レイネンが、ニムタンスを探す
レイネンは、ブロックから話を聞いたあと、ニムタンスの事を探しに行く。
彼女がいつも子供達と遊んでいるという、いつもの公園に行くが、そこに、ニムタンスの姿はなかった。
「今日は、話に聞いていた仕事の日だった……」
ニムタンスが仕事に行ってしまっているのに気づいたレイネン。彼女が帰ろうとしているところに、人影を見つけた。
「あなたは……フレア=ゼナン……」
音楽界では、よく知られた顔である。
彼女の歌声は綺麗で、ファンも多い。そのフレアにこんなところで出会えるとは、幸運であったのだ。
「フレア=ゼナンさん!」
レイネンにしては大きな声を出して、フレアのところに駆け寄っていくレイネン。
「サインしてください」
持っているペンとスケッチブックを渡しながら言うレイネン。
「あなたの事は知っていますよ。最近注目をされている画家さんですね」
フレア=ゼナンが自分の事を知ってくれているというのに、感動をしたレイネンは、「おおー……」と言って目を輝かせた。
「レイネン様もここに来てましたか……」
そこに、さらにラタリもやってきた。
「ニムタンスは、今日は仕事の日でしたか……」
ラタリが言う。子供達の間を見回して、それでもニムタンスの姿が見えない。いつもなら、子供達に囲まれて一緒になって遊んでいる様子を見ることができたはずだ。
「やはり、あの人は悪い人ですね。私に喫茶店の場所を教えたのだって、何か裏があったのでしょう……」
そこらじゅうを見回しながら言うレイネン。
「今回ばかりは同情できない……褒賞目当てに、隠し事をするなんて……」
レイネンが言う。フレア=ゼナンは、その二人の話を聞き、レイネンに向けて聞いた。
「ニムタンスさんをどうして探しているのですか?」
それを聞くと、目をキラリと輝かせたレイネンが、今の状況の説明を始めた。
ニムタンスは、ある人が人を探しているという話を持ってきた。だが、ニムタンスは、褒賞目当てにしてブロックに詳細を話そうとしない。
その捜し人は、明日、このフロウをたってしまう。それなのに、欲に目がくらんだニムタンスは、教えないと言うのだ。
「あの……その人を探しているという話はもしかしたら……」
フレア=ゼナンが言いかけたところであるが、二人は、目線で合図をし合った。
「とりあえず、職場にまで押しかける事まではさすがにできないから、彼女の仕事が終わった時に家に押しかけてやります……」
「それって、レイネン様がブロックの家の場所を知りたいからではないですか?」
そうラタリが言う。レイネンは、いつもの無表情ながらも、ラタリからは目をそらした。
ラタリとニムタンスは、ブロックの家の場所を知っている。この中で、彼の居場所をしらないのはレイネンだけだ。
「どさくさにまぎれて、そんな事を考えるもんなんですね。レイネン様……」
「今重要なのは、捜し人の事です。二人が巡り会えなければ、我々のやっている事に、意味はありません」
レイネンが言う。ラタリはそれを聞いて、レイネンにブロックの家を教える事を『仕方ない』と、思ったのだ。
「あの……ですから、その人を探している人というのは……」
フレア=ゼナンがそう言うが、彼女の言葉など、まったく届いていない感じで、ラタリとレイネンの二人は、公園から出て行ってしまった。




