表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/44

35

離宮とはいえ、前帝が住まわれる屋敷だ。

はっきり言って、豪華です・・・ゴージャス・・・・語彙力がなくて思わず拳を握ってしまうが、とにかく上品。

内装が見るからに高級品なんだけど、ゴテゴテしていないのよ。

どちらかと言うと、落ち着く感じね。

私にはそういうセンスが無いから、本当に羨ましい。

案内された部屋は応接室で、これまたシックにまとめられた落ち着いた雰囲気が嬉しい。

なんせ、緊張しまくりだったから・・・

「竜芯」を交換していないとはいえ、一応恋人なのだ。竜帝の。

ご両親に挨拶的な感じになるんだろうな・・・

今更ながらに場違いな気がして、ドキドキしていた。

そんな私の内心など気付く事無く、レイ達は今後の事を話し合っていた。


「エリには襲撃犯の記録がある。その中にはガリオンの名をも出していた。交渉材料と言うよりも、賠償金請求できる次元だ」

一応、前皇帝でもあるお父様にも見てもらう為に魔道具はもってきている。

室内を暗くし、映像を流せばレイのお父様が「うぐぐぐ・・・」と、怒りを殺すかのように呻いた。

「いつかはこんな事が起きるとは思っていたが、まさか我が息子が被害にあうとは・・・・」

「ヴォールングに関しては父上にお任せしても?」

「あぁ。本当にくだらないちょっかいばかりかけて、イライラしてたんだが・・・ここで大人しくしてもらおうか」

「それと、エリの事だけど俺の恋人として接して欲しい。まだ、「竜芯」は交換していない」

レイの言葉に初めからわかっていたのか、ご両親は神妙な顔で頷く。

「我々とは違い、人族とは考え方が違うからね。致し方ない事だろう」

「でもゆっくりはしていられないわ。いつ「番」が現れるかわからないもの」

ご両親の話しぶりから、「番」はやはり歓迎されていないようだ。

もし私がレイの立場なら、同じく早く「竜芯」を交換したほうがいいと考えると思う。

好きな人がいつ、無条件にも奪われていくのか・・・怖い。

それがわかっていても、素直に頷けない自分がとても悪い事をしているようで、いたたまれなくなる。

そんな私に気付いたレイのお母様は、優しく微笑んでくれた。可愛らしい容姿なのに、そこにはやはり母親の顔があった。

「焦らすような事を言ってごめんなさいね。でも、これは現実問題なの。私達はレイが可愛い。できる事なら愛する人と添い遂げさせてあげたいと思っているわ。

だから、急かして申し訳ないけれど、なるべく早めに結論を出してほしいの。レイの事は考えなくていいわ。あなたがどうしたいかだけ考えて」

「私が、どうしたいか?」

なんだか、結論を出せない核心を突かれたようでどきりとした。

「えぇ。レイはもう決めているの。竜人はこの人と決めれば、その人がどんな悪人であろうと揺るがない。でも、人族は自分の事ではなく相手やその取り巻くものを考え、身を引こうとするでしょ?」

確かに‥‥私も、レイが私を選んで後悔するのでは・・・と。私でいいのかという自信のなさから、二の足を踏んでいるのだから。

「エリ様がレイをどう思っているのか・・・・それだけを考えて、答えを出してください」

私がレイをどう思っているのか・・・・

改めて本当に大事な事を突きつけられた気がして小さく「はい」という返事しか返せなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