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タイトル未定2026/03/06 12:52

仕事を転々として、もう人生からフェードアウトするつもりだった。

好きなゲームやアニメの続きも気になっていたけれど疲れ果てていたのだ。



私が死んだのか、寝落ちしたのか、今でもよくわからない。気づいたら、天井がきらきら光っていた。

白衣の人たちに取り囲まれて、魔法だの召喚だのと騒がれて――気づけば私は、この研究室の「雑用係候補」になっていた。



王立魔導研究局・第三実験室。その片隅で、私は新米(仮)雑用係として座らされていた。

「で、つまり……私、ここで何をすればいいんですか?」

研究室の片隅。白衣の人々の視線が一斉に私に集まる。

紙の山、光る装置、そして見たことのない煙。

うん、混沌。「とりあえずお茶でも淹れます?」

「君、まるで落ち着きが違うな……」半ば呆れ声でため息をついた人物が、一人。

淡い金髪、優しそうな顔。でも目つきだけがやたら冷静だ。

彼女の名はリオ。若くして研究局の主任補佐を務める魔導研究員で、私の指導係に任命されたらしい。

「指導っていっても、何を教えるのか……」

「え、掃除道具の場所とかですか?」

「……それ以上に問題が多いですね」リオが机の上を指さす。

見れば、何やら光る板にぐちゃぐちゃの文字がびっしり。「これが最新の“立体詠唱式”です。装置が反応しない原因を――」

「あ、これ行間ずれてますね。括弧閉じてない」

「括弧!?」

「ほら、“もし〜なら”で締めてないから、ずっと条件迷子ですよ」

「条件迷子って何語です!?」話してるうちに、私はつい手が動いていた。

紙を整え、文を揃え、句読点を入れる。

それで試しに読んでみたら――「リオさん、光ってきましたけど!?」

「まっ、待って、やめ――」ドンッ!!部屋中に光の粒が弾けた。数秒後。

全装置が一斉に正常稼働を始める。「……止まってた魔導炉が、動いた」

「本気で?」

「い、いやぁ偶然……たぶん……」「偶然で魔力炉が動くなら、世の中もう少し平和ですよ!」

「ですよねぇ……」一瞬の静寂のあと、全員が感動で拍手。

「雑用係すごい!」「救世主か!?」いや待って、それは困る。責任が重い。「あの、私まだ掃除係のつもりなんですけど……」

「契約更新の書類、用意しときますね」

「え、早っ!!」こうして私は、“雑用係(兼)奇跡の立会人”として正式採用された。リオは隣でメモを書きながらため息をつく。

「あなた……やっぱりなんか持ってますね」

「いえいえ、たぶん前世の業務癖です」

「業務で世界救う人、初めて見ましたけど」

「えっ、自覚なかったんですけど」


研究室の新しい一日は、そんな感じで始まったのだった。

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