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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
兄弟と、姉妹の手紙
20/84

手紙の送り主は誰か?

 ブロックが家に帰ると、床でぐでっとなっているニムタンスがいた。

「今日は……本気で死ぬかと思った……」

 ブロックは、ニムタンスがバテているところに出くわし、彼女の事を跨いでキッチンへと向かっていく。

「昨日、地上に降りて、ストラを吸われたのが響いているのかい?」

 ブロックがニムタンスに向けて言うと、ニムタンスは力なく「うん……」と答える。

「ほかの誰かに任せておけばよかったじゃないか」

「誰に任せればよかった、って言っているの?」

 そう言うと同時に、ニムタンスがブロックの事を、寝そべったままの状態で見上げた。

 威圧感を感じるような様子でブロックの事を見上げる。

「ラタリとグレッグの二人なんて良かったんじゃない? 二人共、ストラを使う仕事をしているわけでもないんだし……」

「ラタリとグレッグは、二人して手紙の中身を読みそうだったし、グレッグなんて、内容を『どっかの朴念仁』に教えて楽しそうにしてそうだし」

 ニムタンスはそう言う。

「『どっかの朴念仁』ってのは一体誰なんだい? 一体、どんな内容の手紙だった事やら」

 そこまで言うと、ブロックはコンロの穴に指を入れた。

 その穴の先には赤い石が内蔵されており、それにストラを吸わせると、コンロが熱を帯びてくる。

 その上にフライパンを乗せたブロックは言い出した。

「やっぱり買ってきておいて良かったよ。今日の夕飯は、お肉三昧にするからね」

 買い物カゴの中から紙で巻かれた肉を取り出したブロックは、それをフライパンの上に乗せていく。

「おーにーくー! 肉が食べたい、肉が食べたい、肉が食べたい!」

 ニムタンスが大声で言い出すのに、ブロックは笑って言った。

「僕の財布が許す限りしか用意できなかったけどね」

 肉に、塩を振りかけ、それを熱したフライパンで焼いていく。

「うあー……お肉のいい匂いー」

 クンクンと鼻を鳴らすニムタンスを、苦笑しながら見たブロックは、箸を使って、肉を炒めだした。


「今日、こんな事があってさー……」

「そりゃ、不思議な手紙だねー」

 ニムタンスは、メイネに届いた手紙の話を聞いて、首をかしげた。

 皿に盛った肉を、口の中にほうばるニムタンスは言う。

「その子って、メルムって子のお姉さんじゃない」

 メルムという名を出したニムタンス。

「その子のお姉さんの名前って、メイネっていうの?」

 ブロックがそう聞くと、口の中を肉でいっぱいにしたニムタンスは頷いた。

「なら、マックスって名前に聞き覚えは?」

 ブロックが言った、マックスという名は、手紙の送り主の名前である。

 それを聞くと、ニムタンスはウームと言って首をひねった。

「聞いた事はないかな……」

 ニムタンスは言う。

「このフロウには千人しか人口がいないんだ。顔見知りの人間は多いし、人探しをしようとしたら、結構簡単に見つかると思うけど」

 ニムタンスがそう言うのを聞いて、ブロックは、『フフフ……』と笑った。

「ニムタンスもその手紙の事が気になるんだね?」

「そりゃ、そうでしょう?」

 二人で、ニヤリと笑いあったブロックとニムタンス。

「明日、メルムを捕まえて、聞いてみますか」

 ニムタンスが言うと、ブロックは言う。

「任せた! 名探偵ニムタンスさん!」

「はーい!」

 そう言うニムタンスは言った。

「それでは! 腹が減っては戦はできぬ! お肉のおかわりを要求する!」

「もう食べきったのかい……」

 そうブロックが言うと、両手を挙げた。

「もう、ありません」

 ブロックがそう言うと、ニムタンスはバタンと背中から倒れていった。

「まあ、いいや。おやすみー」

 そう言ったニムタンスは、すぐに眠り始めた。

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