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地獄百景 第6話   作者: 倉本保志
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タミス・ビーンの逆襲

みなさん、お久しぶりです。倉本保志です。

お元気そうでなによりです。話題沸騰のあの方をモチーフに、新作を書かせていただきました。

このような、小説を書けるのは、まさにデイレッタントであるが故であり、その意味ではこの地位に

甘んじている自分には、ほんのりと満足いたしております。

これからも倉本保志は、デイレッタントであり続けます。ぜひ応援してくださいませ。

よろしくお願いいたします。

 地獄百景 第6話 タミス・ビーンの逆襲


 私はふと眠りから目覚めた。

眠り・・いやしばらくの間、私は意識を失っていたようだ。

ここは・・どこ・・・だ・・?

上半身を起こして、周囲を見回す。

手に、じゃりじゃりと冷たい感触・・・砂だ。

海岸・・・?浜にうちあげられたのか。

ザザザーという波が寄せる音がする。

いや、確かに水際にいるようだが、それは、私の知る美しいマリンブルーではない。

・・・・・・なんと表現すればいいのだろうか?

その色は赤黒く濁っている

それに・・酷い臭気・・・

なんだ、血の匂いか?・・・これは・・・

私は、思わず立ち上がった。

貧血のような目眩すらうっすらと感じてしまう・・・

ふと視界に小さく影が飛び込んでくる。

向こうから・・・人の影?

黒い髪・・・異国の人間だろうか・・?

私は、気絶している間に、得体の知れない異国にたどり着いたのか?

・・・・・・・

異人は、じいっと、こっちを窺っている。

(ええいっ、思いきって、訊ねてみよう・・)

「ハアイー」

男はきょとんとしたまま、こちらの様子を窺っているがそのうち、彼のほうから近づいてきた。

その男の周囲になぜか漂う、異様な威圧感を、私は、ひしひしと感じている。

「お前・・・どこから来たんだ?」

(判らない・・・彼は何といっているのか?)

「見たところ、外人のようだが・・アンタ?アメリカ人か?」

「ええと・・・アーユー、アメリカン?」

私は、驚いた。彼は、英語を話すのか? 

「オー、ナイスミーチュウ―、私は、イギリス人だ・・・」

 「私は、タミス・ビーンだ。」

・・・・・・・

「タミス・ビーン?・・? 」

「はて、どこかで、会ったことあるかい・・?」

「ワッ、アー、ユア、ネイム?」

(助かった、英語が話せるのなら、話は早い・・)

「ユア・・? あっ、オレのこと? K」

「マイネイム、イズ、K」

(おお、通じたぞ、彼は、確かに、Kといった。K・・?)

(はて・・?イニシャルか・・・?)

「ここは、どこ、・・? ウェア、イズ、ヒア・・・?」

「・・・・ヒアってのは、つまり、ここ・・・

「あっ・・ここは地獄だよ・・・あの世・・」

「ええと、地獄って、英語でなんて言うんだっけ・・?」

「ええと、ヒア、イズ、デス・ランド・・・」

(・・・?なんだ・・? デス・ランド・・?)

・・・・・・・

「ええと、デーモン、デヴィル、うようよ、ヒア、です・・」

(ホワッ、なんだ・・・? ウヨウヨって?)

(うーん・・・? さっぱり、判らない)

(やっぱり、会話は、無理か? しかし、彼が、私にさほど敵意を持っていないことだけは判った)

とりあえず礼を言って、やり過ごすとしよう。

「センキュー、グッ、ラック、バアイ」

・・・・・・

うん・・・? バアイ・・?

「ああ、もういいってか・・?」

「オレも、正直な話、訳の分からん外人とは、あんまり、関わりたくねえし・・」

「ほんじゃ、ま、バイなら・・命があったらまたどこかで会おうぜ・・」

彼が、大きく手を振って、私から去ろうとした時だった。大きな山、いやこれは、大げさではない。本当に、信じられないくらいの大男が、どすどすと大きな地響きをたてて2人で、何やら話をしながら、こちらにやってきた。

「おお、いたいた・・・」

・・・・・・・

「おや、2人いるぞ・・?」

「おかしいな・・?なんで2人なんだ・・?」

(どうした? 大男は2人で、なにやらこっちを指して話し込んでいる)

・・・・・・・・・

「あっ・・・なんだっけ、あいつ・・・以前・・・地獄の瓦番に載っていた ええと、・・・ほら、半死半生の」

「そうそう・・・、Kとか言う極道もんだ」

「ああ、間違いない・・ 手出し無用って確か、載ってたよな・・・」

「うん・・・」

「ったく、何しに地獄へ来てやがんだ・・・」

・・・・・・・・・・

「いいよ、どうだって、そんなことより、仕事だ、仕事・・・」

「わかったよ、銭鬼の兄い・・・」

・・・・・・・

「おっ、隣にいる奴は、異人だな」

「よしよし、あいつが、今回処刑するやつだ」

そうこうしているうちに、その大男2人は、私の眼前に、立ちはだかると、大きな目でぎろりと睨みつけ、私の心持など、一切構う様子など見せずに何やら書状を取り出し、読み上げた。

「・・・・うおっほん」

「ええ、貴殿カーロス・ゴンヌは、生前の悪行により、ここ、地獄へと突き落とされた者であられるな」

(・・・・・・・・・・・なんだって・・?)

