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チュートリアルはあまりに多いと全部やる前に本筋に入りたくなる  その2


「それでは、これより戦闘の適性審査を開始します」


そういうと自分のキャラと試験管が互いに向かっていき、触れ合うと同時に

大きくバックステップをして、距離をとる。

その直後、画面に様々なアイコンや数値が表れ、BGMも重厚かつ緊迫感のあるものへと変わる。

ちなみに今の自分のキャラは上下灰色の服の上から簡素な作りの皮の鎧を装着、

そして右手に持ち構えている武器は普段腰に下げている少し短めの剣、いわゆるショートソードと言われるものだ。また、剣の持っていない左手には銅でできていると思われる茶色っぽい円形の小さな盾を装備している。


「通常、画面内に見えている敵に触れる事で戦闘となり、今のような戦闘画面に変わります」


そして、画面にある数値やアイコンの説明がされていく。


「まず、画面の説明をさせていただきます」


剣を握り、構えを取りながら事務官の言葉通りにアイコンや数値がピックアップされ、その部分の説明がされていく。


「まず右上にある2つバーとその横にある数値、上があなたの体力であるライフポイント、下がスキルなどを使う際に必要なマジックポイントです。

どちらかがゼロになった時点で戦闘不能となり、コンテニュー、ログアウトとチャット以外の操作ができなくなります。

相手にも両方の数値が設定されており、同じくどちらかがゼロになったら戦闘不能。

倒したとみなされその敵に応じた経験値とお金、一定確率でアイテムが手に入るという訳です。

なお、今回の戦闘では仮に試験管を倒したとしても経験値とお金は手に入りませんが

賞品としてアイテムを差し上げます」


「アイテムねえ。良くて初心者用の装備品かな。回復アイテム数個、下手すれば1個とかもあるけど」


とにかく、勝たない事にはしょうがないのできちんと説明を聞く。

クリックすると次のアイコンの説明に入り、今度は剣のマーク、杖のマーク、道具袋のマーク、棒人間が走っているマークが時計回りに表示されているアイコンがピックアップされる。



「次にコマンドアイコンについての説明をさせていただきます。

 まずは剣のアイコン、これは通常攻撃ボタンでMPを消費せずにできる攻撃です。

 攻撃だけでなく防御もこのコマンドより行えます。

まず、ステータス画面で習得している通常攻撃スキルからいくつかを選択、

セットしたスキルからコマンドを選択、攻撃といった形になります。

現在はまだセットできるスキルは2つのみでコマンドも攻撃と防御しかありません。

しかし、Lvが上がることでセットできる数も増え、

Lvを上げるか特定のアイテムを使う、またはクエストクリアなどの報酬で

NPCから教えてもらうといった方法でスキルを覚えていきます

では、実際に通常攻撃で相手を攻撃してください

剣のアイコンをクリック、出たスキルウィンドウから通常攻撃を選択すると

 キャラが攻撃を行います」

そこで一旦説明が終わり、自分のキャラを操作できるようになる。

とりあえず言われた通りに操作すると自分のキャラが相手に向かっていき、

試験管を斬りつける。

すると、試験管の上に白い字で『32』という数値が出た。おそらくこれがダメージ量なのだろう。多いのか少ないのかは分からないが、自分のライフの値である525から考えるとそんなに大ダメージという程でもなさそうだ。

「次は防御です。試験管が攻撃するので『防御』を選択してください。

 防御をした場合、相手からのダメージを半分にする事ができます。

本来は、自分のターンで既に攻撃をした場合、防御は選択できないのですが

今回はチュートリアルの為、先程の攻撃はカウントせず、再びあなたのターンからとなります。それでは通常攻撃アイコンをクリックし、防御を選んでください」


言われた通りの操作をこなすと、今度は自分のキャラが盾を前に出し構え、

身体を少し屈めて足腰に力を入れるような体勢になる。

そして、試験管がこちらに向かって走り、剣で斬りつけてくる。

しかし、構えていた盾に当たり多少後ろに下がり怯んだだけとなる。

それでもシステムとしてのダメージはあるようで今度は自分のキャラの頭上に

白い字で『8』と表示され、体力を示す数値、斜め線で区切られた左右の同じ数値だったものが左から8引かれ、517という数になる。


「次にスキルにういての説明をさせて頂きます。

 スキルはライフポイントの下に表示されているスキルポイント、通称SPを

 消費して使うことのできる特殊技であり、魔法や必殺技などがこれにあたります」


次の説明が始まると同時に今度は杖のアイコンが点滅し、スキルの説明が始まる。


「使い方は通常攻撃と同じく、スキルアイコンをクリックして表示されたスキルから使いたいものを選ぶだけです。ですがスキルポイントがなければ使えませんのでご注意ください」


