表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/44

11


『アーンバル帝国竜帝のレインベリィ・アーンバルだ。此度は本当に感謝する』


黒龍は改めて自己紹介をし、感謝の言葉を述べた。

そして、順を追って今現在の状況を説明してくれた。

「・・・・つまりは、すべて銀狼族のくだらない虚栄心の為に、戦争一歩手前まで来てるという事なのね」

既にスイは同じことを聞いていた所為か、静かに頷いている。

「とても乱暴な意見だと思うけど、いっそのこと銀狼族の国、潰したら?」

スイと黒龍は驚いたように目を見開いた。

「そんなバカげたプライドに付き合わされる国民が可哀そうよ。それに、ガリオンだっけ?まるで夜郎自大だよね」

「や、ろう・・・じだ、い?」

スイと黒龍はきょとんとしている。

「あぁ、私の世界で、自分の力量を知らず、いばっている事の例えなのよ。遠い昔ね、私が住んでいた国ではない大陸での話で、夜郎という国の王が、漢という帝国の大きさを知らずに自分の国だけが大国だと思い込んでいたの。その帝国の使者に自国とそちらの国とどちらが大きい?って聞いたんだって。なんかさ、銀狼族の王様みたいだよね」

『狼と竜、どっちが強い?』って聞いてるようなもんじゃない。

なぁんにも、わかっていないところが間抜けよね。


昔からの言い伝えは、すべてがフィクションではないと思う。話を盛っている所もあるけど、必ず意味があると思うんだ。

千年以上前の竜人族の暴走だって、自称父親である神様がとても辛い思い出なのだと『あの時は本当、人類滅亡かと思って焦ったんだよ』と、言っていたから。

その戦争の火種は、銀狼族と一部の獣人族が原因だったみたいなんだけど。


「アーンバル帝国側では、何か対策とっていたの?ルリ達の話だと『竜人狩り』とかされてるんでしょ?大丈夫なの?」

『あぁ・・・何というか、『竜人狩り』なんて言ってるのはヴォールング王国とキューオン王国くらいだ。実際、今日の俺以外は狩られた事は無い』


「あら・・・」

「まぁ・・・」

『・・・・・・』


竜帝様が、初狩の獲物。なんて不名誉な第一号・・・・

『そんな目で見ないでくれないか。体調が万全ではなかったとはいえ、俺自身も油断していたのだ』

『竜人狩り』なんて言ってはいるが、いつも返り討ちに遭っているらしい、銀狼族。

元々身体のつくりが違うのだ。竜人がちょっと力を入れて防御しただけなのに、吹っ飛んでいっちゃうらしいのよ。まるでコメディみたい。

これと言って強い種族でもない為(竜人族に比べたらね)、竜人族側では大した問題にはなっていなかったみたい。

でも、今回は竜帝が直接被害を受けた。しかも、内通者がいるかもしれないという、おまけ付きで。


「う~ん・・・取り敢えずルリが帰ってきたらもう一度話し合いましょう。まずは早く体調を戻さないとね」

ここで話し合っても、これは国同士の事で、私が口出す事でもないし。

「さてと、まずはお薬(生命の実)を取ってくるわ」

そう言って立ち上がり窓の外を見れば、空が白み始めゆっくりと森の木々を照らしていく。

テラス窓を開けると、まるで生まれたての様な清々しい空気が室内に流れ込み、どこか不安で重苦しかった心を浄化してくれるようだ。

「食欲はあるかしら?黒龍・・・いや、竜帝陛下?」

ついつい黒龍なんて呼んでしまって焦っていると、黒龍はクスリと笑った。

『俺の事はレイと呼んでくれ』

「レイ様?」

『様は要らない。エリ殿』

「じゃあ、私も殿はいらないわ。レイ」

『わかった、エリ。暫し、世話になる』

そう言って、黒龍改めレイが頭を下げたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