願い」
『ああ!分かったぞ!』
「リヴァスト、統率よろしく」
『ああ、上手くやれよ』
「うん、行ってくる」
グスタークは他の人にも声をかけ協会へ病人を運ぶように指示し、ウィルナスを共にして王城へと向かった
ここからまた用事があって申し訳ありませんがまた空きます
出来次第投稿して行きます
よろしくお願いします
グスタークはなんだかんだで自分よりも人を優先するのでリヴァストや他の精霊聖獣達にとってはちょっと嫌な気持ちもあります。




