ブロックとニムタンス
「今日は早くあがらせてもらったんだ。他のみんなも、早くあがっていたからね」
そして、ブロックは仕事用のハバタキ飛行機を使って、ここにまでやってきたのだという。
「会社の設備を私的利用してるじゃない」
「まあ、今日くらいは許してもらえるんだ」
そう言い、ブロックはハバタキ飛行機のカギをポケットに仕舞った。
「ブロック君。偶然ね」
そのブロック達の後ろから、声がかけられた。
ブロックが振り向く。
「レノアさん」
ブロックが手紙を届けた、レノアだ。彼女は、小さな子供の手を引いていた。
その子供は、ソフトクリームをもっている。
「綺麗に食べないといけないよ」
ブロックはその子供の口を、持っていたハンカチで拭いた。
「あら、ごめんなさいブロック君。この子ったらだらしなくて」
レノアは、子供の事をたしなめながら言う。
「ほら、おにいちゃんにありがとうは?」
そう、レノアが言うと、その子は、三歩前に進み出て、頭を下げながら言う。
「おにいちゃんありがとう」
ニムタンスは、それを見ると、顔を赤くした。
「か……かわいい……」
ニムタンスは、その子に、近づいていく。
「ねえねえ、お姉ちゃんのソフトクリームも食べてみない? 抹茶味だよ」
そう言い、ニムタンスは、その子に自分のアイスを渡した。
その子が、アイスを舐めるのを見ながら、「キャーキャー……」と騒いでいた。
「すいませんね。ニムタンスって、昔から子供好きなんです」
ブロックはレノアに向けて言う。レノアはニムタンス達の光景を見て、「うふふ……といった感じに笑っていた。
「うちのレトトも、あの子のお世話になっていますからね」
「レトト君も、あの公園に行っているのですか? レノアさんの家からは結構遠いような……」
ニムタンスは休みの日は、近所の公園で、子供と遊ぶのを日課にしているのだ。
そのため、家の周辺辺りの子供や、その親とは、ほとんど顔見知りだったりする。
「ニムタンスちゃんに会いたいって言って、遠くから来る子とかも多いんですよ。うちの子もそうでね」
レノアが言うのに、ブロックは「ふむ……」といった感じで頬を掻いた。




