狼との戦闘
「できるだけ戦闘は避けたかったんだがなぁ」
狼のような生き物に囲まれてしまい、逃げ道が無くなってしまった。だが、そんな状況でも理性を保ち、冷静に状況を把握していた。
そもそも、リアは軍の中ではかなり強い部類だった。なぜなら、金属をほとんど自由に操るという事が可能だからだ。リアはこの能力を「still control」と呼んでいる。製錬から切断、あらゆる加工などを瞬間的に行ったり、金属を浮遊させて飛ばしたり引き寄せるといった、優秀過ぎる能力を使えた。
そんな能力を持っているからこそ、リアは余裕でいられた。
牽制が続く中、遂にリアの正面に立っていた狼が飛びかかってきた。すかさず、リアは、狼の頬に右手で弱めの平手打ちをかました。
左の方向に狼の体は大きく吹っ飛んだ。
いくら弱く叩いたとはいえ、身体は金属でできているため、その威力はある程度速い速度で硬球の野球ボールがぶつかった様な衝撃だろう。
吹っ飛ばされた狼は、軽い脳震盪を起こした様で、うまく立ち上がる事ができていなかった。
この光景に、仲間の狼は少し気圧されていたが、逃げ出すものはいなかった。
「仕方ない、少しだけなら相手してやる」