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救世主求ム。詳細は村長へ。  作者: にしすけ
第二章 勇者ロビン
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勇者の旅立ち


『悲しみを乗り越えて……勇者ロビン様送別会』

大きな垂れ幕がそこかしこに垂れ下がっていた。盛大な祭りがナシフ村総出で開催されたのだ。


村の危機を一度まで出なく二度までも救った勇者ロビンとその一行(4名)が村を去るというので、村民は一丸となって送別会を開くことにしたのだ。


「どうしても行かれるのですか?!」

「もう少しだけいてくださらぬものか」

村の住民達は英雄が去るという寂しさを感じていた。しかし役場の職員達は違った。勇者ご一行という立派な財源を失うことを考えるにつけ、目の色変えて引きとめようと苦心していたのである。

「まったくここの役人はやらしいわねえ」

「仕方がないでしょう。貧しいこの村が少しはましになったのも勇者ロビン様のお陰」

村を取り囲むようにして木の柵が建設中であり、またよろず屋のラインアップが少しよくなった。加えて、小さいが薬草園と精製工場ができたことで村にも雇用が生まれ人々の暮らしに寄与することとなったのだ。


「のうコルビンや。どうしても勇者様は出て行かれるのだろうか?」

「そりゃそうに決まってるじゃない!勇者様は魔王を倒すために旅を続けるから勇者様なのよ」

「アカリ姫は黙っておってくだされ!」

「何よ、この汚職ジジイ!」

「それはさすがに堪えましたぞアカリ姫!」

「……汚職ジジイ……」

ヴィスワはツボに嵌ってしまったのか口に手を当て笑いを押し殺していた。どこら辺がツボなのかコルビンには理解できなかったが。

「なんとヴィスワまでも!コルビン!何とか言ってくれい!」

「何はともあれ勇者殿は山向こうの魔王城に挑まれるということで、よいことではありませんか。魔王が倒れれば村に前のような平穏が戻ります」

「まあ、そりゃそうじゃがのう……」

どこか物足りない顔をする村長。気楽なものだ。


特徴的な高笑いが起きた。いつものあれだ。

「勇者ロビン、ここに参る!村長さん、コルビンさん。村の皆さんには大変よくしてもらった。我々パーティを代表してお礼を述べさせてもらおう」

「やはり行きなさるか」

「もちろん!生まれてこの方魔王を倒す以外の人生を考えたことがないくらいに!」

「勇者様ならばきっと魔王を倒して帰ってくると信じていますよ」

「ありがとう!……おやおや、ところでコルビンさん。両手に花ではないか。どなたかなこの麗しきお二人は?」

「まあ友達みたいなものですよ」

「え!」

「なぬっ!」

と不意にアカリ姫と村長が声を出した。ヴィスワも驚いたように目を見開いている。

「ほほう。コルビンさんには色んな事情がおありなのだなあ」

アカリ姫はどうせお友達ですわよ!と何故かぷりぷり怒っているし、村長は村長で婿養子よ、我が息子よ、とうわ言のようにつぶやいている。ヴィスワは少し涙目になりながらコルビンを見つめていた。

「さて!それはともかく今日は飲んで楽もう!」

と勇者が杯を上げたのでコルビンはほっとした。


「勇者殿の門出を祝して!」

広報官「詩人」のヘルツホルムが乾杯の音頭を取った。

「恥ずかしながらこの機会に披露させてもらおう。勇敢なる勇者ロビンに手向ける我がバラードを」

そうしてヘルツホルムは軽く十分はしゃべり続けた後、ようやく乾杯となった。


宴は夜半まで続いた。


そして明け方近く。勇者の一行は魔王城を目指しひっそりと村を出た。コルビン以下わずかな者に見送られて。

村はみたび勇者のいない村となったのだ。

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