ドレスの代わりを
レイネンは、ジーンズに始めて袖を通す。
今日、ドレスを着て外出をしていたレイネンだが、そのドレスは、パフェをこぼして台無しになってしまった。
そのため、ブロックはレイネンを服屋に連れて行った。
レイネンに、希望の服を聞いてみても、特に希望は無いといった感じだったので、思い切って、ブロック自身がコーディネイトをする事になったのだ。
今レイネンは、ブロックに買ってもらった服を、珍しそうにしながら着替えているところだった。
「とりあえず、それでいい?」
ブロックがそうレイネンに向けて言う。
レイネンは、鏡の前に立って、クルリと一回転回っていた。
「こんな格好……初めてです……」
自分の姿を、興味深そうに、マジマジと見つめるレイネン。ブロックは、レイネンがいる個室の前に立って、カーテン越しにレイネンに話しかけていた。
「本当に、これを貰ってもいいんですか?」
「もう買っちゃったんだ。むしろ、それを返されても僕にその服をどうしろ? って、いうんだい?」
ブロックがそう言うと。レイネンはカーテンを開けて部屋から出てきた。
「ありがとうございます。うちの家宝にします」
レイネンは大げさに言ってくる。
「やめといた方がいい。そんなものを残されても、子孫達は困ると思うよ……」
そうブロックが言うと、レイネンは首をかしげた。
「こんなに珍しい服なのに、家宝にするのはやめたほうがいいんですか?」
レイネンは首をかしげて言う。この服は珍しい服でもなんでもない。むしろ、ドレスを着て外を出歩くレイネンの方が、このフロウでは珍しいのだ。
「十分似合っている。かわいいよ」
ふと、ブロックは言った。レイネンはそれを聞くと、顔を真っ赤にして俯いた。ブロックはそれを見てさらに笑う。
「本当にかわいいね。お嬢様が下々の生活を体験するってのも、いいもんじゃないかい?」
レイネンは、ブロックが言うのを聞いて、コクン……と頷いた。
「今日は最高の日です。ブロックさんからこんなプレゼントをもらえるなんて……」
レイネンは、その言葉を最後にだまりこくった。




