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#23 夜行会嫌いは筋金入り

一応、短いながらに第一章を終え、ここから第二章です

まだお付き合いいただけると嬉しいです…

あれから、グスタークはリハビリを行いつつ王立大学に通っていた



クラスは同じ王位継承権持ちの二人と同じクラス



二人はグスタークにとても優しくて、何故かすでに王位継承権は破棄しようと思ってる、なんて言われてぜひとも継いでくれ、と必死になって頼んでいる所である



国王には断じてなりたくないグスタークは必死だ



そうして生活している中、グスタークは許嫁になったヘルミーナとのお茶会もしている



まあヘルミーナも親が許嫁の話を受け入れたことは謝られたが、少なからず意識はしていたらしい



それなりの関係は築けている



ただ、やはり一人がいいらしいグスタークは定期的に誰にも言わず外出して数日戻らないなんてことがザラで、取り繕っていたヘルミーナだったが、段々グスタークに口うるさくなって来ている



リヴァストはいい気味だと思っているが、たまに流れ弾が来るので厄介だとは思っている



「よろしいですかグスターク様、明日は夜行会ですのできちんと出席を………何してらっしゃるんですか」



「明日は無理!」



グスタークは夜行会の話が出た途端にテーブルの下に潜り込んで頭を伏せている



夜行会嫌いは有名だがここまでとは思わなかったヘルミーナ



そんなグスタークの様子を引き気味に見ている者が学園棟の三階には居た



「おいおい、あの様子じゃヘルミーナ嬢がグスターク様引き摺って来るんじゃないか?」



「うわ、ありえる」



カイウス、エディがそう話す



正直、グスタークの性格で、夜行会だのそういう集まりに参加できるかと聞かれれば、一度彼の事を知っていくと、誰もが「無理」と答えるだろう



彼を知るものにしてみれば、そもそも、彼は社交的ではないし、彼の周りを囲むのが人ではなく精霊、聖獣、妖精たち人ならざる者だ



浮いて目立つのが嫌なグスターク



当然、今まで参加してきた中で、数えられても恐らく両の手で事足りる程だ



「そもそも、なんで夜行会嫌いなんだあの人、目立つ以外にねぇの?」



カイウス、エディ、この二人は何故かグスタークを置いてやたらと仲が良くなった



グスターク本人には言わないけれど、正直、彼が国王になった暁には、基本は退くだけの他の王位継承権保持者達も、一応側近に立候補できる



そして、王位選定戦が終わり、保持権もなくなると、次は補佐



この二人が、もう既に立候補しているのをグスタークがまだ知らない事が可哀想である



「あー、昔、女連中に囲まれまくったのがトラウマで嫌いなんだって話だぜ?」



「そこで女が嫌い、じゃなくて夜行会が嫌いってなるの面白いなあの人」



「そう思う俺も」



お茶会には、お菓子や紅茶が好きだからという理由で参加した



それが、集まりの回数を一応は増やしてくれていたのだ



まあ、途中で自分で作ればいいや、と参加しなくなったことに家族が驚愕した



参加したくない→でもお茶飲みたい→!→自分で作って飲めばいいじゃんっ!→茶葉&ハーブ育成開始



この流れを誰が予想出来ようか



結果として、国初のハーブ育成許可、使用許可、その他、お茶に関係することの資格を取りまくったグスターク



まあ、その資格があるのを、殆ど誰も知らなかったが



「けど、ヘルミーナ様って噂じゃ結構……」



ヘルミーナの噂を知る者は、誰もヘルミーナへ縁談を持ち掛けない



だから、そう言う事に捕らわれない冒険者や兵士という役職に就いた



冒険者は死と隣り合わせの職業



呪いを受けて帰ってきてしまう事だってある



兵士だって、大きな戦争や魔獣なんかと戦うと、後遺症が出たりするような害しかない魔獣もいて、となってくると、余計にそんな危険な職業の人間を嫁に等欲しがる物好きは居ないのだ



だから、無理やり嫁を見つけてやるために、両家の、当人を除く(アルブエストは身内である為参加していた)面々で話し合われ、結果、当人たちに無理やり婚姻させる事に至った訳なのだが…



まあ



「グスターク様ッ!」



「いーやーだー!」



相性が良い



二人のを知らない人間なら相性が悪いなんて言いそうだが、両者を一度知ってしまえば、性格は不一致な筈なのに、グスタークの事を思えば相性はいい方だ



ただし、ヘルミーナの胃に大ダメージがあるタイプの相性の良さである



「貴方という方はっ」



「俺が夜行会に出ないのは夜行会に出ても絡まれるのが嫌だし!そもそも俺その日用事あるし!」



「なんですか!」



「16柱に呼び出されてるからジレムの件で!」



「それもっと早く言いませんか!」



「言い出せるわけ無いじゃんこんな事ぉ!みんな怖がるし!」



「もう貴方のことにはそこまで驚く体質じゃありません!」



「凄くない!?ミーさん凄いね!」



「貴方が事件を起こし過ぎなんです!」



グスタークはぐぅの音も出なかった



そもそも言わないグスタークが悪い



だが、聖獣、精霊…16柱達が決めた日付を簡単に帰ろとは言えないのだ



相手が守護神の地位にいる限りは



特に、グスタークをずっと守護してきたリヴァストに対して誰も何も言えない



彼が居なければ今ここにグスタークは居なかっただろうし、レジムの時も、結果グスタークがどうにかしたとはいえ、時間稼ぎでもリヴァスト達が居てくれたことに変わりはないのだから



