表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
絵描きの見習い
42/84

床のシミもとられる

「こちらにありますこの装置は、何に使うのか、分かりますか?」

 レイネンがそう言ったのは、雨水などを溜めておく事のできる巨大なタンクである。

 ラタリにとっては、何のために設置をしてあるのか分からないこの施設。

 レイネンの様子を見ると、この装置の使い方を知っているようだ。

「少し失礼します……」

 そう言うと、その装置に取り付けられているハシゴを登った。そして、そのタンクには綺麗な水が溜まっている。ラタリは、この施設が何のためのものか分から似ながら、ザック=レイターの言いつけ通り、こまめに掃除をしているのだ。

「危ないですよ。そういう事は私がやりますから」

 ラタリがそう言うのにも関わらず、ハシゴを登って中に貯められている水の量を確認した。

「タンクの掃除はこまめにやられているようですね。ですが、水がに溜まりっぱなしですね。普段はこのタンクを使われていないのですか?」

 ラタリは、その言葉に首をひねった。そもそも、何に使うのか? が全くわからないタンクである。

 その様子を見ると、レイネンは、ハシゴから降りてきた。

「これはですね……」

 レイネンが言うのを、ラタリは聞く。


 レイネンはそのタンクのバルブを開き、その水を洗濯用の桶に貯めた。

「この水は、洗濯をするのにいいんですよ」

 そう言い、レイネンは洗濯板を使って洗濯を始めた。

 ラタリはその様子を黙って見つめる。「そもそも、あのタンクはこういうふうにつかうものだったのか……」初めてそれを知ったラタリは、興味深そうにしてレイネンがシーツを洗濯するのを見ていた。

「ほら、綺麗になったでしょう?」

 そう言い洗濯を終えたシーツを広げるレイネン。

 ラタリは、いつもよりも綺麗になったシーツをマジマジと見つめる。


 次は、掃除だった。

 ラタリがモップを使って床の掃除をしているところ、またもレイネンがやってきた。そこに、ラタリは体を引きつらせた。

『これは……今度は負けられない……」

 ラタリは、こめかみの所に脂汗を流しながら、レイネンに向けてお辞儀をした。

「あの、シャンプーってこちらに置いてありますか?」

 そう言い、お辞儀をしてきたレイネン。

「シャンプーですか?」

 その言葉に疑問を持ちながらも、言われたとおりに、シャンプーを取り出し、レイネンに渡した。

「それでは失礼しますね」

 そう言い、レイネンはシャンプーを持って客間に向かって行った。

『何に使うんだろう?』

 疑問に思ったラタリは、レイネンについていった。


 レイネンは桶に、あのタンクの水をいれ、それで雑巾を絞った。そして、あろう事か、絨毯にシャンプーを垂らしたのだ。

「何を!」

 ラタリが止めようとするが、レイネンは言う。

「絨毯を、洗っているんです」

 そして、絞った雑巾を使ってシャンプーを伸ばしていく。

 絨毯から泡がたってきた。その泡を、雑巾で拭きとり、雑巾を水につけて絞る。そして、絨毯に押し付けて、水気を取る。

 それを数回繰り返し、絨毯についていたシミが無くなっていった。

『いままで諦めていたシミが……こんなに綺麗に……』

 ラタリは、悔しくなってそう心の中で驚いた。

「おや、レイネン君に、そんな事までやってもらわなくてもいいのに……とは言うけど」

 シミが無くなった絨毯を見ると、「うーん……」と、唸って言う。

「ここまでできるなんてすごいね。こんなんだったら、ラタリは、もう用済みかもね」

 笑いながら言う、ザック=レイター。

 ラタリはその言葉で、ザック=レイターから引いていった。

「わ……私は……」

 ラタリは、後ろにたじろぎながら言う。

「いらないメイドでした!」

 そう言って、屋敷から駆け出してきたのだ。


「それは、居場所がなくなっちゃうねー」

 ラタリの言葉に、同情をしたニムタンスが言う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