転生図書館その4
エルフで魔法使いを選ぼうと思った。
種族はエルフにしようかなと思ったけれど、エルフと言っても種類がある。
「ウッドエルフ、ダークエルフ、ハイエルフか。」
ウッドエルフは、典型的なエルフだ。エルフと聞くとこれを思い浮かべる。
データはこんな感じ。
□ ウッドエルフ(25) 筋力-1、体力-1、敏捷力+1、知力+1、魅力+1
剣術又は弓術+1、回避+1、水魔法又は風魔法+1、魔法知識+1、植物知識+1
聞き耳+1、忍び足+1、潜伏+1、警戒+1、魔力増強+1、
■獣肉は禁食(△5) □非金属防具のみ(△5) ■オーク嫌い(△5) □闇魔法禁止(△5)
□肉・卵・乳禁食(△10)□非金属武器のみ(△10) □オーク憎悪(△10) □火魔法禁止(△10)
□草食昆虫食のみ(△15)□非金属武具のみ(△15) □殺オーク鬼(△15 □火・闇禁止(△15)
「斥候か遊撃向けの構成だな」
能力値は前衛系が減少、後衛系が増加、魅力も上がっている。
職業に狩人とかあれば、相乗効果でかなり強キャラになりそうである。その反面、前衛には不向きで、魔法能力も思ったより低い。メインで魔術師というよりは、魔法は補助で使う魔法戦士的なスキルボーナスである。
「ドワーフはゴブリンが嫌いだったけど、ウッドエルフはオークが嫌いなのか…」
デメリットは、『獣肉は禁食』と『オーク嫌い』にチェックが入っている。
これを外して、肉好きエルフとかオークに友好的なエルフとかにもなれるみたいだ。しかし他の項目を選ぶとしても、武器と防具に金属製の物が選べないのは、かなり厳しい縛りになる。魔法関連も闇魔法はまだしも火魔法が使えない選択は何気に痛い。
まあ、ウッドエルフっぽいと言えば、そうなのだが。
「『闇魔法禁止』と『非金属防具のみ』ぐらいは増やしても大丈夫か」
火属性が弱点の敵が多くなれば、火魔法は将来的に自力で習得するかも知れないし、武器から金属を除外するのは難しいだろうからなぁ。
「忍び足と潜伏を生かすなら、やはりスカウトかレンジャー系になるわけなんだが…」
大学卒業後、2年間の就職浪人中の怠惰な生活で、すっかりインドア派になってしまった。
ゲームやラノベに嵌ったのもその頃で、めっきり部屋から出なくなった。
両親からは、心穏やかになるまで無理しなくて良いと言われていたが、世間から見れば立派なニートである。
親戚にせっつかれて、学習塾に就職してからは、規則的な生活に変化はした。しかし休日の過ごし方は相変わらずで、週に二日は自宅から出ない引き篭りの様なものだった。
「いまさらレンジャー的なムーヴは……無いな」
二度目の人生を謳歌できる転換期なのに、冒険を選ばない面倒くさがりがここに居た。
ダークエルフは褐色の肌をした、地下生活を営むエルフである。あちらでは特に悪役とされることはないが、闇魔法の使い手が多いので、若干畏怖されている。
データはこれ。
□ ダークエルフ(30) 敏捷力+1、知力+1、魅力-1
剣術又は弩弓術+1、回避+1、火魔法又は土魔法+1、闇魔法+1、魔法知識+1、ダンジョン知識+1、
聞き耳+1、暗視+1、忍び足+1、潜伏+1、警戒+1、魔法増強+1
■光魔法禁止(△5) □広い場所が苦手(△5) □群衆が苦手(△5) ■キノコが好き(△5)
□風魔法禁止(△10) □遮蔽物依存症(△10) □集団戦が不得意(△10)□キノコ偏食(△10)
□光・風魔法禁止(△15)□広所恐怖症(△15) □一匹狼(△15) □毒キノコ中毒(△15)
「ウッドエルフより汎用性は高いけれど、デメリットがなぁ」
筋力、耐久力の低下がないので、前衛もいけそう。高位精霊魔法の闇魔法にボーナスがあるのも大きい。戦闘スキルはウッドエルフと同系統だが、アサシンやスナイパーが似合いそう。
ただし、デメリットが厳しい…というか変…
禁止魔法があるのはわかる。ウッドエルフの対になってるし。
でも後が理解しづらい。
「なんだろう…地下生活に慣れすぎて、街の灯りが眩しいんだろうか…」
ある意味、共感できるかも知れない。
俺もパリピとは長時間一緒に居られないしな…
最後はハイエルフだ。エルフ社会では貴族または導師的なポジションにいるらしい。人里にはめったに降りて来ないので、街中で暮らすとなると悪目立ちしそうだ。
□ ハイエルフ(50) 筋力-2、体力-2、敏捷力-1、知力+2、精神力+2、魅力+2
水魔法+1、風魔法+1、土魔法+1、光魔法+1、魔法知識+2、古代知識+2、宗教知識+2
植物知識+2、聞き耳+1、魔力増強+2、魔力制御+1、詠唱短縮+1
■獣肉は禁食(△5) ■非金属防具のみ(△5) □エルフ以外と同居しない(△10)
□肉・卵・乳禁食(△10) □非金属武器のみ(△10) □エルフ以外と同行しない(△20)
□草食昆虫食のみ(△15) □非金属武具のみ(△15) □エルフ以外に協力しない(△30)
「うわ、魔術師に極振りだなこれ」
尖った能力値修整、魔法に偏ったスキルボーナス、完全に後衛それも魔法専門職のそれである。
ダンジョンで魔法を封じるトラップにかかったら、速攻で逝きそうなタイプだ。
「戦闘能力もサバイバル能力も無しの、本当に魔法が全てって感じだな」
その分、魔法関連は豪華で、元素魔法3種類に加え、使い手が少ない光魔法までボーナスがある。知識系も魔法技能系も多彩で、魔法職ならなんでもこなしそうである。
出歩かなければ…
「デメリットは厳しいな」
ウッドエルフに比べて、ぬるい選択肢がない。基本となる必要ポイントが(50)なので、出来ればデメリットを重くしてポイントの負担を軽くしたいのだが、かなりきつい。特に『エルフ以外』シリーズは、冒険者になってパーティーを組むとしたら、どれも選択しづらい。
エルフだけのパーティーを作ったとしても、商隊の護衛や、要人の警護も出来ない。
『エルフ意外に協力しない』とか、完全に社会不適合者だろう。
「でも冒険者にならないなら、ありかもな」
ラノベなら、チート級の転生ボーナスをもらっても、スローライフを目指す主人公がいっぱいいるのだ。
魔法スキルに全振りで、冒険者をやれば上位ランクが確実な実力があっても、引き篭もりしてたって良いじゃないか。
異世界転生だもの……みきお。