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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
ニムのタイムカプセル
18/84

ラタリは屋敷で

「はっはっは……その子と一緒になって、手紙を守ったんだ……」

 昨日の事を話すと、ザック=レイターは大声で笑い出した。

「結局、彼には何とも言っていないのかい?」

 ザック=レイターは、ラタリにそう聞く。

「なんか……何を言っても無駄な気がしまして……」

「確かに、彼はそういうのに疎そうだからね」

 ブロックの事を思い出しながら言う、ザック=レイター。

「本当に、鈍感なんだから……」

 そう、悔しそうに言うラタリに、ザック=レイターも楽しそうに笑った。

「だけど、絵の肥やしにはなりそうもないな……もっとドラマチックな話を期待していたんだけどね」

「特に面白い話でもなくて悪かったですね……」

 ラタリはそう言い、ザック=レイターに背中を向けて仕事に戻っていった。


「ブロック! 私はこれから着替えるから、この部屋から出て行って!」

 ニムタンスは、ッブロックに向けてそう言った。

「なんだいニムタンス! いきなり!」

 いままで、部屋から追い出される事なんて無かった。

「いままでがおかしかったのよ! 人が着替えをしているところに居座るな!」

 ブロックは、ニムタンスから言われているのに、ワケが分からないという感じである。

「いいから出て行け!」

 近くにあったものをブロックに投げつけて、ブロックの事を、部屋から追い出していった。


「ラタリ……僕はどうしたらいいんだろう?」

 次の日、ブロックはラタリの働く屋敷に手紙を届けた。

「どうしたのよ? ニムと何かあったの?」

 ブロックが悩みを相談してくる事なんて、初めてであった。

 ラタリは、ブロックが話す彼の悩みというのを聞いてみた。いつも天真爛漫としているブロックが抱える悩みとは、一体何であろうか?

「ニムタンスが、着替えるからとか言って、ボクの事を部屋から追い出そうとするんだよ。

物まで投げてくるし、僕はどうしたらいいんだろう?」

 昨日の話もあり、ニムタンスがその行動に出てくるのは妥当なところだろう。

 むしろ、今まで、ニムタンスが着替え中に、同じ部屋にブロックがいても何も言わなかった事のほうが、おかしいのだ。

「それが普通よ。いままで、着替えを見られても気にしなかったのが、おかしいのよ……」

「そんなぁ! これからもニムタンスに追い出されなきゃいけないの!」

 そう的外れな事を言い出すブロックに、ラタリは白い目をしながら言う。

「これからは、ラタリの着替えのときは部屋を出て行ってあげて。本来そうするものなんだから」

 それを聞いても、納得がいかないといった感じのブロック。

「ブロックのエッチ……」

 ラタリはそう言うが、そんな事を言われるのは不本意だといった感じに、ブロックは顔をしかめた。

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