元公爵令嬢アリスは、今宵も血濡れた人形を抱えて笑うーー父母が死に絶え、独り残されたアリスは、母の形見の人形と一緒に侍女奉公。そして今宵、復讐すべきは、引き篭もり息子とその母親!正義の鉄槌を喰らえ!
◆1
ダレイオス王国の王都パールーー。
街中の一軒家で、アリスは、お母様の臨終の場面を夢に見ていました。
使用人が一人もいなくなった大邸宅で、お母様は天蓋付きベッドで横たわっています。
そして、枕元には空になった小瓶が、いくつも転がっていました。
その瓶には本来、遅効性の毒が入っていて、お母様がすべて飲み干したものでした。
お母様ーーメネシス公爵夫人は、娘のアリスの手を取って、人形を手渡します。
「この子を私だと思って、貴女の心の内を何でも話してね」
か細い声でそう言ってから、あの世に逝ってしまう。
「お母様!」
と叫んだところで、アリスは、パッと目が覚めました。
再び、大好きだったお母様の臨終の場面を体験したようで、アリスの目には涙が溢れ、視界がぼやけています。
ゴシゴシと手で涙を拭うと、間近に天井が迫り、一枚板の木目までが良く見えました。
アリスは、改めて半身を起こし、自分が寝起きする部屋を見渡します。
夢で見たような、華美に装飾された大邸宅の部屋ではありません。
周囲を見回せば、低い天井の下、ベッドが六つも並んでいます。
同僚の侍女たちとの相部屋だったからです。
ここは平民街にある木造一軒家の二階にある侍女部屋ーー。
アリスは、この街中の侍女斡旋所で、住み込みで働いているのでした。
アリスは夢での出来事を思い出し、首を強く振ります。
そして、あまりの悲しさに、枕元で、すぐ隣に手を伸ばしました。
母の形見の人形リリアが、いつも添い寝してくれているからです。
リリアは真っ白なレース付きのドレスをまとった、青い瞳をした金髪のお人形でした。
「リリアちゃん、私、怖い夢を見たの……」
アリスは、人形のリリアを、ギュッと抱き締めます。
母親の服毒自殺によって、公爵令嬢アリス・メネシスは、天涯孤独になってしまったのでした。
でも、こうして、母親が残してくれた、形見の人形があります。
このお人形は、お母様も、自分のお母様からいただいたものだ、と言っていました。
ご先祖様が代々、子供の頃から遊んできた人形、ということになります。
アリスよりもずっと長い歴史を、母方の祖先たちと代々、共に歩んできた人形です。
アリスにとっては、お母様、お祖母様とも思われる存在でした。
実際、悲しいこと、辛いことがあったら、お母様だと思って、アリスは、このお人形に何もかも打ち明けてきたのでした。
◇◇◇
アリスはベッドから降りて、軽く伸びをすると、階段を降り、一階の事務室へと向かいます。
廊下で、はあ、と息を吐くと、白い息が出ます。
冬も半ばになっており、相当気温も低くなっていました。
アリスは昨日まで休暇をもらっていました。
なので、今朝は早起きをしないで、ゆっくりと起きることができたのです。
(でも、また今日からは仕事だわ。
頑張らなくっちゃ!)
アリスは、フンと鼻息を強くします。
事務室に顔を出すと、暖炉の火が赤々と燃えていました。
事務室の奥で机を陣取っているのは、斡旋所で事務長をしているイメルダです。
彼女は昔、アリスのお屋敷で侍女頭を務めていて、その縁故で、実家が取り潰しになったあと、アリスをこの侍女斡旋所で引き取ってくれたのです。
イメルダは、忙しそうに書類を繰っていましたが、アリスの来訪に気付くと、優しく微笑みかけてくれました。
「おはようございます、アリス様」
アリスはスカートの裾をちょんと摘み上げて、お辞儀をします。
「おはようございます、事務長様。
お忙しそうですね」
旧主のお嬢様から丁寧に挨拶され、少し気恥ずかしげに、イメルダは苦笑します。
「ええ、そうなんですのよ、アリスお嬢様。
急な依頼が来てしまって、困っています」
「どのようなものなのでしょう?」
イメルダはアリスに書類を見せました。
アリスが覗き込むと、それは侍女の派遣を頼む依頼書でした。
記されていた住所から、平民街のお屋敷からの依頼だとわかります。
侍女派遣を希望する依頼主は、五十代後半の未亡人で、住人はその息子と二人暮らしとのことでした。
依頼の内容は、お屋敷の掃除や簡単なお料理、そして主に奥様の話し相手をしつつ、閉じこもりがちな息子さんの身の回りのお世話をしてもらいたいーーなどとなっていました。
アリスは小首を傾げます。
「そんなに難しそうな依頼には思えませんが……」
