#13 ※ 生肉飲食、兵器利用の禁止を要請します
題名が思いつかないつらさ
今回は少しあれなシーンもあるので閲覧の所に※つけてます
よろしくお願いします
あれから結果としてすぐに緊急避難宣言が出され、戦闘の出来る魔道士や兵士たちが防衛戦へ招集された
勿論その場にはグスタークもその家族全員が招集され、そんなグスタークの周りにはリヴァストやハディレイ、ナタリシア達が本来の姿を表すと怯えられるため人型で招集場所へやって来ていた
国王の説明の後、魔獣達との戦闘が始まった
ただ、精霊王、聖獣王と呼ばれる存在達が、いつまで経っても動かない事に誰もが疑問を抱く
グスタークの指示が無い場合は動かないのかもしれない
アウブエストは振り返ると、その理由が理解できた
そして理解して慌てて兵士達に下がる様に指示をする
静かに、口を開くグスタークに聖獣、精霊達は本来の姿をとる為に魔力を溜める
「『さぁ、僕の可愛い子供達、存分に遊ぼう』」
グスタークのその声に、精霊王、聖獣王達は完全に姿を変えて漸く姿を変えて、本来の姿を表した
『よし!遊ぼう!ぶっ殺すぜ!』
『知性は残せ、………そうだな、お前には元から知性無かったな…………だがこの時ばかりは賛成だよオ"ラ"!!!』
『グスタのパイ、またたべる』
グスタークは静かに一体の愚かなガドルフに歩み寄ってそのガドルフの頬を撫でる
ガドルフは恐れに身体を震わせ、その手から逃れられない
「『ワルイコには徹底的なお仕置きって、ママに習わなかったの?』」
それはママが悪いねぇ?だから、今からお前が死ぬのはママのせい、お前は悪くないよ、後でお前のママもお前の逝く世界に送ってあげるね……と優しく微笑んだグスタークが横を通り過ぎる
すると、そのガドルフの首は勢い良く弾け飛び、散り散りになる
その身体は近くにまだ居た兵士の鎧に飛んで来る
そんな中、リヴァストの顔には、やめろよ、という表情が浮かんでいた
『アレ、朝まで続くんなら俺は付き合わねえぞ』
『いや、実質リヴァストの言う事しか聞かないの知ってるか?』
リヴァストの言葉にゴリアテがげんなりしながら返答する
そんなゴリアテの傍でナタリシアがプルプル震えている事に、さっきまで何もなかったじゃん、とハディレイが言いたそうにチラチラ見ている
怖い事ないよ、なんて言ってもグスタークじゃないんだから聞くわけねえか、とリヴァストは肩を落とす
『グスタ、聖獣王より、こわい、ナタリしってる』
リヴァストよりも怖いという事実に全員が絶句する
いやまあ、従える時点でそれより上の可能性もあることくらいは理解できる事だけれど
『はぁ………また俺の仕事かよぉぉぉッ!また片腕引き千切られるのかよぉぉッ!』
『?リーヴ、そんなことされたの?』
『お前、止めた瞬間に片腕弾け飛ばされて再生してもまた引き千切られるのと、放置するのどっちが俺に被害がないかなんか知ってんだろ』
リヴァストとナタリシアの会話に、えげつない、何した、とハディレイは聞くが、リヴァストは答えてくれない
「『我、火楼宮守護者ネティフィスに乞い願う』」
グスタークは詠唱を始める
そして、その詠唱に、人間も含めて全員が耳を疑った
何を言ってるんだ?と
『おい、今グスタークなんてった?』
『………やーめた、ナタリくうていかえる』
『私野暮用ですので抜けます』
ゴリアテ、ナタリシアが早々に逃げ出そうとする
ネティフィスは火できた花というものが、建物に纏わりついた宮殿であり、その火の花もその場所でしか生育されない貴重な花
そこを治めているのは元は人だった精霊ネティフィス
といっても、ネティフィスは産まれて間もなく大火事で亡くなっている
だが、別にそれが理由で火を司っているというわけではない
『は!?ふざけんなさせるか!』
『やっ!はなして!』
『ネフィーが来るなら俺はお役御免だ!』
『テメェらの守護場所に先回りしてグスタが戻れねえようにしてたよ!』
そのリヴァストの言葉に二人は振り返る
ゴリアテの住まう土地は他の魔獣が住み着かないようにされているが、グスタークがその術を解かなければゴリアテも帰れない
ナタリシアの宮殿然り、ゴリアテの居住区然り、リヴァストの洞窟然りだ
ハディレイの居住区も当然
