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「梓」
「おばあちゃん」
若い父母に混じり、白い髪をきっちりと束ね、凛とした姿で着物を着こなしているおばあちゃんへと私は小走りで近づいた。
「卒業、おめでとう」
シワシワの手が私の手をギュッと握る。
「ありがとう。おばあちゃん」
私がそう言うと、おばあちゃんは優しく笑い、自分より高くなった私の頭を撫でてくれた。
私にはおばあちゃんがずっとそばに居てくれた。
お腹が痛い時は、ずっとお腹を擦ってくれた。
怖いテレビを見て眠れない時は、私が眠くなるまでずっと一緒に起きていてくれた。
私はおばあちゃんから愛情をたくさん貰っている。
私はズズッと鼻をすすり、私より少し低くなったおばあちゃんを抱き締めた。