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11話


「しかし、流石にマスターと呼ばれるだけは

 あるってことかね」


俺は先程の押し付けられた仕事に愚痴るかのように

独り言を意味もなく放つ


「なんだよ、ユラさんもしかしてビビってんのか?

 あの人、貫禄のある感じだったけど

 パッと見強そうには見えなかったぜ?


 それに、ユラさんに依頼したってことは

 マスターにも手に余る案件って事だろ?


 ユラさんはやっぱり凄いってことじゃん!」


ゼノはいつも通りか、、

あの気配にその年で圧倒されないってのは

やっぱり白虎と関係があるのか?

それはそうと,,,


「お前、わかってるのか?

 今から会いにいくのは、何を隠そうお前のお袋の元婚約者なんだぜ?」


「コンヤ、苦者?」

ポカンとした顔をするするゼノ


この間抜け...

俺はシェリアに視線を移し、説明を要求する



「ハァ〜、いい?、婚約者っていうのは

 結婚を申し込んだ人のこと!


 あなたのお袋さんと青龍は結婚する間柄にあったってこと!」


「ああ!

 そっかそっか、俺は今から、父ちゃんに会いにいくんだな?

 楽しみだなぁ〜!!!」


・・・・

なんというか、楽観的というか盲目的というか

コイツを育てた白虎の苦労が偲ばれる


しかし、俺もそうあっさり引退はさせて貰えないらしい

あれだけ働いたのに...



「それはそうとアンタ、マスターとどんな繋がりなの?

 一般人どころか、ギルドでも一部の人間しか入れない

 マスターの部屋に商業契約の冒険者が立ち入るなんて


 本来あり得ないことよ?」


どうせ信用されないし

別に言ってどうなる訳でもないなら面倒臭い話してしまおう


「ああ、俺はここにくる前

 ガウル王国騎士団って所の、そこそこの地位にいたんだ


 それで任務が冒険者と合同って場合が多いんで

 当時現役だったラグナとは、知り合いなんだよ」


なんだ?今更、魔の抜けた表情だな

驚くなら驚け!ほら、今のうちに!!


って、ゼノは相変わらずだな


「なんか、最初に言ってた総団長云々の話が

 妙にリアルに聞こえてくるから恐ろしいわ」


しかし、面倒ごとが増えるのはゴメンだ

っと、、、






密度、質感、増えてるな

どの程度?、、廊下限定か、範囲魔法?


いや、少し毛色が違う。攻撃の意思は感じられねぇのに

視界を奪いにきてる辺り


フッ...ブワン!!!


「な、なんだ!?

 ていうかここどこだ?さっきまで俺たち室内に」

案の定,


室内に突如として濃霧が出現する

流紋眼でも見えなかったってのは、それ系への対策か?


周囲が、特に天井まで見えなくなると

人は空間が変わったような錯覚する


「き、霧!?、室内で、それもこんなに濃く」



なるほど、先に魔素だけを空気中にばら撒いて

次の瞬間には濃霧で視界はドロンって訳か


「初見殺しにはビビリ倒しだな」


しかし、動揺してから襲うまでにわざと間を置く辺り

随分性格の悪い襲撃犯らしい。


「なんでそんなに冷静なのよ!」


「ユラさん!、何が起きてんだ一体!?」

とにかく、コイツらに動かれると

リカバリ含め、相当面倒な事になる


「そこ動くんじゃねぇぞ

 敵の的が誰かわからなくなっちまう」


探知、、範囲確定、、、反射抜刀...って来る!!!


ッチ、術式展開中に奇襲攻撃とは


とことん、やらしいとこ突いて来やがる


霧を生み出す魔素に不穏な動きが

発生した後、わずか0.3(零コンマ参)


キィィン!!!!


俺の肉眼が写したのは

アラサー美女と彼女の身の丈ほどもある大鎌だった



クソッ、、割と重いな今の一撃

群青色の髪に、白のローブ


妖精みたいな格好してえげつねぇの打ってきやがる・・・


「さっさと離れてくれ

 陰気臭いのは嫌いだと言っただろ?」


「あら、心外だわ、割と気に入られたと思っていたのに」


ヒュッ...


剣を押す反動に霧女は宙に上がり

周囲の煙を吸収しながら、そっと着地する


「け、煙が晴れた、、?」


「うわ、なんだあのネェちゃん!

 え?魔力が、、魔素と同化してる!?」

そこは流石の流紋眼。


「久しぶりね、叔父様?また会えて嬉しいわ」

それはおおよそ、

人が素直な嬉しさを表現する際の顔ではない


「で?一体なんの用だ

 俺たちはこれから天下の青龍様にご挨拶に行かなきゃなんねぇんだが」


まずいな、今コイツとマジでやり合ったら

シェリアとゼノを守り切れる訳が無い


って、、なんで俺、また背負ってんだ?


「な〜に?折角の再会なのにもう行ってしまうの?」


「ユラさん!さっきからなんの話してんだ


 コイツ誰だよ?知り合いか?

 それと、敵なら倒さなきゃなんじゃ」



「心配するな。

 コイツは多分、、、冒険者だ」


認めたくないが勝りすぎて辛いけれども...


「正解」


背後から声がした。

それは紛れもない、つい先程茶を飲んだラグナの声だ


「これはお前の差し金か?」


(ちょっ..!アンタ、マスターをお前呼ばわりって!!)

訂正を求めているらしいが

俺は寸分の興味もないので、黙っている事にした


「いいや、気配を感じ取って止めようかとも思ったんだが

 なんせアンタが、あそこまでガチな顔するもんだから


 中途半端に止めたら逆に失礼かと思ったんだ


 ほ、ほんと、、あの焦り方、けっさ,,,傑作...」


「ゼノ、ここら一帯に人がいないか

 確認してくれ。コイツをどうにかするのはその後だ」


「ま、まあ、そう怒るなって

 おかげで紹介の手間が省けた」


こっちは手間を負ったがな!


「こいつはマリア=ガーネット

 うちのギルドの”最高ランク冒険者”だ」


は、はぁぁぁぁぁ!!!!


「コイツはギルドの中でも別格なんだ

 固有魔法:霞に千鳥(ファンタジー・ミスト)は直径10μm以下の

 物質を自由自在に動かせる!


 物を温める事から、戦闘、暗殺、窃盗、洗濯など

 どんな有事にも難なく対応!」


今さっき、仕事を押し付けた相手に

よくもまぁ堂々と自慢話をしてくれたもんだ


「ああそうかそれは良かったな」


「しかもコイツ、あの流紋眼の持ち主でもある」


え、マジで?


「じゃ、じゃあ聞くが、コイツにお前がついさっき

 俺に出したクエストそのまま出せば良いじゃねぇの?」

俺の質問にラグナは決まりの悪そうな

表情を浮かべた


「それがそうも行かないんだ」


え?


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