「でもねえ。嫌な予感がするんですのよ。
その家、近所での評判がとっても悪うございますので」
イメルダの溜息に応じるように、平民上がりの先輩侍女ラミーが、お菓子を頬張りながら、口を挟んできました。
彼女は非番で、ソファの上でゴロゴロしていたのです。
「なんでも、その家、お貴族様なんだってよ。
伯爵だったか、子爵だったか」
そこへ、アクビをしながら老所長のメルがトイレから戻ってきて、
「だったら、どうしてアベル通り沿いの裏手に住んでるのよ?」
と疑問を呈しながら、イメルダの隣に並ぶ事務机を前にして座ります。
アベル通りは、平民街の幹線道路です。
その依頼書にあるお宅は、平民街にあるようなのです。
そもそも、貴族家が平民街に居を構えているのは、大変、珍しいことです。
イメルダは目を大きく開いて、改めて姓を見てみました。
「ホワイト……ひょっとして、ホワイト伯爵?」
メル所長が、隣の席から身を乗り出します。
そして口許に手を当てて、恒例の、イメルダとのヒソヒソ話を始めました。
「あら、イメルダ、そのお家、知ってるの?」
「ええ。アリスお嬢様の亡きお母様が、その家の奥方様と懇意にしてたもの」
アリスの実家、メネシス公爵家で、かつてイメルダは侍女として仕えていたから、遺児のアリス以上に、メネシス公爵家の事情に通じています。
彼女によれば、メネシス公爵家とホワイト伯爵家は、寄親・寄子関係にあったらしい。
「ということは、そのお宅のご婦人は、メネシス公爵家のお取り潰しに関わって、今は平民街に居を構えておられる、と?」
メル所長も、貴族社会のゴシップに精通しています。
眉間に指を当てつつ、往年の記憶を呼び起こしました。
「ホワイト伯爵ーーたしか、ご当主はレビン様でしたっけ。
レビン伯爵様はご存命で?」
「だったら、母子二人暮らしになってないわよ」
「やっぱり、メネシス公爵家同様、ホワイト伯爵家もお取り潰しに?」
「そうでもないみたいよ。
いまだにご近所さん相手に、奥方様は『伯爵夫人』と呼ばせているらしいし」
近所の方々は裕福な商会関係者が多いようです。
とはいえ、財産があっても身分は平民なので、「ホワイト伯爵夫人」には頭を下げることが礼儀とされていました。
「となると、侍女斡旋所から派遣するにも、難しいわね……」
侍女斡旋所は、社会から押し出された女性の吹き溜まりといえます。
アリスのような元高位貴族のご令嬢から、下は奴隷上がりの女性までいます。
当然、貴族家への派遣は、貴族の作法が身に付いた女性を派遣することになっていました。
ですが、あいにく、今は二人いる貴族出身の侍女が出払っています。
「あら。もう一人、貴族のご令嬢がおられるんじゃなくて?」
先輩侍女ラミーは、アリスに目を遣りました。
同僚の侍女たちは、アリスの素性を知りません。
でも、その立ち居振る舞いから、貴族家の令嬢上がりなのは見て取れました。
わずか十二歳でも、仕草に身分が顕れるのですから、考えてみれば、怖い話です。
「でも、ホワイト伯爵家となるとねえ……」
今回の依頼主は、アリスの実家がお取り潰しになった事件に、関わりのある家のようです。
しかも、メネシス公爵家の味方をしたのか、裏切って敵に回ったのかは、良くわかりません。
イメルダとメルが、顰めっ面をしています。
ですが、当のアリスは、自分の実家が滅ぼされた事情を知りませんし、気にも留めていません。
元気に働いて、毎日を生きて行くだけです。
なので、アリスは、
「私で良ければ、伺いますわ」
と明るい声を上げました。
◆2
「ここが、派遣先のお屋敷ね」
アリスは、白い息を吐きました。
その日の午後には、ホワイト伯爵家のお屋敷の前に立っていたのです。
目の前には、緑色の屋根を戴いた、木造二階建てのお屋敷がありました。
建物の規模からいって、三階部分に相当する屋根裏部屋も、かなり広いと見受けられます。
表札には、白地に薔薇と蛇をあしらった家紋が掲げられていました。
家紋を掲げ、伯爵号を名乗るからには、依頼主は貴族家の者に違いありません。
ですが、なぜか平民街に居を構えています。
周囲を見渡すと、平民街ゆえ、貴族街と比べると、住宅が密集していました。
貴族邸にありがちな広大な庭もありません。
住宅街専用通路に面した玄関との間に、簡単な柵があるだけです。
とはいえ、貴族街にほど近い位置にある、裕福な商人たちが住む住宅街です。
邸宅自体、建物としてはかなり大きく、一つの屋敷で部屋が十室以上はある規模を誇っていました。
