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#1 グスターク・フォン・リンディハイムという存在がおりまして

一話ですが、気分で書いている小説なので不定期更新です

よろしくお願いします












少年は産まれたその日から既にその家外でも有名な貴族の子供だった



精霊達に愛され、魔力も多く、成長するにつれてどんな人間よりもお淑やかで、実は女なんじゃ?なんてからかわれたくらいのお淑やかさ



そんな彼は、とある日より王がどれだけ頼んでも城に現れなくなって、ある所では一人で旅をしている、なんて話が広まっていったのがそもそもの始まりなのだが…



当の本人は、そんな事気にもせず、事実、旅をしていたのだった……



「ふぁーっおいしー」



グスターク・フォン・リンディハイム、それが少年の名である



が、今は面倒なので家名の一部のリンディだけ使っている



今この国にグスタークをつけられるのはこの少年のみと定められている



探しやすくする為のものだが、それ以外にも理由があるのだ



ちなみに、身分証はそのままなので、その国に一日以上の滞在は絶対できない



探されるのが面倒だからだ



「さ、て……買い物も済んだし、でるかぁ」



食べ歩きをしつつ買い物した物を魔法袋に押し込んで国境を通過する



「………じゃあね王様、一応一日は戻ってたぞっ」



バタディーク王国、それは、グスタークを探している国王や臣下のいる国



家族もいるのに出くわさないのはそこが貴族街ではなく平民街だからだ



グスタークは浮遊魔法で空を飛ぶ



基本地上にいると追手をかけられて寝られないからだ



「……はぁ……ゆっくりふわふわのベッドで眠りたい……」



ふわふわのベッドにお風呂に~…なんていうグスタークに、魔法袋に入っている小さい見た目のまるで女児が好みそうな姿をした、世界では有名な【聖獣王】と呼ばれている存在が怪訝そうに眉を寄せてグスタークを見上げていた



『それはお前が逃げるから出来んのだ馬鹿者め』



「口悪いなぁリヴァスト」



いつも口悪いけど今日は特別容赦ない…



そう呟きつつもグスタークがリヴァストにきつく言わないのはもうなんだかんだで幼少期から霊体の姿ではあるものの構い倒されてのもあって諦めている



そもそも聖獣王にきつく言ってるなんて世間様精霊様方に知られた日には大顰蹙を買いそうなくらいである



全面的とは言わないが、少しはリヴァストにも非があるのを解ってもらいたいが解ってもらえていたら喧嘩なんてしないのである



『王も意地になってるんだ、素直に出向いて話を聞いてやればいい』



お前が王になるのは全員賛成してるぞ、なんて冗談でも言われたくないのだが、至極当然である、とばかりにリヴァストが言っていることに肩を落としてグスタークはため息をついた


精霊たちにしてみれば、他の候補たちは精霊に対する敬いも礼儀も歩み寄りも感じられないから正直王位を継いでほしくないというのが本音らしい



精霊の加護を賜る儀式の際何度か失敗しているらしいのだが何故そこまで敬わないのかは謎である



国王が儀式を失敗なんてさせた日には天変地異の前触れだのなんだの言われることを知ったほうがいい



そもそも、精霊信じてねえから、は完全にアホの言う言葉である



「どうせ、次期国王候補選定戦にでも出ろだの、王宮のお抱え魔導術師にでもなれだの言われんだよぉ」



『まああの、入るものは全員死亡、魔の洞窟の守護魔獣のこの俺を簡単に使い魔なんぞにしやがったんだ、それもあるぞ』



聖獣王なのに自分の事を魔獣なんて抜かすので引っ叩くのは忘れない



「とか言うけど、実は普通に使い魔契約してくれたんじゃないの、俺普通に適当な使い魔契約術式しかかけてないんだけど」



やったのはまだ三歳頃の事なのであまり記憶には残ってはいない、というか、ほぼ記憶なんてものは存在していないし、そもそも幼少期なんて総じて記憶なんて曖昧無いに等しいんだ



でも子供が難しい術式なんか知っているわけがないんだから、だとするなら、結構単純に契約してくれたのではないかなんて普通は考える



それが精霊の中でも有名な精霊だったのなら尚のこと



『お前の魔力なら適当でも契約になんだよ!』



あんな雑な契約魔術なんか初めて見た!!と怒るリヴァストだが、本心で嫌なら精霊の方から弾かれる筈なので、本心から嫌がっているわけでもないから契約に至ったのであるが



まあ、それでも認めていると素直に言えないのがリヴァストなのだ、仕方ないと割り切るが態度は変えない、一応謝るけれど



「ごめんなさい」



『で、次はどこに行くんだ』



「ブルスト!肉は手に入ったけど穀物は高かったからね、農産物直売所ある国ならもうちょっと安いよ!」



グスタークはそう言うと、食べ終わったごみをゴミ用の袋へしまい込んで浮遊魔法を使う



とてもじゃないが素直に国境を出ようとした場合、兵士にとっつかまりそうな予感がするのだ



まあ、それは後日談ではあるが、国境警備隊にグスタークの兄ルーシス・フォン・リンディハイムが待ち構えていたりするのだ



まあ、貴族出身の貴族兵なんて山のように居るのだが、グスタークの兄であり、次期国王候補の身内とあって一応外務は免除されている…のにも関わらず外務扱いの国境警備に身を投じていたルーシスの読みは一応当たりではあった



本当は国境を通ろうとしていたから



何故グスタークが国境を通らなくても他国に行ける理由は、魔術紋入りのブレスレッドでパスできるから…



『着いたら起こせ』



「まだ寝るのぉ?」



『寝る』



「……仕方ないな……」



グスタークは、農産物直売所のあるブルスト国に向かって空を飛び続けるのだった…



今回の登場人物

(主)グスターク

(魔の洞窟守護聖獣で、聖獣王)リヴァスト

(主人公の兄)ルーシス


気分更新だとは思いますがお付き合いいただけると嬉しいです

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