「スキルは実践なしか。まあ通常とやり方は殆ど同じだからなんだろうけど」


そして、説明は続いていく。


次に戦闘中のアイテムの使い方、そして最後に戦闘からの逃走方法をレクチャーされ―


「それでは、最後に先程教えた事をふまえて試験管と戦闘を行ってください」


「いよいよか、でもこれってよくあるMMORPGみたいなアクション系じゃなくて

 普通のRPGみたいなコマンド選択型なんだな。

 RPGとしては定番だけどMMOでは意外と珍しいな」


通常、大抵のMMORPGは戦闘部分がアクションになっているものが殆どである。

だが、リベロファンタジアでは表示されているコマンドから行動を選んで操作する。

戦闘システムを採用している。


「多分、他のゲームと差別化を図ったのだろうけど、評判はあまりよくないよねこのシステム」


メーカーの意図としてはアクション性重視である他のMMORPGと異なり

なおかつ従来のゲーマーにもある程度馴染みの深いシステムを採用する事で差別化を

狙ったようだが、ゲーム自体が自由度の高い作りの為、コマンド選択後は勝手に動き攻撃する、その為、動き回り死角からの攻撃を行う、間合いを見て回避するといった

アクション系の戦闘システムで可能な操作ができない為、戦闘システムだけ自由度が狭まっているように感じるというのが多くのユーザーからの批評である。

さらに、あくまで噂であるがこのシステムはサーシャルゲームへの転換を見据えての

試験的な意味合いもあるのではとも言われており、これも戦闘システムへの不満の1つとなっている。


「確か、近い内にシステムの見直しがされるって噂があるけど…っと次の画面か」


そんな事を考えている内に画面から説明用の会話ウィンドウなどが消え、戦闘画面のみとなる。

まずはこちらが先攻らしく、自分のキャラがアップになる。

「スキルは…まだ1つもないか。まぁ初期状態だしね。

 という事は通常攻撃しっぱなしか。それでも確率で負けそうだけどね。こういう最初のバトルって」


コマンドメニューにカーソルを合わしクリック、説明と同じように通常攻撃を繰り出す。

相手に命中し、ダメージ表示が出る。

そして、相手が反撃してこちらもダメージを受ける。

 途中、試験管が防御をしてきたが大体はこの繰り返しが続いていく。


「…ワンパターンだな。あ、終わった

 これ、途中に向こうが防御したから勝てたけどライフ的に考えて攻撃のみでやられていたら負けていたよね」

 

8ターン目において自分のキャラの放った斬撃が試験管に命中すると、その場で膝をつき

画面に経験値とお金が幾ら貰えたかを示すウィンドウが出る。

経験値とお金の欄はゼロだったがその下にある欄には『回復薬×5を手に入れました』

と表示されていた。これが事前に言われていたアイテムなのだろう。


「…思った通り微妙だったな。まぁ最初は資金も少ないだろうし、ないよりはいいか」


そして戦闘画面から普通のマップに切り替り、イベントが進んでいく。


「おめでとうございます。審査の結果あなたの適性が証明されたため、

 ソルジャー職の許可が降りました。

 これであなたはソルジャーとしてこのアルディア王都に滞在が許されます」


その後、ファンファーレと共に『戦闘チュートリアルが終了しました』という

メッセージが表示され


「それでは、貴方のこれからの健闘を願います」


という審査官の言葉と共に場所が切り替り、城の外にいる自分のキャラが映し出される。


「さて、次は……ん?」


戦闘のチュートリアルも終わり、次にいこうとしたところで携帯が鳴り出す。

手に取り相手を確認するとバイトをしているコンビニからだった。


「はい、もしもし。これからですか?

 予定は特にないから大丈夫ですけど、はい分かりました。すぐ向かいます。

 いえ、平気ですって。それじゃ」


電話を切り、外出の準備を始める。


「急にバイトが休んだかたヘルプで来てくれって、あの人いつも無断欠勤するじゃん。いい加減クビにすればいいのに………」


無責任なバイト仲間に恨み言をこぼしながらも支度を終え、PCをシャットダウンして


(そういえば今日、アイツもシフト入っていたよな。前からリベロに興味あるみたいだったし、ついでに少し話してみるか)


高校からの付き合いであり、同じ大学に通う友人を思い浮かべながらバイト先へと

向かう。



できればアイツはクエストメインのキャラ作ってくれないかなぁ…等と

皮算用をしながら。






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