アリスは派遣先の事情を深く詮索しません。
気にしているのは自らの服装ぐらいです。
貴族家に派遣されてきたのですから、失礼のないよう、青地に白いヒラヒラが付いた、真新しいドレスを着込んでいました。
自分の頬をパチンと叩いて、気合を入れます。
「さあ、今日から、このお宅でご奉公しますよ。
リリアちゃん、一緒に頑張りましょう!」
アリスは右腕一本でリリアを抱きかかえます。
一方、リリアちゃんは人形ながら、青い透明のガラスの目で、ジッとその屋敷を見詰めています。
そして、お屋敷の二階の窓だけ、黒く塗り潰されていることに気がついたようでした。
何か、怪しげなモノでも、隠れているかのようにーー。
柵を越え、玄関を叩くと、奥様のダリア・ホワイト伯爵夫人が、アリスを出迎えてくれました。
丸々と太った初老の貴婦人で、白い扇子を手に、ピンクのドレスをまとっています。
「まぁ。こんなに可愛らしい女の子が侍女に来てくれるなんて、嬉しいわ。
その腕に抱いているお人形さんも可愛らしい。
まるで、おとぎの国から来た少女みたい」
ダリアの奥様は、アリスをとても気に入って、喜んでくれました。
さっそく応接間に招き入れてくれて、暖炉にあたらせてくれます。
暖かいミルクも、カップに注いでくれました。
(なんて、優しい奥様なんでしょう……)
アリスは涙を浮かべてしまいました。
ダリアの奥様は、自分のふくよかな頬に指を立てながら、アリスに話しかけます。
「しばらくーーそうね。
屋根裏部屋が空いているから、一週間は住み込みで働いてちょうだい。
息子が気に入ってくれたら、専属の侍女として採用しますから」
暖かいミルクのカップをテーブルに置き、アリスは慌てて手を振りました。
「いえ。私は派遣の身なので……」
ダリアは目を丸くします。
「あら。通いよりも、貴族家の専属になった方が生活が安定しますでしょ?」
「でも、斡旋所の方々にはお世話になったので……」
「変わった娘ね。
でも、わかったわ。
とりあえず、一週間はお願い。
私が起きるのは朝の八時です。
それまでに、掃除と朝食の用意をしていただけたら助かるわ。
朝食後は、私も家事を手伝いますから、一緒に頑張りましょう」
奥様は腕まくりをして笑いました。
相手が侍女でも、分け隔てなく接する、気さくな性格のようです。
アリスも微笑みました。
(まるで、親戚のおばさんみたい……)
素朴な感想でしたが、そのアリスの予想は当たっていました。
ダリアの奥様は、十二歳の少女を相手に、それから延々と家庭の事情を愚痴り始めたのです。
夫のレビン・ホワイト伯爵に先立たれて以降、今は三十一歳になる息子アーレイと二人暮らしだそうで、アーレイはろくに口を利いてくれず、奥様は寂しく思いながら暮らしているのだそうです。
実際に、自慢の息子さんは部屋に閉じ篭もり切りで、たまに食堂に顔を出しては、食糧を持って自室に帰って行くだけの日々でした。
それでも、アリスが屋根裏部屋をあてがわれて、ホワイト伯爵邸で暮らすこと三日ーー。
さすがに三十オーバーの息子アーレイと、何度か顔を合わせることがありました。
アーレイは小太りで、茶色の頭髪はボサボサで、無精髭を顎に生やしています。
二階の自室から階段を降りて来るときは、たいがい上半身は白い下着一枚で、下はダブダブのズボンを穿いています。
丸い顔をしていますが、不自然なくらい大きな目をギョロギョロさせて、いつも不貞腐れた表情をしており、可愛げがありません。
褐色の瞳には生気がなく、目の光は鈍いものでした。
ところが、顔を合わせること四回目ぐらいのとき、人形を胸に抱えたままのアリスを階段の上から見下ろした際、アーレイは目を輝かせていました。
それのさまを目敏く見つけた奥様のダリアは、手を合わせて喜びました。
「あの子の嬉しそうな笑顔を見たのは、数年ぶりだわ。
子供の頃は本当に愛らしい子だったの。
アリス、貴女のことが気に入ったのよ。
午後のお茶を持っていって、息子と一緒に、お話ししてきてちょうだい」
本来伯爵邸で寝泊まりすること四日目ーー。
奥様からの依頼を受け、ついにアリスはティーセットを持って、息子アーレイ・ホワイトの部屋を訪れたのでした。
◇◇◇
三十オーバーの息子アーレイが引き篭もっている部屋は、二階にありました。
アリスに与えられた屋根裏部屋の、ちょうど真下に当たります。
ノックをして、アリスは引き篭もり息子の部屋に入りました。
中に入ると、当然ながら、アリスの部屋より天井が高く、面積も随分と広かった。
