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ストラスレター  作者: 岩戸 勇太
ニムのタイムカプセル
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タイムカプセルの発掘

「タイムカプセルなんて、いいねぇ。その話を詳しく聞かせてもらえないかい?」

「旦那様……そんな事まで聞くんですか……?」

 明日にタイムカプセルを引き上げる事を、どこかで聞いていたザック=レイターはラタリの事をからかうようにしてそう言った。

 この人は、心底から楽しんでいる。それが、ザック=レイターの周りから楽しんでいるようなストラが発せられている。

「どうして、明日だって分かったんですか?」

 ラタリがそう聞くと、ザック=レイターはニヤリと笑って言った。

「郵便配達の彼が、教えてくれたのさ」

「ブロックの奴か……」

 ラタリは小さな声で言う。

 それを聞いたラタリは、小さく唇を噛んだ。それを見て、ザック=レイターはクスクスと笑う。

「いつもは、君に心の中を見透かされているけど、今日はこっちが見透かす番か……」

 そう言う、ザック=レイターは、本当に楽しそうにして言った。

「明日、帰ってきたら、何があったか教えてくれ。創作に役立たせて見せるから」

 ザック=レイターが言う。ラタリは小さな声で反論をした。

「ですが、絵の構成は、もう出来上がっているのでしょう?」

「まだ、ラフの段階だからね。今からでは書き直しはできるよ」

 つまり、ラタリの話の内容によっては、絵の構成を変える事だってありえるのだ。

「君が持って帰ってくる話しだいで、僕の作品のデキにも関わってくるからね。責任重大だよ」

 楽しそうにしながら言うザック=レイター。

 顔を赤くして俯いたラタリは、しばらく、ザック=レイターの事を見る事ができなかった。


「全員揃ったな?」

 タイムカプセルのために集まったのは四人だけだった。

「みんなにも声をかけたんだけど、みんな、仕事で忙しいみたい」

「なんだよ……結局いつものメンツが揃っただけか……」

 グレッグはそう言い、ニムタンスとラタリとブロックを見た。

「ラタリは、随分めかしこんで来たな」

 クスリと嫌な感じで笑ったグレッグは言った。

「何よ? 何か文句でもあるの?」

 ラタリは、仕事用のメイド服でやってきていた。

「別に? だけど、そんな事をしても、ブロックには何も効果が無いんじゃないかなー? と思うがな」

 グレッグは、ラタリの事を見透かしたようにしてそう言う。

「僕?」

 何も分かっていないブロックは呑気な様子でそう言った。

「別に! ブロックのためにやっているんじゃないんだからね!」

「おいおい……分かりやすいツンデレだな……」

 グレッグがたまらずに吹き出すと、ラタリは後ろからグレッグの首を絞めだした。

「笑うのをやめろ!」

 ラタリが言うのを聞き、さらに楽しそうにしているグレッグは、笑いながら、先に歩いていく。

「ここが、ストラエレベーターだ」

 グレッグが言うと、スイッチを押して、ストラエレベーターを起動させる。

 ガシャン……と音がして、エレベーターの扉が開いていった。

「それじゃあ……」

 そう言ってエレベーターに入ろうとするブロック。そのブロックを、ラタリとニムタンスの二人は、背中に飛びついて止めた。

「二人共、どうしたの?」

「ブロックの仕事は、ストラを多く使うから大変でしょう? 私、今日は休みになっているし、私が言くわ」

 ニムタンスが言う。それに合わせて、ラタリも言う。

「そうそう、私の仕事だって、そんなにストラを使うものじゃないし、ちょっとくらいストラを吸われても、仕事には支障がないから……」

 そう言い、ラタリとニムタンスはバッグの中からゴム手袋とゴム長靴を取り出した。

「ブロックはここにいて!」

 二人で、同時にブロックに向けて言うラタリとニムタンス。

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