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私は一人焦っていた。


レイに番が現れた・・・・

彼は何も感じないと言ってたけど、もし対面した時に認めてしまったら・・・


あぁぁぁ・・・・・


ソファーにうずくまり悶えまくる私を、ルリとスイがポンポンと宥める様に叩く。

「エリ様、今のお気持ちを素直に陛下にお伝えすればいいのではないですか?」

「この、ぐちゃぐちゃした気持ちを?」

「そうです。先日お話しなさろうとしたことも含めて」

そう、昨日自分の気持ちを告げようとしていたのに「番」騒動で、とてもじゃないが言える雰囲気ではなくなってしまったのだ。

レイも一日休みだなんて言っていながら、急用だと出て行ったきり。夜も戻ってこなかった。


何も感じないってい言ってたけど、本当は相手の事を・・・・

でも、レイは嘘はつかないはず。もし何か感じたら、ちゃんと言ってくれるわよ。・・・・多分・・・・・

あぁ、こんなに悩んで恋しくて辛くて大好きで・・・・なんで、「竜芯」を交換するの躊躇ってたのよ!

私のバカ!ほんと、私っていつもいらない事をぐるぐる考えて、大切なものを手放しちゃうのよね・・・

前の世界でもそうだった。縁が薄く、人との関り自体少なかったけれど、恋人と楽しく過ごした事もあった。

でも、ちょっと疎遠になると色々と余計な事を考え、何も言えず手も伸ばせずそのまま・・・

そして気付けば、一人ぼっちになっていたのだ。

いくら神様に、ここが本来生まれる世界だから幸せになれるよって言われても、これまでの出来事や考え方だとか、すぐには切り替えることができない。

ルリやスイが傍にいてくれる事だって、未だに夢なのではと思う時があるくらいだから。


でも、はっきりした事がある。グダグダ悩んでいるのは、私がレイを本当に好きだからだって。

「番」にも渡したくないくらいに。

前に自分の気持ちを告白した時とは、かなり心持が違っている。

あの時の好きという気持ちと比べ物にならないくらい、今はもっともっと好きだ。

ならやっぱり、気持ちを伝えないと。今みたいに不安な気持ちのままじゃ、何もできないし。

前の世界に居た時だって、もしかしたら私が手を伸ばしていれば何かが違っていたかもしれない。

もっと自分から求めてもいいわよね?レイの事は後悔したくないし。


「ルリ、スイ。私腹括ったわ!レイに会いに行く。時間があるか聞いてくれるかな?」

「承知しました」

双子は嬉しそうに笑うと、スイがレイの許へと動いてくれた。

取り敢えず私の気持ちだけでも伝えてしまいたい。「竜芯」を交換したいのだと。

思ったら吉日とばかりに、気持ちが逸る。

これまでの自分は何処に行ったのかと思う位、早く気持ちを伝えたい。

―――だって、時間が経ってしまうと、きっとまた余計な事ばかり考えてしまうから・・・・


長いような短い時間をそわそわしながら、スイを待つ。

そして珍しく焦ったようにスイが駆け込んできた。


「陛下がアネッタと接触しました!」

「えっ!!」


すぐにはスイの言葉を理解できなくて、ソファーから動けずにいた。

でも理解した瞬間、自分の愚かさで彼を失うのではという恐怖に震え、自分で自分を抱きしめる様に腕に力を入れる。

「何故、陛下が?」

怖くて怖くてただ震える私に代わってルリがスイに聞いた。

「どうやらメイドに変装して潜入したらしいです」

「なんですって・・・陛下の様子は?」

「特に変化はありませんでした。ただ女の方が陛下に抱き着いて騒動に・・・」

「レイに抱き着いた!?」

その言葉に恐怖が一瞬で怒りに変わり、拳を握りしめた。


レイに抱き着いたなんて!許せないっ!!

「レイの所に行くわよ!!」

「はい」

「こちらです」


雑念など全て吹き飛び、私の頭の中には純粋な嫉妬だけで、スイの後を追って走り出した。


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