部屋の奥には暖炉があり、たくさんの薪が焚べられていて、炎が赤々と燃えています。
冬とは思えない暖かさでした。
それに、昼だというのに、全体的に薄暗かった。
理由は簡単。
窓という窓に、黒い布がかぶせられていたからでした。
その訳も、アリスには想像がつきました。
三十を超えたオジサンが住むには、要らないものがたくさんあったからです。
ゆったりとした空間には、驚いたことに、女性用のドレスがたくさん散らばっていたのです。
赤や緑の色をした、金糸の刺繍を縫い込まれた上品なドレスもあれば、麻布で仕上げた平民の女性仕様の衣服もあり、まるで衣服店のようです。
これらのドレスを、オジサンが着るのだとすると、たしかに窓を黒い布で塞いで、外から見えないようにするのもわかります。
広くありながら、この部屋は、中年息子の隠れ家だったのです。
木製のミシンも裁縫セットもありました。
三十オーバーの引き篭もり息子の趣味は、洋裁と女装のようでした。
現に、アリスが顔を出したとき、アーレイは椅子に腰掛けて、しきりにミシンを踏んでいました。
アリスがお茶を持ってきたと知りながら、顔を上げようともしません。
アーレイの頭髪は相変わらずボサボサで、今日は上下とも下着姿で、股間に手を伸ばして、無造作にボリボリと引っ掻いていました。
アリスはそんな三十男アーレイを目にして、思わず顔を歪めてしまいました。
(なんて無作法で、据えた匂いがする男性でしょう。
自分で臭くならないのかしら……)
十二歳のアリスにとって、人を嫌悪する感情を、自分で自覚したのは初めてのことでした。
アーレイと何か深い因縁でもあるのか、近寄っただけで、怖気が震え、毛穴が開く思いです。
一方、引き篭もりのアーレイの側でも、アリスの嫌悪感を、肌で察知したようでした。
それゆえ、顔を上げてギロッとアリスを睨み付けると、
「それ。それだよ!」
と乱暴な口調で声をあげ、人差し指で、まっすぐ人形のリリアを指差しました。
引き篭もりのアーレイは、アリスを気に入ったのではありません。
アリスが持っている人形のリリアちゃんに目を止めていたのでした。
「その人形を寄越せ!
おまえは要らないから、ティーセットと人形を置いて出て行け!」
こうして、一言のもとに、リリアちゃんをアリスから奪い去ってしまいました。
たしかに、雇用主にとっては、雇い人の侍女が、自分の言う通りにするのは当然のことなのかもしれません。
それでも、いまだ少女のアリスにとって、リリアはとても大切な人形です。
母の形見ーーご先祖様から伝えられてきた形見なのです。
一日たりとも手放したくありません。
けれども、奉公先の息子さんの要求です。
仕方なく、アリスは、リリアちゃんを手渡しました。
「もう良い。出て行け!」
引き篭もり息子の怒鳴り声を背に、アリスはしょんぼりした様子で部屋を出ます。
リリアちゃんを心配しながら階段を昇り、個室として与えられた屋根裏部屋に入ります。
それでも、その夜は、気になって、なかなか眠れません。
夜遅くになって、アリスは再び、アーレイの部屋を訪れました。
リリアちゃんを返して欲しくて、部屋をノックしたのです。
けれども、ドアが開くことさえなく、アーレイから
「うるさい!」
と怒鳴りつけられて、それっきりになってしまいました。
◆3
翌日になって人形のリリアちゃんが、アーレイの部屋の外に捨てられていました。
リリアちゃんの髪は、まるでアーレイのようにボサボサになっています。
皮膚も汚れて、きたない有り様でした。
ドレスまでが引きちぎられた状態で、廊下に捨てられていたのです。
アリスはびっくりして、泣いてしまいました。
人形のリリアをギュッと抱き締めて、階段を降ります。
「おはよう。どうしたの、アリスちゃん?」
奥様が笑顔で迎え入れてくれました。
なので、アリスは人形を差し出し、奥様のダリアに、リリアちゃんのあられも無い姿を見せました。
すると、ダリアの奥様は人形に手を添えつつ、アリスを慰めてくださいました。
「まあ、かわいそうに。
貴女の大切にしていたお人形さんなのに……」
そう言って、アリスの頭を優しく撫でてくれました。
「ウチのアーレイがごめんなさいね。
でも、アーレイに逆らってはいけないわ。
彼こそが、我がホワイト伯爵家のご当主様なんだから」
ダリア・ホワイトは、近所の人々に、自分のことを「伯爵夫人」と呼ばせていますが、それは正確ではありません。
「元伯爵夫人」と呼称すべきで、息子のアーレイこそがホワイト伯爵なのでした。
