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チュートリアルはあまりに多いと全部やる前に本筋に入りたくなる  その1




(ふう、やっと再設定終わってプレイ開始できる。なんていうタイミングでエラーはくんだよもう。やっぱりパソコンそろそろ買い換えようかなぁ。でも近々欲しいゲームが纏めて発売されるんだよなぁ)

広大な草原、その中に悠然と聳え立つ城。その前に1人の男が立ち、もの思いにふけっていた。

…考えていることは全く世界観に合ってなかったが。


「まぁ、とりあえず中に入るか。それで、その後に入り口の付近にいるNPCに話しかければ操作説明などをしてもらえるのだっけ」

大抵のゲームがそうであるように、ゲームを始めたら最初にあるのは操作やシステムを実際に触り覚えるチュートリアル。

リベロファンタジアもその例に漏れず、世界へと降りた瞬間に上にウィンドウが開き、

マウスで行きたい視点をクリック、またはパソコンのテンキーを使いキャラを操作して

城へと入るというクエストの指示が届く。

「んで、到着っと…。まぁ、数歩歩かせるだけだから当たり前か。それで次のクエストは

地図を見て王城まで行け…か」

今回、リュウゴがいる街は世界の中でも中心に位置する巨大王都『アークディア』

国王の住む巨大な城を中心に様々な店、民家が立ち並び、城下町の王城へと続く通りは

出店が立ち並び、いつでも祭りのような賑やかだ。

その為、ここを拠点に活動するプレイヤーも多く、情報交換なども頻繁に行われている。

おそらく、プレイヤーが最も訪れる頻度の高い場所だろう。

「ここは南門だから…、結構距離があるな。向かいながら道中どんなものがあるのか

確認しておくか。おそらくそれも意図されてのクエストだろうし」

そのまま王城のある北へと進む。

門の前は人がまばらだったが、北に向かうにつれ人や建物が多く見えるようになってくる。

そこにはNPCだけでなく、自分のようなプレイヤーキャラも数多くおり

あまりの多さに自分のキャラが時々どれか一瞬分からなくくらいだ。

そんななので、そこまで高いスペックでないパソコンを使っている為か、中央広場の前辺りから動きが全体的にカクカクしてきており、慣れてないこともあって必然的に移動も遅くなってくる。

また、オープンチャットでの会話も沢山交わされており、自然とコメントログが溜まっていく。

「やっぱり人が多いな。土曜の夜っていうのもあると思うけど。

 流行っているのは本当みたいだな。その証拠に…」

自分の前後に同じ方向に向かうキャラが何人かいるのが確認できる。

どのキャラも自分と同じく基本装備、さらに動きもどこかぎこちない。

「新規参入者も続々増えているみたいだし、これ全員が課金している訳じゃないにせよ

いわゆる『廃プレイヤー』の事を考えれば…、そりゃ無料にしても利益が出るし

ムービーやグラフィックも凝れるわけだわ」

そんな事を考えながらも進んでいく。

そして中央広場を抜けると、城下町に出た。


アークディア城下町。

ここの特徴は、城に続く道に出ている数多くの出店である。

ジョブの中にはこのように自分で物を直接売れる『出店スキル』をもつ者がおり、

今、広い道に出ている出店の中にはプレイヤーが直接出店しているものである。

本来、出店は普通の町にあるような建造物でもできるが、建物のレンタル金や

許可を取る為のクエスト、スキルのLvをMAXまで上げるなど条件が厳しい為

大抵のプレイヤーは、出店が可能な城下町でこうして物を売っているというわけだ。

「さっきもすごかったけど、ここも負けず劣らずの人ごみだな」

ぼやきながらも歩を進める。

途中で出店もいくつか出ていたが、始めたばかりで最初のクエスト報酬100ルドほどの

お金しか持ってない現状では何か買えるわけでもなく、売っているものの確認という名の

冷やかしをしながら進んでいく。

「たっかい武器やアイテム…、非売品のレアドロップとかか?

 だけじゃなくて消耗品や食品もあるな」

このゲームには料理システムもあり、材料を採ってくる、または買うなどして料理を作り

売ることもできる。

料理には種類ごとに様々な効果があり、戦闘職は勿論のこと

非戦闘職にも効果のある料理もあり、武器などを違い幅広い需要がある為

よく店先にも並んでいる。


そんな感じで歩くと目の前に巨大な城とそれに負けないほど大きな城門があり、

両端にはNPCの門番が2人立っている

「ここか。えーと、門に近づけばいいのか?それともNPCに…」

そんな事を考えながら城門に近づいていくと門番2人に呼び止められ、

自動でイベントが進んでいく。


「止まれ。この城になんの用だ」

右にいた男が威圧するように強い口調で話しかけてくる。

左の男はこちらを黙って見ていたが、右の男が話し終えると合点が言ったように頷きながら

「…なるほど、新規滞在希望者か」

自由がウリのこのゲームだが全てのプレイヤーはこのアルディア王都に新規滞在を希望する為に王都の城に来る。という冒頭部分のみは共通している設定となっている。


 

