村人との交流2
影の正体は1人の少女だった。
「あの、そこの人。ちょっと聞きたい事が……」
その声に気づき、少女はこちらを横目で見たが、何も見なかった様に走り去ってしまった。
「……仕事かな?」
「すみませんね。人見知りな子でして」
また、後ろから突然声をかけられた。
「そうですか」
普通のトーンで返したが、内心驚いていた。
(……いつの間にいたんだ?)
「そういえばあんた。観光かい?」
ゆっくりとした優しそうな声で話しかける人は、老婆だった。
「観光ではないです。道に迷っているところ、たまたまこの村があったのでお邪魔させてもらっているところです」
「そうかい、そうかい。まぁ、落ち着くまでゆっくりしていきなさい。ここには宿が無いけど、泊めてくれるところもあるから探してみるといいさぁ」
「ところで、あなたは?」
「ん?あぁ、名乗りが遅れたね。私はソフィー。村の人はソフィー叔母さんと呼んでるよ。私は普段、あそこで働いてるから、何か知りたい事とか話したい事があったら遠慮なく立ち寄ってちょうだいね」
指を指した先には牧場があった。先ほどの少女が向かっていた場所だろう。
「リアです。よろしくお願いします。早速ですが、少し質問してもいいですか?」
「私の知ってる限りなら答えるよ」
「では、アルティアという地をご存知ですか?」
老婆は少し考えて答えた。
「知らない土地だねぇ」
「そうですか。ありがとうございました」
リアは一礼した後、その老婆と別れた。