メイネがフレアに……
ニムタンスが、子供たちの輪に入っていくのを、じっと待っていた人影がいた。
それはメイネだ。耳を澄まし、ニムタンスとフレア=ゼナンの会話を聞いていたのだ。
最初こそ、聞き流していたのだが、その会話の中に、『ブロック』という名前を聞いたからには、彼女も黙ってはいられなかったのだ。
「あなたは、ブロックの何なんですか?」
いきなり、そうフレア=ゼナンに聞いてきたメイネに、フレア=ゼナンは驚いてメイネの事を見た。
「何、と言われましても……」
いままで、会ったこともないし、ブロックには、ローイ=メドンの居場所を聞きたいだけである。
特にブロック自身に用があるわけでもない。彼が居場所を知っている、ローイ=メドンに用があるのだ。
「ブロックさんの事を狙っているんですか? させませんよ」
いきなり、そう言い出すのに、フレアは面食らっていた。
「あなたは、ブロックさんという方とは、お知り合いですか?」
フレアが言う。ジトリとした目をしているメイネは、フレア=ゼナンの事を疑っていいるのが、よく分かる感じで言った。
「誰にでも優しいですからね、あの人は……」
そう言いながら、さらにフレアに詰め寄っていくメイネ。
「ブロックさんというのは、どういう人なのですか?」
フレア=ゼナンが言う。ここまでして、みんなで名前を出す、ブロックとは、どういう人物なのだろうか? 興味が出てくる話である。
「おねえちゃーん、一緒に帰ろう」
そう言い、メイネに向けて走り寄ってくる子がいた。その子は、メイネの胸に、思いっきり飛び込んでいく。
「さあ、もう帰るよ、メルム」
メルムは、メイネの胸に飛び込んで、メイネの事をギュッ……と抱きしめる。それから、メルムは、メイネに向けて顔を上げ、ニパッと笑って言う。
「うん、一緒に帰ろう」
そう言うと、メルムは、振り返って言う。
「マルシェーばいばいー」
大きく手を振ってマルシェにさよならを言うメルム。
メイネは、メルムの手を引いて、公園をあとにしていった。