「ふむ、そういう事なら案内しよう。おい、暫く頼んだぞ」

「わかった」

そのような会話の後、右の男に連れられて城の中へと入っていく。

城の中は細部まで見事に作りこまれており、所々にある絵画や壷などの調度品、壁の模様までもがくっきり見えるほどだ。

そんな豪華絢爛な入り口から逸れ、どんどん進んでいき、ある場所で門番は突然立ち止まった。

「ここだ。ここで書類審査や入国手続きをとってもらう。

 といっても犯罪者でないか、名前や職業などを偽って申告してないかを確認するだけだが。あと分からない事があればここで聞いておくことだ。

ここの事務官は親切だから丁寧に教えてくれる。特に戦闘や日常の仕事に関する実践説明はここでしか受けられない。もしお前が初心者だったら受けることをおすすめする。

それじゃあ入るぞ」

一通りの説明の後、門番がドア開ける。

(何か色々教えてくれたし、口調に反していやに親切だな。

このNPC…、ツンデレか?)

「事務官、入ります」

そんな完全にどうでもいいことを考えている間に門番がドアをノックしした後に扉を開け、中に入る。

中はそんなに広くなく、白塗りの部屋に赤い絨毯が敷かれ、奥には長机があり

数人の男女が書類に向かい作業をしている。

すると、中央の男が作業を止めこちらを向く。

年齢はおそらく50前後、オールバックになっている白髪の頭髪と顎髭はキレイに整えられ、顔立ちも相まってダンディな魅力を感じされるイケメンおじさまがそこにいた。

「おお、キミか。そこにいる方が新しい滞在希望者かね?」

「はい、おそらく書類が既に行っていると思いますが…」

(書類…、ゲーム始める前のキャラメイクが書類作成と発送だったという設定か?)


「ふむ…、リュウゴ君で。職業はソルジャー希望ですか。戦闘職は危険な事も多いけど

 健康面や心構えなどその辺は大丈夫ですか?」

そこまで会イベントが進む『はい、いいえ』という選択肢が出現する。

(…こういうのって『はい』が正解だと分かっていても『いいえ』とか選びたくなる時

あるよな~。どうなるのかって好奇心で)

そんな事を思いながら試しに『いいえ』を選んでみる

「おや、それは困りましたね。だったら街の中でする仕事もありますがどうしますか?」

ここでまたさっきと同じ選択肢が出現。

(んー、これはループ…じゃなそうだな。ここで『はい』選ぶと戦闘職じゃなくなるのか?確かにこのゲームは街の中でできるクエストをこなすのがメインの非戦闘職もあるけど、最初はやっぱり戦闘やってみたいよなー。

RPGなんだし、戦いがないと)

気になったものの万が一あると困る為、今度も『いいえ』を選択

「そうですか。しかしこちらも滞在して頂く以上、自信の無い人を危険な場所に無闇に送り出すわけにはいかないのです」

(え、これマズった?)

「ですので、まずはあなたの適性を確かめさせていただきます。

 少々お待ち」

 そう言うと事務官は隣で作業をしていた部下らしき人に何やら指示を出し

 画面が一瞬暗くなる。

 そして元に戻ると再びイベントが吸うs実

大変お待たせいたしました。準備ができまたので案内いたします。

ついて来てください」

そしてまた移動。

今度はかなり広い場所に出る。そこには鉄の棒に簡素な鎧を被せた人形のようなものがいくつかあり、壁には剣や槍などの武器が掛けてある。

「こちらで試験管の方と模擬戦をさせていただきます。

 その際に基本的な戦闘方法なども一緒にレクチャーし、その戦いぶりを見て

 あなたがソルジャーに相応しいかを試験管の方と一緒に検討させていただきます。

 なお、勝敗は検査の結果には左右されませんのでご安心ください」

どうやら戦闘のチュートリアルのようだ。

いきなり最初からジョブ変更という事にはならなかったが、まあそもそも

仮にも幅広い層に大人気のゲームに最初からそんなトラップが仕込まれている可能性はわけだが。


自分達の入ってきた所の向かい側にある扉から鎧を着込んだいかにも強そうな男性が入ってくる。どうやらこの人が試験管のようだ。


「それでは、早速ですが始めさせていただきます。準備はよろしいですか?」

その言葉の後に自分のキャラが頷き、試験管と自分のキャラが武器を構え

相対する。

初めての戦闘、その直前になっても自分は1つの疑問を抱いたままだった。






(…あれ、『はい』選んだら戦闘のチュートリアルなしだったのかな。

 もしそうだったら何て分かりにくい選択肢なんだ…)


 



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