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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
絵葉書の大賞
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ザック=レイターの屋敷に通うブロック

 次の日、ブロックは当然ザック=レイターの屋敷へと足を運んでいた。

 屋敷の中にある、レイネン用のアトリエに通されたブロックは、レイネンの前に立ち、それを見たレイネンは黙々と絵を描き始めた。

「今日は休憩の時間を多く取りましょう。私の秘密の隠れ家に連れて行ってあげます」

「秘密の隠れ家? 君はこのフロウにやってきて日が浅いはずだけど?」

 ブロックがそう言うと、レイネンは筆を使ってブロックを指した。

「動かないでください」

 そう言われ、ブロックは口をつぐんで立った。

『これも、十分重労働なんだよな……』

 立っているだけの仕事であると思っていたが、立っているだけという事が、こんなに辛いとは思わなかった。

 しかも、自分の絵を描いている画家は、気難しくて取り付きにくい。

 実際は、ただ無口なだけであるが、ブロックの今の印象はそのようなものであった。

「では行きますか……ブロックさん、楽にしてくれていいですよ」

 そう言われ、今まで張り詰めていたのだが、気を抜いたブロック。

 レイネンは、外行きの服に着替えていた。今は、汚れてもいいように、シャツにエプロンという格好であった。

 それを、余所行きのドレスに着替えていく。

 ブロックは、とりあえず、レイネンから視線を外しながら、レイネンの着替えが終わるのを待った。

 その様子をレイネンは、刺すような視線で見つめている。

「ブロックさん……背中のチャックを閉めてくださいませんか?」

 そう言うと、ブロックはレイネンに近寄って背中にチャックを本当に無造作に閉める。その行動には、恥じらいとか、レイネンの事を意識しているとか、ブロックがそういった感覚を持ってやっているようには見えなかった。

「これでいい?」

 ブロックはいつもどおりの爽やかな笑顔をしてそう言う。

「それだけですか……?」

 不満そうな顔をしてそう言うレイネンが言うが、ブロックは何でレイネンがそんな事を言うのか? 本気で分からないといった感じで答えた。

「あれ? まだ閉めるチャックがあるの?」

 見当違いの返答を返したブロックに、ふくれっ面をして返したレイネンだった。

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