アーレイの父親で、ダリアの夫だったレビン・ホワイト伯爵は、王家に対して謀叛を企んだとして、メネシス公爵家のお取り潰しに巻き込まれる形で、処刑されています。
ところが、「妻のダリアが密告したおかげで、謀叛計画が明らかとなった」とされ、その報奨としてホワイト伯爵家は存続を許され、息子アーレイがホワイト伯爵家の当主となっていたのです。
とはいえ、重罪人の息子であることに変わりなく、同世代の貴族令息、令嬢から付き合いを忌避されて、アーレイは社交界で孤立してしまいました。
その結果、彼は家の中に引き篭もることになってしまったのです。
貴族街では近所付き合いもままならなくなったため、母子で平民街へと引っ越したのも、先代当主が重罪人として処刑されたからでした。
それでも、奥様の顔は明るい。
希望に満ちた目をしていました。
「でも、いつかは貴族街へと復帰してみせるわ。
アーレイは、ああ見えて良い子なんだから。
必ずホワイト伯爵家を復興してくれるわ!」
アリスは、自分を慰めてくださった奥様に返礼する気持ちで、追従します。
「そうですね、奥様。
そうなると良いですね!」と。
すると、ダリアの奥様は一層朗らかになって、
「さあ、今はリリアちゃんを綺麗にしてあげましょうね!」
と声をあげ、お湯を張った桶を取り出し、リリアちゃんを一緒に洗ってくれました。
さらに、
「お人形さんのために、私が新しいドレスを縫ってあげるわね」
と言い出して、青い布地を取り出し、ハサミで切って、ミシンで縫い始めます。
とても手際が良く、引き篭もり息子の趣味は、お母様譲りだということがわかりました。
小一時間もすると、あっという間に、小さな洋服が出来上がりました。
持ち主のアリスとお揃いの、青地に白いレースが付いたドレスでした。
「まあ綺麗!
ありがとうございます、奥様!」
アリスは、綺麗なドレスをまとったリリアちゃんを力一杯抱きしめます。
そして、人形もろとも、ダリアの奥様に抱きつきました。
「あらあら。大袈裟な娘さんねえ」
奥様はアリスの頭を優しく撫でてくれました。
アリスはダリアの奥様の温もりを感じながら、思いました。
ダリア公爵夫人は夫に先立たれ、その悲しみや心細さを、息子のアーレイを可愛がりつつ、甘えることによって、解消していたようです。
その結果、息子は大人になりきれず、大きな子供のままになってしまったのでしょう。
なんでも自分の言う通りにしないと気が済まない性格になり、社会性も身に付かず、小さな人形や小さな女の子にしか興味がないような、ダメな大人になってしまいました。
そうした事情をそれとなく察したアリスは、自分に優しくしてくれたダリアの奥様に免じて、息子アーレイのやった酷い仕打ちを許すことにしたのでした。
◇◇◇
ところが、その日の夜ーー。
とんでもない事態が勃発しました。
屋根裏部屋で、アリスがリリアを抱いて寝ていると、ドアをノックする音がします。
奥様がいらしたと思ってドアを開けたら、三十オーバーの息子アーレイが下半身も露わな、裸の姿で立っていたのです。
そして少女アリスを突き飛ばして、屋根裏部屋に押し入りました。
「人形の裸は見たから、今度は生身の少女の裸が見たい。
服を脱げ!」
アリスは、リリアを抱き締めたまま、甲高い声を張り上げました。
「嫌です。リリアちゃんに、あんな酷いことをして、私にまでーー」
アリスの抗議は、三十男には、まるで聴こえていないようでした。
アーレイは、問答無用で、アリスのドレスをビリビリと引きちぎります。
アリスが悲鳴を上げても、衣服を剥がす手を止めません。
ハアハアと息を荒くしながら、アーレイは目を爛々と輝かせます。
「へへへ、服なんかは、ハサミがあれば……おいおい、動くなよ。
白い綺麗な肌に、傷を付けちまうぞ」
アーレイは裁断用のハサミを持ち出し、袖口から下にビーーッと音を立てて、一気にドレスを切り裂いていきます。
女性用衣服に精通した三十オーバー男の腕にかかれば、少女が裸に剥かれるのに、さして時間はかかりませんでした。
「やめて! やめてください!」
アリスはリリアを抱きかかえながら、必死に足をジタバタさせて抵抗します。
「ええい、うるさい小娘だ。
足が邪魔だ!」
アーレイは苛立って、アリスを床に蹴り倒しました。
ドシン! という大きな音がしました。
そして、少女の甲高い悲鳴が響き渡ります。
奥様が慌てて階段を昇って、屋根裏部屋のドアを開けてきました。
「どうしたの、アリスちゃん!
