白の覗くキャンバス
人気のない美術室に制服を着崩す
少年が居残りの授業課題
その隣に美術室の住人になった
少女が目指すは絵画コンテスト
二人の出会いはひょんなことから
「筆を貸してください」って少年が言った
少女は「これで良ければ、どうぞ」と微笑んだ。
二人は巡る
お互いの決して似通わない同じ世界を
そして知った
目の前の現実が付きつけるような
虚しさの残る日を
夕暮に思い思いの色を塗りたくる
人気のない図書室にぶっきらぼうな少年が
楽し気な少女に連れられて
キラキラ溢れる騒々しいゲーセン怯え気味な少女が
張り切っている少年に連れられて
今にも離れてしまいそうな
お互いの距離を虚しく思った
少年が少女を抱きしめた
二人は悟る
お互いの決して似通わない同じ世界を
そして知った
目の前の現実が付きつけるような
虚しさの残る日を
夕暮に思い思いの色を塗りたくる
少女は言った
「私たち絶対に上手く行かないよね?
これだけ住む世界が違うんだから」
少年は黙って
うつむいたまま息を殺す
そして彼は筆を離すように、少女の手を離した
二人はわかる
お互いの決して似通わない同じ世界を
二人は知った
目の前の現実が付きつけるような
虚しさの残る日を
少女は塗った
切りつけるように描き切った絵の端から
黒い未来を
少年は急ぐ足を止めて振り返り走り出した
間に合うはずの無いその距離を
少女がうつむいて涙する
少年は手を差し伸ばした
黒いキャンバスの塗り残しの一点が
赤い斜陽を迎え入れていた
こんばんは。
蚊に効く時 とこねと申します。
私はこんな青春を送ったことがありません。美しいものを造るのに生々しい経験はいらないって聞きました。じゃないと私はこの詩を真っ黒に塗ってしまうでしょう。
あ、また真面目に後書きを書いてしまった。
この作品を評価して頂けると、作者が冒険心を持って創作できます。
いつでも、ご意見・ご感想、お待ちしております。
明日も、ちょっと良い事がありますように。 ではでは。