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3話

痛みを我慢するように

固く瞑った目


一体何度今まで同じ目に遭ってきたのか

俺には想像もつかない


「おい、金は払った

 そちらさんの理屈で言えば人のもんに

 手あげたって事か?」


「な、なんだジジイ

 今出てきて金払ったと思ったら

 いきなり主人ズラか?」


「は?」


おっと

いけない、癇癪を起こす団長からの癖が

未だ治っていないらしい


いいかげん老化も相まって

面倒臭くなる前にやめねぇと


「言葉遣いには気をつけろよ?」


「テメェ、、、、、って

 なっ?、、か、体が!!口が!!!」


店内がざわつく、俺以外の全ての人物が

動かない、、、喋るやつもなし


やっちまったらしい


まあいいか、この際、利用させて貰おう


「失せろ」


たった一言も、

この場でのみ絶大な効力を発揮する


”空間掌握”

俺の半径10メートルでは如何なる魔法も

その魔力の一切の主導権を奪われる


魔力が強いわけじゃない

剣術もビミョい、

それでも

俺はこの場において



理論上:    ”最強”!!



「ひ、ヒィィィィ!!!」


俺の魔法使ってる時ってそんな怖いのか?

っていうか


お代俺持ちかよ!!


か、勘弁してくれよ...


「あ、あの、、、耳を貸して頂けませんか?」


お、なんだ?感謝の言葉か?

ハーレム展開の幸先か?


って期待しちゃいけないわなぁ(^^)



「なに人のカモ放してんだよ」


!!!???

な、なんだこの子!?


「おい、聞いてんのか?

 ふざけてんじゃねぇ


 おかげで今日の食いぶちがパーだ

 どうしてくれんだあぁ!??」


な、何この子怖すぎるんだけど

ん?、


懐にナイフ、形状から察するに...


まさかこのガキ、


スリか!!!


「わ、わかった。お、奢るから

 飯奢るから。。な?」


「そっちの小むす...って、ええええ!!!」


声裏返ってんじゃん


え、何女性ってみんなこうなの?

こんなに低いの?


俺、既に女性恐怖症に

なりそうなんだけど


ん?、ああ


どうやらロイドの変身がとける様に

驚いたらしい


そらそうだよな、可愛い娘さんが

こんな爺さんになるんだから


「あ、あ、、ああ...///」


おい、待て、何、ん???


俺の時と

反応が180度違うぞ?


「あ、あの、お名前、お伺いしても?」

嘘だろオイ!!


だからそういうのって

俺に来るイベントじゃねぇの!?


しかも枯れ専かよ!!

(いや俺が言えた口じゃないか)


「ああごめん、それ言えないんだ

 だけど、君だけになら、、」


そういうと、奴はそっと彼女の耳元に

口を近づけそっと花束を渡すように

優しく声をかける


奴の対応に

耳の先まで真っ赤に染める少女


ガシッ


「おい、そんなキザな台詞

 一体どこで覚えやがった?」


「いいったい!痛いです先輩

 イケメン変装用に声を作ったんですよ


 ボイスも魔法で

 変えてるんですから」


ッチ、昔っから

妙に凝ったことしやがるコイツ


「私、シェリア=ラフォンです

 い、いつまでこちらに?」


「ああ、俺たちすぐに

 ここを出るんだ」


「じゃあ、私も!」


「ダメ、君みたいなお姫様を

 危ない旅に連れてはいけないよ」


何もいちいち声イケメンに

しなくたって...


「み、身寄りがないんです

 家族が小さい頃に死んで


 兄弟も、三年前に


 だからお願いします。

 私を連れて行って下さい」


「し、しか、、」


「いいよ、ただし、

 安全は保証しない


 命の危険もあるし、死ぬかもしれない

 それでいいか?」


「せ、先輩、何考えて」


「いいじゃねぇか

 天涯孤独で嫁さんも作らなかった

 お前からすりゃ

 願ったり叶ったりじゃねぇのか?」


「何を呑気なこと

 これから国境越えるんですよ?

 って、あっ!」


「なんだ、やっぱりお前の帰郷か

 やっぱりお前は同じ穴のムジナだな」


(わざわざ先輩を避けるために

 引退を三週間も遅らせたってのに!!


 しかし、先輩は総団長を引退してから三週間

 この国で何やってたんだ?)


「キョーミないけど一応

 あんたの名前も聞いとくわ

 名乗りなさいよ」


か、可愛くねぇ!!!

なんだこのガキ、いい加減シメるぞ!!


「ユラ=レパード」


「フッ、、奇しくもあのアバズレ総団長と

 同じ名前なんて可哀想にね


 グラス様なんて、あの大賢者と同じ名前よ?」



コイツ...

これ殴っていいよね

俺キレていいよね!?


「せ、先輩抑えて、抑えて下さい

 殺気押し込めて!!」


ンンン、、、クソ、



全くひでぇ言いよう。

これでも身を粉にして働いたんだぜ

柄にもなく

30年もやって、最後に無理になったから


って誰に言ってんの俺。


すると彼女は、何を思ったか

今度は俺の耳に口を寄せる


「あんたからも何とか言いなさい

 営業妨害はそれでチャラ」


なんであって数分で命令口調?

俺そんなに舐められてる?

しかもさっき言ったじゃん


気を遣って!


「わ、わかったよ」


何で俺が初対面の少女の

逆ナンの手伝いなんぞせにゃならんのか


「なあ、ほら、

 あれだろロイド、こんな街に

 親無しのガキ置いてって


 後々死体で俺たちの前に出てきたら

 目覚めが悪いとは思わねぇか?」


我ながらこじつけ感半端ねぇ〜。


「・・・・


 確かにそれもそうですね

 よし、国境越えるところまでは

 面倒を見ようか」


と言うわけで、後期高齢者二人に

少女が付くという何とも奇妙な冒険は


俺の屁理屈により承諾されてしまった




しかし、これがまさか

一晩中のうちに悪夢へと変貌する様など

一体誰が予想できようか...


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