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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ホラー系

帰り着いた先に、良いことばかりが待っていなくても

掲載日:2023/08/20

 宴たけなわ。

 男同士の飲み会も、明け方近くになると、一人二人と姿を消して行く。


「おい、浩次(こうじ)。お前もそろそろ、帰る時間か?」


 隣の敏郎(としろう)が飲み過ぎたのか、少し青い顔で訊く。


「そうだな。そろそろ明けの明星が見られる頃だし」


 俺は出かける間際の、妻のひと言が気にかかっていた。


 ――()()()()、帰って来てね


 いろいろあったけど、まあ、アイツなら、笑って許してくれるはずだ。


 此処は、思ったより居心地が良かったから、ついつい長居をしてしまった。

 酒も食事も旨かった。

 帰りたい気持ちが徐々に弱まっていく。

 それは、まずいな……。


「君はもう、帰った方が良いよ」


 端にいた恩師が穏やかに笑う。


「どうせまた、会えるから」


 そうだな。帰らなければ。

 帰ったら、たまった仕事を片付けて、()()()家族サービスだ。

 ローンの支払いも、子どもたちの学資準備も待ってはくれない。

 生きていくのって、良いことばかりじゃないな。

 それでも俺は帰るのだ。


 いずれ、会えるだろうな。

 先生とも、仲間たち(コイツラ)とも。


 セットしてあったタイマーが鳴る。

 時間だ。

 俺は立ち上がり、皆に別れを告げた。


「それじゃあ、またな」


 歩き出した俺の目には、東雲の空からこぼれる光が映っていた。



***




 その日、K市の救急病棟に運び込まれた患者たちは、軽症者二名を除き、心肺停止状態であった。

 小型船舶の転覆による、水没事故だという。患者たちは高校時代の同級生。恩師を含め、全員男性だった。


 絶望的な状況の中、救急隊員と医療従事者の必死の努力により、一人だけ、たった一人だけが蘇生した。


「森山浩次さん、蘇生に成功しました!」


 


「帰り着いた先に、良いことばかりが待っていなくても」 了

ホラー成分少な目ですm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 奥さんは予知していたんですかね( ˘ω˘ )
[良い点] ひ〜え〜。 『どこから』帰ってきたのか! [一言] ちょっとこの間の潜水艦沈没事故を思い出しちゃいました。 彼らもまだ海の中にいるつもりだったりして……。 怖面白かったです!
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