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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
幸せの手紙
31/84

ブロックとニムタンス

「今日は早くあがらせてもらったんだ。他のみんなも、早くあがっていたからね」

 そして、ブロックは仕事用のハバタキ飛行機を使って、ここにまでやってきたのだという。

「会社の設備を私的利用してるじゃない」

「まあ、今日くらいは許してもらえるんだ」

 そう言い、ブロックはハバタキ飛行機のカギをポケットに仕舞った。

「ブロック君。偶然ね」

 そのブロック達の後ろから、声がかけられた。

 ブロックが振り向く。

「レノアさん」

 ブロックが手紙を届けた、レノアだ。彼女は、小さな子供の手を引いていた。

 その子供は、ソフトクリームをもっている。

「綺麗に食べないといけないよ」

 ブロックはその子供の口を、持っていたハンカチで拭いた。

「あら、ごめんなさいブロック君。この子ったらだらしなくて」

 レノアは、子供の事をたしなめながら言う。

「ほら、おにいちゃんにありがとうは?」

 そう、レノアが言うと、その子は、三歩前に進み出て、頭を下げながら言う。

「おにいちゃんありがとう」

 ニムタンスは、それを見ると、顔を赤くした。

「か……かわいい……」

 ニムタンスは、その子に、近づいていく。

「ねえねえ、お姉ちゃんのソフトクリームも食べてみない? 抹茶味だよ」

 そう言い、ニムタンスは、その子に自分のアイスを渡した。

 その子が、アイスを舐めるのを見ながら、「キャーキャー……」と騒いでいた。

「すいませんね。ニムタンスって、昔から子供好きなんです」

 ブロックはレノアに向けて言う。レノアはニムタンス達の光景を見て、「うふふ……といった感じに笑っていた。

「うちのレトトも、あの子のお世話になっていますからね」

「レトト君も、あの公園に行っているのですか? レノアさんの家からは結構遠いような……」

 ニムタンスは休みの日は、近所の公園で、子供と遊ぶのを日課にしているのだ。

 そのため、家の周辺辺りの子供や、その親とは、ほとんど顔見知りだったりする。

「ニムタンスちゃんに会いたいって言って、遠くから来る子とかも多いんですよ。うちの子もそうでね」

 レノアが言うのに、ブロックは「ふむ……」といった感じで頬を掻いた。

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