ご近所さん迷惑でしょーー」
そこまで口にして、奥様は目を見開きました。
異様な光景が、目に飛び込んできたからです。
床に押し倒された裸のアリスに、下半身丸出しの三十男、アーレイがのしかかっていたのです。
アリスは上にかぶさっていた三十男を蹴り出して、這うようにして、奥様に縋り付きました。
「助けてください、奥様!」
そう叫んで、手を伸ばします。
ところがーー。
「なによ、穢らわしい!
失礼じゃないの、ウチの息子を蹴ったりして!
この、薄汚い小娘が!」
ダリアの奥様は、アリスの手をバシッ! と、強く打ち据えたのです。
そして三十オーバーの息子の許に駆け寄りました。
「ごめんなさい。
卑しい娘が、貴方をこんな汚い部屋にまで誘い込んで。
この娘はお仕置きしますから」
息子に平謝りに謝ります。
そんな母親を、三十オーバーの引き篭もり息子は怒鳴り付けました。
「躾が、なってないじゃないか!
この小娘、俺のことを、何もわかっちゃいない。
伯爵様なんだぞ、俺は!
侍女ならば、貴族の当主を遇する術ぐらい、心得ていて良い年頃のはずだ!」
息子に叱られて、奥様のダリアは縮こまります。
そして、その反動で、ますますアリスを怨みがましい目で睨みつけました。
「裸になって、私のアーレイちゃんを誘惑するだなんて。
こんなはしたない娘だとは思わなかった!」
奥様のダリアは立ち上がると、強引にアリスの手を引っ張りました。
屋根裏部屋からアリスを引きずり出すと、階段から蹴り倒したのです。
アリスはリリアを抱えたまま、鞠のようにゴロゴロと階段から転げ落ちてしまいました。
「痛い、痛い!」
アリスは泣き喚きます。
それでもダリアは容赦しません。
アリスの髪の毛を引っ張って、玄関から放り出しました。
裸のまま、アリスを寒い外に追い出してしまったのです。
◆4
アリスは裸に剥かれたまま、お屋敷から、寒い外へと放り出されてしまいました。
玄関口で横たわりながら、全身を自らの手で抱き締めます。
(寒い……何が何だか、わからない……)
うえええん!
アリスは泣きじゃくり、そのまま寒空の下、寝入ってしまいました。
季節は冬ーー。
寒い夜で、地面のみならず、アリスの身体の上にも、白い雪が降り積もっていきます。
すると、いつの間にか、アリスが抱きかかえていたはずの人形リリアが、二本足で立ち上がっていました。
『やれやれ、世話の焼ける……』
人形のリリアは口許を歪め、苦笑していました。
本来なら、人形が動き、喋り、笑うはずがありませんが、リリアは、お取り潰しになったメネシス公爵家の呪いが込められた人形です。
おかげで、持ち主のアリス以上に、明確な意志を持っていました。
『このままではアリスが凍えて死んでしまう。
とりあえずは屋敷の中に入らないと……』
人形のリリアは、アリスに起きるように促しました。
リリアが右手を挙げると、アリスは白眼を剥いたまま、夢遊病者のように立ち上がります。
でも、ホワイト伯爵邸には入れません。
玄関扉はぶ厚く、しかも、鍵が掛かっています。
アリスは半分、居眠りをしている状態のまま、ガチャガチャとドアノブをいじりますが、扉が開く気配はありません。
アリスの足下に立つリリアはいつの間にか、瞳の色を青から赤へと変貌させていました。
『許せない。
私のアリスを、こんな酷い目に合わせて。
あいつら!』
と、ドスの効いた唸り声が、人形リリアの喉から絞り出されます。
このとき、アリスも白眼を剥いた状態から、赤くなった瞳を爛々と輝かせるようになっていました。
そして、甲高い声を張り上げたのです。
「ああ、リリアちゃん!
身体をボロボロにされちゃって、ごめんね。許して!」
アリスが語りかけると、人形リリアが答えます。
『ううん。
悪いのは、この屋敷に住んでいるババアと三十オヤジだ。
コイツら、要らねえ。
この世から消し去ってしまえ』
「わかったわ。
ちょうど衣服がたくさんあったからーー」
アリスはリリアちゃんの頭部を片手で握り締め、そのまま上へと引っ張ります。
すると、鋭い刃が姿を現しました。
リリアちゃんの首から下は、鋭く尖ったアイスピック状の刺突兵器になっていたのです。
「いくよ、リリアちゃん!」
アリスはリリアの首を鷲掴みにしたまま、
ガンガン!