「返答なき場合は、我ら、左様に相違なきものと了解いたしまする」

「これより貴殿の、生前での所業・罪悪に相応せし、地獄刑を、只今より、断行致しまする・・・

しからば、どうか、御観念、致されませい・・」

(なんだ、何を言っているんだ、こいつらは・・?)

そう言い終わるや否や、大男は、私の胸倉をぐいと掴むと、自分の顔の辺りにまで引き上げた。

(わわっわ・・・・なになに・・?)

「まずは大きく口を開けられい・・・」

「この溶解した、金塊、6トン余り・・すべて御身に注がせていただく」

鬼どもは私の口に、先ほど下した、オレンジ色の何やら、沸騰したものを

注ぎ込むつもりらしい。

「なななな、何だって、まま、ちょっと、ちょっと、・・・・」

私は、 ありたけの大声を出して、彼らを静止しようと試みた。

「OH,NO,NOOOOOOOOOUuuuu」

「なんだ、こいつ、抗うつもりか・・? 」

「構うもんかい、銭鬼兄い・・・とっととやっちまおう」

「NO,NO,NONONONOooouuu」

喜劇役者の大声が、どこまで通用するのか、私はやけくそで、全身の力を振りしぼって声を出した。

「・・・・・・・・」

「なんか、ヘンだな・・?」

「どうした・・? 兄い・・?」

「こいつ、本当に処刑する相手なのか・・?」

「えっ・・・・」

「だって、ここに、人相書き、があるけど、似てるぜ・・・」

・・・・・・・・・・

「・・・・・うん、確かに・・似てはいるが、閻魔大王、似顔絵、へたくそだかんな」

「・・・えっ、そうなのかい?」

「・・・・・・・ふうむ」

「オイ、異人、きさま・・・」

「きさま、カーロス・ゴンヌに間違いないんだろうな」

「世界共通とされる銀と金との交換率を恣意的にごまかして、日本中の金塊を世界中に垂れ流した元凶、張本人の・・・ゴンヌに」

・・・・・・・・・

「おかげでこの国は、黄金の国ジパングでありながら、それに見合う金がなくなって、有名無実を世界中にさらけ出す羽目になったんだ」

「きさまは、調子のいいことばかりほざいて、日本人を誑かし、自分の私腹を肥やすためだけに、ちょろちょろしていたんだろ・・違うのか?」

(なんだって・・? カーロス・ゴンヌ・・・?)

(良くは分からないが、そいつ、そのにっさん、いやおっさんと、私、タミスビーンを人違いしているのではないのだろうか・・?)

(ええいっ、ダメもとで、自分は違うんだと、こいつらに訴えてやろう・・)

「NO,NO,NOOOO」

「アイム、ナッ カーロス・ゴンヌ、NO,NO,NO,」

「アイム、タミス・ビーン、タミス・ビーン」

「タミス、タミス、タ、ミスター・ビーン」

・・・・・・・・・

私は、もともと、吊り上がった眉毛を、さらに上げて必死に訴えた。

・・・・・・・

「おい、そこのお前・・極道もん・・・」

「なにい・極道もんだと・・?」

(てめえなんぞに言われたかねえよ、この野郎、クソ鬼の分際で・・・・)

「なんだよ・・・?」

「おまえ、こいつが誰なのか、知ってるか・・?」

「さあ・・・毛唐なんぞ、知らねえ・・・えっ・・ちょっとまてよ・・」

「その眉毛・・・どこかで・・?」

「あああっ・・・」

「ほら・・・喜劇の・・?、あんた、映画も出てたよね、確か・・」

「ええと、確か、イギリスの・・・タミス・ビーンだっけ・・・?」

「なんで、日本の地獄なんかにいるわけ・・?」

「タミス・・・」

「ということは・・・人違いか」

2人の大男は、互いに顔を見合わせていたが、暫くしてから、私に対して・・・

「大変、失礼 仕った」

と大声で叫んだかと思うと、そのまま大急ぎで、どこかへ、消えてしまった。

(ふう、ギリギリのところで、助かったようだ)

(どうやら、それも、この日本人・・彼のおかげらしい・・)

「私を知っていてくれたなんて。アメイジングー」

私は、駆け足で彼のもとに行き、大きく頭を下げて(日本風に)

お礼を言った。

「サンキュー。サンキューベリーマッチ」

「よかったな、ビーン、処刑されなくて・・・ははははは」

そういうと、大きく笑い、彼もそのまま、どこかへ消えてしまった。

・・・・・・・・・・・・

一体ここが何処なのか、判らないが、たとへ異国であっても、気持ちを込めて話せば、たとえ言葉が違っていてもしっかりと通じることが、判った。

元の世界に戻ったら、今まで以上に、言葉に頼ることなく、直にハートに訴える仕事(映画)をしていこう・・・

私は、こころにそう誓ってその場にしばらく佇んていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あっ・・・・そう言えば・・・」

私には一つの疑問が、まだ解決されていないことに、ふと気づいた。

・・・・・・

そう言えば、カーロス・ゴンヌ・・・

私に似ているらしい彼は、いったい何者なんだろうか・・?


             おわり




前回の、進学塾のトシ先生、史上空前の不評(閲覧数)でありました。

はたして今回はどうでしょう? もし今回も同じようであれば、それは作品の良しあしではなくて

私、倉本自身への、見えぬ御批判、・・・ということなのでありましょうか。

みなすあんん、私目を見捨てないでくださいまし・・よろしくお願いいたしマングース。

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