星のある景色
一筋の光が、夜空を駆け抜ける。流れ星だ、と理解するまでに時間がかかった。
明かりのないこの場所では、星がよく見える。普段、人の目では見えない、かすかな輝きさえも、澄んだ空気は運んできた。
芝生の上に寝転がる。生温い風が俺の頬を撫でていった。また、星が流れる。そういえば、今日は七夕ではなかったか、と、夜空の真ん中を貫く、巨大な川を見て思い出した。織姫と彦星とやらに興味はないが、どうやら願いを叶えてくれるらしい。人間とは、つくづく現金な奴らだ。そう言いながら、どうせなら、と俺も願い事とやらを考えてみる。俺もそんな人間の一人でしかない。
すべての人間が俺に跪き、何もかもが手に入る――。数年前の俺なら、悩むことなくそう答えたんだろう。あれからまた、時間が経ってしまった。誰のせいだか知らないが、俺も少し甘くなった。だから今は――この命が尽きるまで、あいつらと一緒にいられたら、なんて。