ラタリは屋敷で
「はっはっは……その子と一緒になって、手紙を守ったんだ……」
昨日の事を話すと、ザック=レイターは大声で笑い出した。
「結局、彼には何とも言っていないのかい?」
ザック=レイターは、ラタリにそう聞く。
「なんか……何を言っても無駄な気がしまして……」
「確かに、彼はそういうのに疎そうだからね」
ブロックの事を思い出しながら言う、ザック=レイター。
「本当に、鈍感なんだから……」
そう、悔しそうに言うラタリに、ザック=レイターも楽しそうに笑った。
「だけど、絵の肥やしにはなりそうもないな……もっとドラマチックな話を期待していたんだけどね」
「特に面白い話でもなくて悪かったですね……」
ラタリはそう言い、ザック=レイターに背中を向けて仕事に戻っていった。
「ブロック! 私はこれから着替えるから、この部屋から出て行って!」
ニムタンスは、ッブロックに向けてそう言った。
「なんだいニムタンス! いきなり!」
いままで、部屋から追い出される事なんて無かった。
「いままでがおかしかったのよ! 人が着替えをしているところに居座るな!」
ブロックは、ニムタンスから言われているのに、ワケが分からないという感じである。
「いいから出て行け!」
近くにあったものをブロックに投げつけて、ブロックの事を、部屋から追い出していった。
「ラタリ……僕はどうしたらいいんだろう?」
次の日、ブロックはラタリの働く屋敷に手紙を届けた。
「どうしたのよ? ニムと何かあったの?」
ブロックが悩みを相談してくる事なんて、初めてであった。
ラタリは、ブロックが話す彼の悩みというのを聞いてみた。いつも天真爛漫としているブロックが抱える悩みとは、一体何であろうか?
「ニムタンスが、着替えるからとか言って、ボクの事を部屋から追い出そうとするんだよ。
物まで投げてくるし、僕はどうしたらいいんだろう?」
昨日の話もあり、ニムタンスがその行動に出てくるのは妥当なところだろう。
むしろ、今まで、ニムタンスが着替え中に、同じ部屋にブロックがいても何も言わなかった事のほうが、おかしいのだ。
「それが普通よ。いままで、着替えを見られても気にしなかったのが、おかしいのよ……」
「そんなぁ! これからもニムタンスに追い出されなきゃいけないの!」
そう的外れな事を言い出すブロックに、ラタリは白い目をしながら言う。
「これからは、ラタリの着替えのときは部屋を出て行ってあげて。本来そうするものなんだから」
それを聞いても、納得がいかないといった感じのブロック。
「ブロックのエッチ……」
ラタリはそう言うが、そんな事を言われるのは不本意だといった感じに、ブロックは顔をしかめた。