ウィルナスの場合はやらなくても帰る気ないのでとくに戻っても良い状態である
『『いまそれしった!』』
『こういう時ばっかりはありがとうよ知性があったグスタ!』
リヴァストは理性があった過去のグスタークに礼を言う
件のグスタークは理性ぶっ飛んでるが
「『さあ、お前達、謝るといい、ああ、謝っても無駄だよ?もう何もかもが遅い、だぁいじょうぶ、食べられる程度に焼くだけ、ハーブも調味料もバッチリだよー♡』」
『え?生きたまま焼くって?』
『……………………なたり、ぐすた、おこらせない、やくそく、する』
『大丈夫だろ、あいつナタリシアには甘いもんな』
『ほんと?』
ナタリシア、ゴリアテ、リヴァストは出て行く気がないというより、巻き込まれ防止の為防御魔法に徹しているが、ハディレイはそれが不服だ
三人が使うのと人間が使うせいでその場の魔力が枯渇しているので下手に使えない
そもそも精霊王や聖獣王などと呼ばれている者は、あまりの重症、致命傷でない限りは自己再生能力が働くので臓器修復や無くなった部位の接合や生成は出来るのに
「『お前達の悲鳴を聞かせておくれ』」
『なー、肉俺にもくれっかなぁ?』
『『ウィルナスだぁってろ脳筋が!』』
そこからは阿鼻叫喚だった
何より、グスタークが許しを乞うていた魔獣を暴れながらグスタークの手から逃れようとする魔獣を生かしたまま喰らいだしたのだ
はっきり言おう、悪い夢だと言って欲しい
次期国王候補が、躊躇いなく魔獣を喰らい、しかも許しを乞う者を容赦なく殺したのだ
「…………やっぱり生は良くないな、干し肉なら美味いんだけど」
グスタークはビクビクと震える魔獣を捨て、逃げようとするオーヴィスを追いかけ、その頭を掴んで回転して引き抜く
『う、うわぁ……』
流石に召喚されたネティフィスですらそう漏らした
戦の神なんて言われているのにそれにすらそう漏らさせるグスターク
しかも、首を回して引き抜く際のグスタークは満面の笑みだった
是非とも理性を取り戻して頂きたい状態である
『普段がぽやん系野郎なだけに悍ましいな』
いらんトラウマは作らせない、と人間の前に居座る聖獣、精霊達に人間達はほっと息を吐く
そう、これ以上の阿鼻叫喚はノーサンキューである
『あらあらぁ?』
『何しに来たラーフェン』
慈愛の守護聖獣のラーフェンは、人前に姿を表す機会はそれなりに多いが、気分でやって来ることは珍しいのでリヴァストは不思議そうだ
『あらあらぁ、何かグスタークの魔力が荒れ狂ってるから心配で見に来たのよぉ、なぁに、この炎とグスタークの狂気は、魔力が変異してるじゃなぁい?』
ネティフィスは加減というものを知ったほうがいいわね、と呑気に言うラーフェンにナタリシアもゴリアテもそんなのどうでもいい、と思いつつ、爆音轟音を響き渡らせるグスタークに肩を竦める
これ以上の狂気は嫌だ
『是非とも止めてくれ』
『んふふっ♡無理ね♡』
『チッ』
『だって、貴方以外の言葉を聞く子なら、私達のお遊びの戦いで躊躇いなく脳天狙わないわよ』
以前危うく世界が完全に滅ぶ寸前だった際、お遊びと知った瞬間に怒ったグスタークにナタリシアを除いた聖獣、精霊柱達全員が脳天直撃半年強制睡眠させられたのは悪い思い出だ
えげつない程大暴れだった
ナタリシアを、狙わなかった理由は、そもそも戦闘には参加していなかった上に、グスタークの所で全員を最後まで止めようとしていたのはナタリシアなのだから
『あぁ………』
「『あははは!血!血だ!すごいあったかい!』」
『おい、悪い、あれ止めるのか?そもそも生きてる奴居る?』
『そうねぇ、感知してみたけど、もう死んでるわね、ちなみに、グスタークが掴んでる魔獣は何度も生き返りしてるわね』
『グスタもうよしとけ!要らんトラウマだぞ!お前また寝込むか!?』
漸く動いたリヴァストに聖獣、精霊達がほっと息をつく
素に戻る、そう思った矢先、リヴァストの腕がハディレイの方へ飛んできた
『……………リヴァストぉぉぉ!腕!』
『持ってろ!』
『え、ええ……これ、持ってるの?いや、いやだぁ……やだぁ……』
『は、はでぃ、よしよし、なたり、持つ?』
『おれもってるぅ……』
知能が退化したハディレイに流石の脳筋ウィルナスでも同情して頭を撫でてくる
今の所、グスタークがやった事
