14話
「おぉーーー!!!スゲェ!!」
ゼノとワラシは出港してから同じような台詞で
船頭の柵を握りっぱなである
あの件もう何回目だ?w
「ねぇねぇ、アレ何!、兵器の残骸?」
「なぁ、アレは?こっちは?
あの魚変な泳ぎ方すんな!気持ち悪りぃw!」
「ああ、それは、、」
なんだろう、本人達の会話にそれとない悪意を感じる。
しかし、幸いにも波は穏やかで
暖かい日差しが甲板のボロ板を照らしていた
ロブが出航前、バカンスがどうだとか抜かしていたが
なまじ、外れてもいなかったのかも...
「・・・ラグナも大概だったが、まさか八十の爺さん乗せて
あの島に行くことになるとは思わなかった」
俺の横で操舵を握るのは、地元の漁師
なんでも元は、海物専門の冒険者だったとかで
腕はラグナの折り紙つきだそうだ
「アイツ、かなりプライド高い方だぞ?
お前さん、一体何言ったんだ?」
「ああ、ちょっと昔な...」
◇
「襲撃!、襲撃!!」
アイツと初めて出会った時
それは、俺がまだ第二師団団長だった
「当初の計画通り、正門を冒険者に
内部フロア1〜3までを第一部隊
2〜6を第二部隊
6〜9を第三部隊が護衛を担当する
各員配置につけ!」
「「「「は!」」」」
「すみません、一人、前のクエストの関係で
到着が遅れています」
「了解しました」
当時、俺はロザン王国国王の一人娘
アリス王女のガウル王国訪問を受け、その警護にあったっていた
かかれぇ!!!
王女を狙ったのはここらを根城にする盗賊団
恐らくは、王妃の誘拐を目的としていたのだろう
「師団長様?、王女は、王女は
大丈夫なのでしょうか?」 俺は籠城中何度となくそう問われた
無理もない、1日に数回は
誰が流したかも分からない血を城のそこかしこで見かけ
深夜には兵士と盗賊の断末魔が
聞こえるのだ。
正気の沙汰ではない
「相手の状況がわかりません
数も武器もわからない以上、私が軽率にその一言を
判断を下す訳にはいかない
最大限の善処は致しますがそれ以上はどうしても...」
当時俺は、本人達がどう受け取ろうが
事実を伝えるべきだと思っていた
それが、本人達の生存率を結果としてあげるとも思っていた
バタン!
その時、扉を強く開く音がした
「はぁ!?、何言ってんだよジジイ!
大丈夫に決まってんだろ?、俺が守りにきたんだぜ?!」
初めて奴に会った時、その存在はあまりに強烈で
目が眩みそうになったのをよく覚えている
「何を言って.....正面の警護はどうしました!?
あそこを突破されたら、」
「倒したよ。」
窓の外を見ると
魔獣の死体が山となってそこにはあった
相手は元々、カバル魔獣戦線の残党、
魔神達の手先だ。
1匹でも倒すには相当な苦労を強いられる難敵のはずだった
(一人、前のクエストで到着が遅れて)
俺はハッとした
その時初めて、”英雄”を見たのだ
それから、戦況は悪化
ついには撤退を強いられ、城内でのゲリラ線を余儀なくされるが
奴が来てから、団内での死者は一人として出なかった
◆
ガガガガガ、、、ガチャン!!
なんだなんだ!?
「おい!、どうした何があった?」
「分からねぇ、突然舵が効かなくなって、クソッ!」
この船大丈夫なんだろうな!?
魔動力式エンジンからとんでもない音がした気が・・・
[ギギギギギ]
バコン!
排気口から黒煙!?
「ん?、、どぉしたぁ?、ユラさん
急に止まってどうしたんだよ?」
ゼノも異変に気づいたらしい
とにかく、有事の際には報告だ
「あー、こちらフタバマル、、応答願います」
「こちら海軍支部どうぞ?」
応対をしたのはラグナだった
「出港30分でエンスト起こしましたが?どうぞ」
「ええ?、、そんな筈は!? え?、、あ、そうなの?じゃあ...
あーあー
ただいま電波が乱れている模様
現在更新不可能につき・・ンーンー、ガラガラ、、どうぞ?」
おい、今そこでどんな報告を受けた?
そしてなぜ快晴の空の元通信トラブルが起きる?
「大海原に取り残されましたが?、どうぞ」
「そちらでなんとか対応してください。どうぞ?」
クソッタレ!!
どうしてこういう大事な時に使えないんだ冒険者は!
「終わり」
「とりあえず、動力をエンジンから
風に切り替えるぞ?」
「ねぇ、何が起きてるわけ?」
シェリアは不安げにこちらを見る
「ああ、今、エンジンがトラブルを起こしたんだ
帆を張って進むがかなりスピードは落ちるぞ」
これは、、かなり長い航海になりそうだな。
「な、なんだ あれ!?」
ワラシの声に俺は彼女の指をさした空を見上げる
雲が渦状なり、空が見る見るうちに黒い雲に
覆われていく
「す、すげぇ!、スッゲェパワーがどわぁって!!!」
少年のように興奮するゼノ
しかし、俺はその異様な光景に見覚えがある
ザザザザザザ、、、ドッパーァン!!
そのわずか数秒後、雷が落ち波は荒ぶり
さながら嵐の様相を呈していた
ガラガラ、、「キャー!!」
「おい爺さん、これは一体どういうこった!?
まさか、御天道様に喧嘩でも吹っ掛けたってのかよ」
「ばか言え、それならまだタチがいい方さ」
こんなことができる人間、俺は一人しか知らない
ガシッ!
ガチャン、ガチャン、ガチャン、
「この嵐の中、甲板を、、歩いてる?」
オルクス島近海
見晴らしのいいこんな大海原で即座に奇襲を掛けられ
なおかつ、敵に姿を察知されない隠密性
「いるんだろ?、大海の申し子」
ゴボ、、、ゴボゴボゴボ。。。
「何か上がってくるわ!」
「まるっきし。そのご慧眼は衰え知らずやろか?」
打ち切ります。再開を希望する声があれば復活します