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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
絵描きの見習い
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追い出された時の話

「行った……?」

「うん、もう姿は見えないよ」

 ラタリは、人から発生するストラを感じる能力で、ブロックの様子を確認していた。

「勢いで追い出しちゃったけど……そもそもここって、ブロックの借りている部屋なのよね……」

「だけど、旦那様が来るとは思ってなかったな。何をしに来たんだろう?」

 今見た、ザック=レイターはものすごく面白そうにしていた。

 ストラの流れを見て、そこまで分かるラタリは、部屋に思いっきり寝転んだ。

 ニムタンスはすでに横になってゴロンとしている。

「そうだ、メイドさん。お茶を淹れてきてくれない?」

「私はもうメイドじゃないの。自分で淹れなさい」

 ニムタンスの注文に、投げやりな感じでニムタンスが答える。

「こらー。あんたは奉仕の精神を形にした存在のメイドでしょう?」

「もうメイドじゃないのって言ってるでしょう? お茶なら、自分で淹れなさい」

 らちが明かない二人の会話。

 そして、こういう時に考える事といえば、二人とも同じであった。

 二人は握り拳を作って言う。

「じゃーんけーん……」


「やっぱり、お茶を淹れるのは、メイドさんの仕事なのであった……」

 お茶を淹れてやってきたラタリに向けて言うニムタンス。今は机の前に座ってお茶ができるのを待っていた。

「もうすぐ、メイドではなくなるけどね」

 いちいち、ニムタンスの言葉を否定するのも面倒になってきたラタリ。

「しっかし、ついさっきまでケンカをしていた二人とは思えないねー。さっきまで、あんなに思いっきりいがみ合っていたのに……」

 ニムタンスが言う。横目でラタリがニムタンスの事を見ると、穏やかなストラの流れをしていた。

「そりゃあ、ケンカの原因がいなくなったからね」

「ごもっとも……」と、言いラタリもニムタンスと同じようにして、この部屋に寝転んだ。

「また、何かあるのかな?」

 ラタリは言い出した。

「ザック=レイターさんの事?」

 ニムタンスがそう聞くと、ラタリは話した

「この前の、ディラさんの結婚式の事もあったでしょう? フロウの有識者達って、何を考えているか? 分かんないのよね」

 このフロウでは、画家や音楽家などの芸術家も、力を持ち、町の運営などにも口を出せるのである。このフロウは文化フロウと呼ばれており、出来上がった芸術品を世界に販売することで、成り立っているのだ。

 だから、この前のディラの公開結婚式のようなイベントだっていくつも開催される。

 忘れられたら困るため、いくつもイベントを行っているのだ。

「旦那様が、何かを企んでいるのかもしれない。あの、レイネンって子を歓迎しているようだったし……」

 そう言い、ラタリはレイネンがやってきた時の事を話し始めた。

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