表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
絵描きの見習い
39/84

追い出されたブロック

「何で、ボクが追い出されなきゃ……?」

 あれから、ニムタンスとラタリに、『あんたが出て行きなさい!』と言われ、自分が家賃を払っている部屋から追い出された。

 なんでこうなったのか分からないブロック。

 彼が考えたところで、答えなんていつになっても見つからないのでは? と、思われる。

 今だになって、ブロックは、ニムタンスとラタリの機嫌が悪くなった理由は何か? そんな事を考えているブロックに声がかけられた。

「どんな面白い事になっているのか? と、思ってやってきたのだが……これは予想外だよ」

 そう言い、くつくつ……といった感じで笑う、ザック=レイターがいた。

「面白くないですよ……」

 ブロックがそう言いながら、ザック=レイターの方を向くと、初めて見るメイドが、ザック=レイターの隣にいるのが見えた。

「新しいメイドさんを雇ったんですか……」

 ブロックは、ラタリが、自分が用無しになっただのと、言った事を思い出した。

「初めまして。レイネンと言います」

 『よく、躾けられたメイド』と、いった感じで、深々と礼をするレイネン。

 なるほど、この子に仕事を取られたのか……そう考えたブロックは、レイネンの事を見る。

「この子が気になるかい? なかなか可愛い子だろう?」

「可愛いか、どうかは別としまして……」

 この子のせいで、ブロックは家を追い出されたのだ。それを言うと、ザック=レイターはさらに面白そうな、顔をして言う。

「おいおい……それは流石に逆恨みってもんだよ。レイネンはまったく悪くないじゃないか」

 ザック=レイターが言った言葉に、それはそうだが……と、思ったブロック。

「だけど、ラタリをクビにするのは、やりすぎでしょう? そのせいで、あんな事になったし……」

 ブロックがそう言うと、ザック=レイターは笑いながら言う。

「僕はラタリの事をクビになんてしてないよ。ちょっと『レイネンがいたら、ラタリはいらないね』とは言ったけど」

「まあ、どうにせよ、ラタリの仕事は、このレイネンにとって代わられたという事でしょう?」

 そう言ったブロックだが、それに、ザック=レイターは首を横に振った。

「レイネンは……なんというか……臨時だ。そう、臨時のメイドなんだ」

「臨時ねぇ……」

 ブロックはそう言って、レイネンの事を見た。

 そうすると、レイネンはブロックにペコリと頭を下げる。

「旦那様のお言いつけです、今晩は屋敷に泊まってもよいですよ」

 レイネンが言う。ブロックはレイネンを見て、キョトンとした顔をした。

「本当は、ラタリの事を迎えに来たんだよ。いきなり押しかけても、迷惑がられるだけだし、追い出されると思ってね」

「まさか、君が追い出されているってのは、予想外だったけど……」そう言い、ニヤリと笑った、ザック=レイター。

「お世話になります……」

 ブロックは腑に落ちないものを感じながら、ザック=レイターに頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