①火楼宮守護者ネティフィスを召喚して魔獣の大半を焼肉に
②残った魔獣の命乞いを無視してその魔獣の腸を喰い千切る
③逃げる魔獣の首を回して引き抜く
④殺さないように心臓を引き抜いて「生きたい?生きたい?」と聞きながら許しを乞う魔獣の心臓を潰す
⑤魔獣を押さえつけて心臓から遠い部位から関節毎に切り落とし、内蔵部分をぐちゃぐちゃと腕を突っ込んで掻き回して絶命するまでいじめ殺す
⑥死んでも何度も生き返らせて、身体も再生させて血肉が飛び散ってもお構いなしにいじめ殺す
⑦止に入ったリヴァストの片腕を真顔で吹き飛ばす
『………あの子、死んでも精霊になりそうだわねぇ?』
『やっぴーっ』
そこに、突如として空気の読めない明るすぎる高い声が響いた
『おい帰れヴォザーク』
『えー?今のグスタなら遊んでくれると思ったのにぃ?』
脳筋ハディレイ、ウィルナスに次ぐ脳筋の持ち主ヴォザーク
脳筋って酷いなぁ、とグスタークに不満気に言っても脳筋脳筋とウィルナス、ハディレイと同等に扱われている
『ん』
ハディレイはグスタークに弾き飛ばされたリヴァストの腕を見せる
『なんち、これ』
『リヴァストの片腕』
『……………………帰るわ』
『理性主張してんじゃねえぞ!』
『こ、コイツにラヴィ渡した奴面かせ!ボケが!』
ラヴィ…?と全員が考えたが、全員が渡してないよそんな殺戮兵器、と首を横に振る
そして、人間達、主にそれなりに戦闘経験のある者達は【ラヴィ】という名前を聞いて震え上がった
『はぁ!?念入りに封印魔術かけたろうが!』
『『その記憶はあるけど返してない』』
『じゃあ何だこれ!ラヴィじゃねえとかいうか!?』
『どう見てもラヴィ』
『何をどう見てもラヴィ』
『?封印とけてないからここあるよ?』
ナタリシアが、封印された殺戮兵器達を見ていく中に【ラヴィ】はあった
【ラヴィ】というのは、グスタークが生まれるよりも前に造られて、そしてあまりの危険性に16柱達によって封印された殺戮魔導兵器
たとえ、どんなに攻撃を加えようとも魔力さえ込めれば砲撃から国の焼却までを行え、聖獣の2柱を死に追いやった兵器
だからこそ封印された代物なのだ
『…………………グースタァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!!!』
濁点たっぷりで叫び散らしながら聖獣王の威厳を持ってグスタークへ突撃をかますリヴァスト
『リヴァっぴだいじょぶ?ノウミソ爆破しねぇー?』
『しそう』
『可哀想』
『グスターク・フォン・リンディハイム!』
腹に何時の間にか風穴を開けられたリヴァストに聖獣精霊達全員が『『ひぇっ』』と声を漏らす
「『…………?リヴ……?』」
『寝ろ』
「?んー……」
グスタークは気を失ってリヴァストに抱きとめられる
『男、抱いても嬉しくねぇ』
『言い回しがサイテー』
『グスタに対して失礼極まりないわぁ〜』
『リヴぴ刺し殺すぞ〜?』
『リヴァストずるい、ナタリがだっこしたい』
『やめてやれ、お前に抱えられたと知ったらグスタ自殺するぞ』
『なんで』
『お前の事は妹扱いしかしてない』
ナタリシアは人の姿に身体を戻して地面に崩れ落ちる
「やだ、やだぁ!ナタリもだっこしたい!」
『『『そういう所なんだよなぁ…………』』』
「おい人間」
そこで、漸く空気になっていた人々に全員が話しかけた
「グスタークは思考回路が、怒り過ぎたこともあって、少しやり過ぎたようにも見えるが弱肉強食の世界ではままある自然の摂理だ、もしこれを蔑ろにすれば、我ら16柱が黙っておらんので、丁重に扱え」
グスタークを兄、ルーシスに抱き抱えさせる
「グスタ、グスタ疲れたな、帰ろうな」
嗚呼、この兄は何だかんだブラコンシスコン拗らせてるから大丈夫だー、なんて聖獣、精霊達は冷やかな目でルーシスを見つめていた
幼い頃から、何するでもルーシスが居なければ駄目、ルーシスと、ルーシスが、と言われて育った
今更どうしょうもないのだ
だが、今はこれで良い
ルーシスはグスタークを抱え、帰路につく
諸々の話し合いは後日に、との事で、一度、処理部隊と兵士達を除いて解散することになった………
ラヴィは最初に作った人は兵器として作ったわけではないという事だけよろしくお願いします
病み回といえば病み回でした