と振り下ろしました。
凄まじい音を立てて、玄関の鍵の周囲の木製部分を砕いていきます。
鍵が掛かった箇所を抉り取っていくのです。
そして足で玄関扉を蹴り開けると、そのままズンズンと屋敷の中へ入っていきました。
ちょうど、その頃、奥様のダリアと息子のアーレイは食堂にいました。
まるで幼児をあやすように、口をアーンと開けた三十オーバーの息子に、老母がスープを入れたスプーンを近づけていたのです。
そこへ、刺突兵器を手にした、裸のままの少女アリスが乗り込んできました。
ただならぬ雰囲気を察して、老いた母子は息を呑んで席を立ちました。
「な!? さっきから外がうるさいと思っていたら……」
「その凶器、いったい何処で……」
アリスは再び意識を失っているようで、無表情なまま、白眼を剥いています。
そして、手にしている刺突兵器は、じつは人形の首です。
アリスが掴む、その人形の口から、ドスの効いた低い声が発せられました。
『おまえらの愚かな振る舞いを、到底、許すことはできない。
それに、もとより貴様らは復讐すべき相手!
さすがは、我がメネシス家のアリス、復讐の女神の導きを感じるぞ!』
ただならぬ事態に、アーレイは怯えて、母親ダリアの身体にしがみつきます。
アリスは、今度は瞳を赤く光らせ、口許から涎を垂れ流しました。
意識があるようには見えません。
代わりに、彼女が手にする人形が、青い瞳を見開き、外へも聞こえるほどの大音量で叫びました。
『殺してやる。殺してやる。こんな奴ら!』
地響きのような唸り声が、深夜、屋敷の外にまで鳴り響きました。
その声を合図に、アリスはホワイト伯爵母子に向けて突撃します。
母子は抱き合った格好のまま、床に倒れ伏しました。
そこへ、アリスがのしかかり、人形の頭を柄にしたアイスピックを、物凄い勢いで振り下ろします。
ひたすら二人の脚に向けて。
「がああああ!!」
「痛い、痛いッ!」
アーレイは脚を突き刺された痛みで激しく泣きながら、床を這いずり回ります。
必死に逃げようとしたのです。
反対に、老母のダリアはそんな息子の背中に覆いかぶさって、一生懸命、庇おうとしました。
「やめてちょうだい!
この子は、名誉あるホワイト伯爵家の当主なの!
刺すのなら、私を刺して!」
リリアに付き従うアリスは、ダリアの声に耳を貸すはずもありません。
グサ、グサ!
刺突兵器をアーレイの大腿部に突き刺すたびに、噴水のように血飛沫が舞い上がります。
アリスは、アーレイの脚ばかりを突き刺しました。
それは老母ダリアも同様です。
そして、二人の両脚を、少女の小さな足で踏みつけました。
激痛が走り、ダリアとアーレイの母子は悲鳴をあげます。
バキ、ボキと鈍い音がします。
思いの外、夢遊病状態のアリスが踏みつける力は強く、二人の脚の骨が折れて、動けなくされていました。
それを見届けてから、リリアは、
『ケラケラ……ざまぁねぇなぁ、おい!』
と笑い、アリスは無言のまま、食堂から出て行きました。
返り血を全身に浴びて、血濡れた姿のまま、アリスは廊下を歩きます。
そして、台所から油を持ってきて、食堂の前に油をたっぷりと撒いてから、暖炉から薪を持ってきて、火をつけました。
脚をグチャグチャに潰されたダリアとアーレイは、身動きが取れません。
そのまま炎に巻かれていきました。
「いやああああ!」
「助けてくれ!
こんな馬鹿な死に方があるか。
俺は伯爵ーー」
誰に聞かれることもなく、老いた母子は、燃え盛る火の手によって、焼け死んでしまいました。
◇◇◇
寒い夜ーー。
鼻つまみ者のホワイト伯爵家に出来るだけ関わりたくなかったご近所さんたちも、騒がしい音を耳にして、家から出てきていました。
初めは、「なんだろう?」と、彼らも思っていました。
その直後、パッと明るい光が、ホワイト伯爵家のお屋敷を照らします。
火事だと思った瞬間に、炎が勢い良く燃え上がっていきました。
ゾロゾロと、ご近所さんたちが総出で、火の元に近づきます。
ホワイト伯爵母子が住まうお屋敷が、ゴウゴウと物凄い音を立てて燃え盛っていました。
近所の人たちは、玄関を転がるようにして、扉から出てきた少女と人形を目撃しました。
彼女が全裸だったため、
「熱いから服を脱いで、急いで逃げてきたんだろう」
と、初めは思いました。
ですが、良く見れば、様子がおかしい。
裸な上に、身体のあちこちに赤い生傷が刻まれています。
そして、少女は玄関の外に出ると、バッタリと倒れて、気を失ったのでした。
その傍らに、焼け焦げのついた人形のリリアも落ちていました。
近所の人々は、それぞれに語り合います。
「誰だろう、この子……」