「では、そちらに参加なさる場合は来週の夜行会に参加ですが」



ヘルミーナは参加者一覧を二つ取り出して眺める



そして、誰が来るのかを確認する



「今回のは誰が来るの」



「陛下と王位継承権保持者の方々の家族様、教会の方々程度です」



「次回は?」



「私の家族、パーティーメンバー陛下、王位継承権保持者の方々だけです、その日は保持者の方々のご家族は参加されません、以上です」



「次回参加ね!」



グスタークは秒で答える



どれだけ嫌なんだとヘルミーナは頭を抱える



「………はぁ……」



ヘルミーナは、将来の主人となる予定のグスタークに不安しかない



「グスターク様って人よりも精霊様や聖獣様の方がお好きなんですよね、幼い頃からなのでしたら寧ろあちらの世界によく連れ込まれませんでしたね」



そう、精霊や聖獣に愛されているのであれば、絶対に何度か連れていかれかける筈



いくらリヴァストが居たとしても、その他の面々の性格ならあり得た話だ



「ああ………俺半分向こうだから………」



「え?」



「俺、元々確かに生まれは人と人の子供だけど…………稀にあるんだけどさ、半分精霊や聖獣の力を受け継いでるから必然的に魂も半分そうなんだよ」



だから、連れていかれても自力で帰れるんだよ?と悲し気に言うグスターク



もう、何度も連れていかれた向こうの世界は、確かにグスタークにとっては幸せな場所



誰かに強制されることも、無理に人に合わせて生きる無理な生き方も…そんな事しなくて良い



皆優しい世界



だけど、そうじゃない…



家族が嫌いなわけでもない



人の世界が嫌いなわけでもない



だから、住人になる事を何度も拒んで今此処に居るのだ



人は汚い、人は醜い、人は悲しい事しかしないよ…そう言われても、その世界で生まれた



だからちゃんと年老いるまでは≪此方≫に居ることを望んだのだ



それが、グスタークの今の望みだ



「それは………あの、よく向こうに完全に連れて行かれませんでしたね本当に!」



「そうだよねー、俺もそう思うもん」



若干そのまま残ろうかな、と考えたのは嘘じゃない



確かに≪彼方≫の世界は幸せだろうなと



「それ、お兄様方は……」



「教えたら今ここにいられないよね、多分例の魔法阻害部屋行きだからな」



「ああ、あの無駄に過保護にされると言われている」



魔法阻害部屋は、理由はどうであれ、精霊に好かれ、連れて行かれそうになった子供を国が保護する場所である



理由は様々ではあるものの、グスターク程ではないにしても連れ帰られそうになった



それをなんとか家族、偶々見つけた兵士、状況は様々だが、そんな感じで見つけられ保護された面々を保護するのだ



だから、精霊に見つからないように、と防ぐためのお祭りに1歳、4歳、10歳に参加するのだが、そのうち一つでも欠かすとよくないので、体調不良や病気にならないように努めないといけないのだ



ちなみにグスタークは過去三回とも病気…高熱がそのタイミングに重なって必ず出てい為不参加だったけれど、両親は未だにそれは気にしている



「そうそう、あの部屋って今何人いるの」



「確か五人、出たがりますけど、出たら如何なるかもわかっているからか複雑そうなお顔をなさっていましたわね……」



「ああ……まあ俺は、行っても飛び出せるんだけど」



そこでヘルミーナは首を傾げた



「何故?」



「ああいうのはさ、外部からは魔法を阻害出来るけど、既に内部に居て魔法を使った場合は阻害は無意味なんだよ?」



「えっ」



ヘルミーナは顔をひきつらせた



当然だ



それが事実なら、誰かしらが出入りする際に紛れ込まれてかどわかされたら打つ手なしである



この事は進言しておこう、とメモに記すヘルミーナ



「え?試したんだよ、自分で、結果外部は無理でも内部は普通に貫きました」



「っ!貴方っていう人は!」



「なぁんでぇ!?」



この事全て報告しますっ!!そう叫んだヘルミーナに、グスタークは情けない声で止めたが、結果報告はされ、家族、アルブエスト全員から二日説教を受けた後、高熱で倒れる羽目になった…



『アイツ、ただのアホだろ、過保護決定』



『なたり、いいこと、きいた』



『やめろナタリシア!』



今日も今日とてリヴァストは16柱の面々のせいで胃が締め付けられ、完治したグスタークに内緒で甘やかされ、それでも悲しい気持ちだったのは言うまでもない…



扱いが雑にされている現16柱の聖獣、精霊達の中でも一番強いと言われているリヴァストらしからぬ姿に、申し訳なさを覚えたのはゴリアテ、ヴォザークで、ただただ謝っていたのはラーフェン、レティシア…



他は知らん、と無視してきてリヴァストが余計グスタークを独り占めしたのはこの際仕方ないのである…









いつも閲覧してくださる皆様、ありがとうございます

亀更新ですが、グスターク君の王位継承戦〇〇〇〇〇が書けるまで私は続けます…

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では、眠いので寝ますっ

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