農業フロウで
その行列の中には、ニムタンスがいた。
ここは、祭りで縁日でもやっているような様子の場所だった。人が多く行き交う。
まだ、仕事で来られない者も多いようで、子供連れの女性や、少年少女達が、グループになって、この屋台の並ぶ道を行き交っている姿が見える。
人が多く行き交い、この農業フロウで作られたサトウキビから作った砂糖を使い、作られた綿菓子などを、食べ歩いている子供も見られる。
「やっぱ、たまにはいいものも食べないとね」
ブロックの作る料理だけではもの足りないニムタンスは、一人で農業フロウにまでやってきていた。
肉が焼ける匂いを感じ、フラフラとその匂いの元にまで歩いていく。
新しい屋台を見つけると、そちらにも行きたくなる。
そうして、どんどんと食べ物を買っていき、両手いっぱいに食べ物を抱える事になった。
「農業フロウ、さまさまだね」
久しぶりに、新鮮な食べ物にありつけたニムタンスは、ホクホク顔で、両側に屋台が並んでいる道を歩いていた。
「さっそくやってるねー? いいものにありつけてよかったじゃない」
そう言い、ニムタンスの背後に声がかけられた。
「ブロックも来てたんだ」
口の周りをソースで汚したニムタンスが振り向くと、ブロックはニムタンスの口をハンカチで拭った。
「また、何を……」
あまりの事に、驚いたニムタンスが言う。
「また口の周りにソースが付いていたから」
特に気にしていない感じで、ブロックが言った。
「私だけが、こんなに驚いてちゃ、バカみたいじゃない」
ニムタンスは、そう言うが、ブロックはその言葉の意味を分かっていない感じで言う。
「そりゃそうだよ。ソースで口を汚したまま歩いていたら、バカみたいに見えるからね」
カラカラと笑うブロックに、ニムタンスは、これ以上の追求を諦めて言った。
「仕事はどうしたの? サボったのかい?」
ニムタンスが言うと、ブロックは言う。




