ブロックの手紙
「二人共帰ってきたか」
グレッグが言うと、ブロックは二人に向けて振り返った。
ニヤついた顔をしているグレッグは、一枚の手紙を持っていた。
「グレッグが、僕の手紙を読んでくれるそうだよ」
『本当は、かなり不本意だけど……』と言いたそうな顔をしたブロックが言う。
「まあそうだ。一人だけフロウから降りずにサボってたんだから、これくらいの事は、当然だ」
面白そうにそう言うグレッグ。
僕は、本当ならば、今の友達と一緒にいたいです。
みんな、バラバラになってしまうけど、どうにかしてみんなの事を繋げていきたいです。
今の僕は、今が一番楽しいと思っています。
ずっと、この時間が続くように、ずっと、楽しいままでいられるように、そういう事ができるようになりたいです。
ニムタンスにラタリにグレッグ。ありがとう。
何年か経って、この手紙を開ける事があるなら。その時は、みんながそろってこの手紙を見る事ができるように願っています。
「お前って、昔からこうだったんだな」
朴念仁で、空気を読めないくせして、人からは好かれる。そのくせ、人からの好意には気づかない。
そして、仲間をつなぐ仕事をするため、郵便配達の仕事を選んだ。
だからこそ、ニムタンスやラタリの好意に気づかないまま、長く友人同士のままでいられるのだ。
「先は長そうね……お互いに」
ラタリが言うのに、ニムタンスは頷いた。
次の日、ラタリが、屋敷の絨毯を掃除している所である。
昨日、地上に降り、土害にさらされて、体のストラを失ってしまったせいなのか? どうも体が重く、動くのがキツく感じる。
「やあ、ラタリ昨日の事を聞かせてもらおうか?」
そのラタリに、背後から声がかけられた。
「旦那様の思うような事は、ありませんでしたよ」
顔をザック=レイターから外したラタリは、絨毯の掃除にもどっていった。
「そうはいかないよ。さあ、話してもらおうじゃないか」
そう言われ、ラタリは渋々話し始めた。




