次の日、公園で
次の日、ニムタンスはいつもの公園に行った。
そこに、子供と一緒になって遊んでいる女性を見つける。ニムタンスは、その女性にまで近づいていった。
「あのー……フレアさん、昨日のローイさんの話なんだけど……」
ニムタンスがそう言う。頬を掻きながら、どうしたもんか? と、いった感じで話した。
「奴に聞いてみたんだけど、どうも、簡単には教えてくれない感じなのよ」
「やはり仕事で居場所を知っているだけですから、それを軽々しく人に話す事は……」
「ちゃうちゃう……」
顔の前で手を振るニムタンス。だが、本当の事を言うワケにもいかない……
ニムタンスは、その女性の事を、マジマジと見つめた。
「フレアさんって、美人ですよね……」
ニムタンスはお世辞なしにそう言う。フレア=ゼナンはウエーブの髪に、切れ長の美しい瞳が特徴の、顔だちのいい美人である。
「あらありがとう」
そう言い、微笑み返してくるフレア=ゼナンは、感じのいい笑顔であった。
『こんな人と、ブロックを会わせたら……どうなるか? っていうと……』
あのすけこましのブロックである。きっと、フレア=ゼナンさんの事も口説き始めて……
「ブロックが女の子を口説いているワケじゃないのよね……女の子達の方が寄ってきているんだった……いつもいつも……」
ニムタンスは、今までの事を思い出しながら呟く。
別に、ブロックが女性を口説いているワケではなかった、いままで、ブロックから甘い言葉の一つでも言われた事はなかったし、ブロックの事は、自分の方から好きになっていたのだ。
「あの……今、ブロックって……」
フレア=ゼナンが、ニムタンスに向けてそう言う。
「ブ……ブロックっ! 何のことでしょうか? よく分かりませんけど!」
自分が、ついつい口にしてしまっていたのに気づき、ニムタンスは慌てて言い出した。
「さっき、ブロックさんと言いましたよね? その人が何かをしたのですか?」
フレア=ゼナンは、不思議そうにしながらそう聞いてくる。ニムタンスが、言葉を探しながら返事を探しているところ。さらにフレア=ゼナンは聞いてきた。
「ブロックさんという人がいるってのは、私も聞いています。その人って、悪い人なんですか?」
ニムタンスは、フレア=ゼナンの言葉に対して言葉を探した。
「あいつが悪い奴というか……」
そこまで言ったところで、ニムタンスは閃いた。本当の事をいう必要も無い。どうせ、元々別のフロウの住人であるし、フレア=ゼナンと、ブロックを会わせる気も無い。
「そうなんですよ。悪い奴なんです。その癖、一目見る限りでは感じのいいやつなんで、そんなに危険にも見えないですけど、ちょっとあいつと付き合うと大変な事に……」
そう言うニムタンス。これはある意味本当である、説明が足りない部分があるだけだ。
ニムタンスは、そう言うと、この話を切り上げるために、手を叩いた。
パンッと大きな音がしたため、周囲の子供たちが一斉にこちらの方を向いていた。
「とにかく、奴は、ローイさんの事を知っているみたいなので、もうちょっと話を聞いてきますよ。
「はっはっは……」と、いった感じで笑い、ニムタンスは子供たちの中に飛び込んでいって、一緒になって遊び始めた。