「また、あのドラ息子によって連れ去られた子供じゃないのか?」
「ああ。きっと、そうだ……」
三十オーバーの息子アーレイは、かつて平民の幼女を誘拐をした時がありました。
ですから、少女用のドレスのほか、メイドや平民のドレスがたくさんあったのです。
しかも、ときには、小動物を虐待したりして、近所からも気持ち悪く思われていました。
アーレイは、とかく異常行動が多い中年男だったのです。
でも、治安を守る第三騎士団も、迂闊に手を出せませんでした。
第三騎士団は平民街の治安を任されていましたが、アーレイは伯爵家の当主だったため、管轄違いで逮捕出来なかったのです。
結果、引き篭もり伯爵アーレイの犯す犯罪行為は、放置されてきたのでした。
その結果、ホワイト伯爵母子は、周りから嫌われていました。
ですから、また引き篭もり中年男によって、犠牲になった女の子がいた、と周囲の人々は思ったのでした。
実際、裸の少女は、うわごとのように口走っていたのです。
「アーレイ様が、アーレイ様が……奥様、お助けくださいーー」と。
暴行を受けたときの状況を、脳内でリピートしてしまっているのでしょう。
酷くショックを受けた人が、良く陥る現象です。
(可哀想に……)
ご近所の人々皆が、名も知らぬ少女に同情しました。
その結果、町内会の会長が音頭を取って、
「彼女が屋敷に火をつけたかもしれない。
だけど、この火事は、ドラ息子アーレイのせいにしよう」
と皆で申し合わせたのです。
やがて、火事を消すための消火器を持って、第三騎士団の人たちが駆けつけてきました。
騎士団員から事情を訊かれると、近所の人たちは、夜更けに、男の声で、
「殺してやる!」
という声が聞こえていた、と訴えました。
三十オーバーの引き篭もり息子アーレイが、発狂したのだろうと、誰もが推測したのでした。
◇◇◇
翌朝になって、アリスは無事、王都の街中にある侍女斡旋所に戻っていました。
第三騎士団の中に、アリスが斡旋所で寝泊まりしていることを知っている者がいたのです。
「何事もなくてよかったわね、アリス様」
イメルダは微笑みます。
全身に血飛沫を浴び、しかも裸に剥かれた状態で発見された少女を評して「何事もなくてよかったわね」と表現するのは、本来ならおかしいことです。
とはいえ、彼女が派手な事件に巻き込まれるのは二度目でしたし、派遣された先が、アリスの実家メネシス公爵家のお取り潰し事件にまつわる関係者の家でしたので、イメルダとメル、老侍女のふたりは、どこかでこうなるんじゃないか、と思っていた節がありました。
アリスをベッドで寝かしつけ、その枕元で、二人は額を突き合わせ、ヒソヒソと噂します。
「アリスお嬢様のお父様が、濡れ衣を着せられて処刑されたのは間違いないわ。
そして、今回、焼失したホワイト伯爵邸から、二人の焼け焦げ死体が発見されたって言うわよ」
「やっぱり、あの母子ーーダリア夫人と、息子のアーレイは、裏切り者だったのよ」
彼女たちは、アリスが無意識のうちに、ご両親の仇討ちを決行していると信じていたのです。
「でも、おかしいわね。
ホワイト伯爵家って、メネシス公爵のシンパだったんじゃないの?」
「それは、先代当主のレビン・ホワイト伯爵のことよ。
あのお方は、現に、メネシス公爵様と連座して処刑されてるじゃない?
噂では、レビン伯爵がメネシス公爵に招かれて、会合のために出かけていたのを、奥様のダリア・ホワイト伯爵夫人が、勝手に浮気と勘違いして、王妃様に相談したっていうわ」
「ああ、道理で……」
妻のダリアが密告したおかげで「謀叛計画が明らかとなった」とされ、その報奨としてホワイト伯爵家は存続を許され、息子アーレイがホワイト伯爵家の当主となった経緯がありました。
「でも、伯爵家が存続されたって言ってもねえ……」
「そうなのよ。
アーレイ様は処刑された謀叛人の息子なんだから、誰とも仲良くなんかできないわよ。
危なくって」
「引き篭もったり、平民街で居を構えたりする事情も、わかるわね」
「でも、中途半端に密告めいたことするから、ダリアの奥様も旦那様を失うことになったのよ。ほんと、不幸な話よね」
「でも、良かったじゃない?
アリスお嬢様が、再び親の仇を討って、復讐することができて」
「そうね。ホワイト伯爵家に潜んだ裏切り者たちに神罰が下ったんだわ。
メネシス公爵様の呪いを受けたのよ」
斡旋所の所長メルと、古株の老女イメルダのふたりは、くぐもった声で笑います。
そして、大好きな人形を抱きながら眠るアリスの寝顔を見て、深く安堵したのでした。
(了)
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