プロローグ
はじめまして。とらです。
初投稿なので、拙い文章ですが、一生懸命書かせていただきます!!
あまり舗装されていない赤茶けた煉瓦敷きの道が幾重にも分かれながら続き、まるで迷路のように見える。
真夏の空気はたっぷりと水分を含み、粘つくような不快な刺激を肌で感じとれた。
茹だるような熱気の中を、いかにもけだるそうに一人の男が歩いていく。
中肉中背。陽射し対策だろうか、深く被ったフードのせいで面立ちはわからない。
しかし、フードの端からは見える色の薄いみどりがかった茶色の巻き髪は、人目を集めるには十分だった。
男は手に持った小さな紙に目を落とすと、誰にいうでもなく呟いた。
「…白蓮人形館はどこだ?」
~~~~~~~~~~
俺の名前はライル。
今を輝く勇者だ!と、言いたいところだが残念ながら違う。
職業無し。特技無し。これといった趣味もなし。彼女もいない。
頭は悪いってわけじゃないが、ずば抜けて良いわけでもなく、ぼちぼちってところだ。
救いは顔だけは悪くないってことかな。
これで貴族の家にでも生まれていれば、社交界では花形として活躍する機会もあったかもしれない。
ま、普通に平民ですけどね。(笑)
大人になってもとくにやりたいことも見つからず、惰性で実家の料理屋を手伝っていた。
周囲のやつらは冗談めかして怠け者やら臆病者やら言ってくるけど、命を懸けてまで冒険者やる勇気なんてないし、一生をかけて極めたい技なんてのもない。
自分でもちょっとだけ思ってた。
自分が夢中になるものなんて、一生見つからないんじゃないかって……。
彼等と出会うあの日までは。