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ロジハラ幼馴染がクンカーの変態で俺の衣類をオカズにしてるってマ?  作者: ミソネタ・ドザえもん


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平塚雄太のトラウマ

 初めて奥村アキラと試合をしたのは、僕がまだ小学生の頃だった。小さい頃から、僕は学校でもテニスクラブでも身長で負けたことがなかった。

 背の順ではいつも後ろ。小さい皆を、列の一番後ろから見下ろす。そのことが昔からずっと誇らしかった。


 僕の特徴は、背が高いことだけではなかった。

 サッカー、野球、水泳、柔道。昔から、どんなスポーツでも誰かに負けたことなんてなかった。


 そんな僕が出会った新たなスポーツが、テニスだった。


 どうせテニスでも、一番になるのは簡単だろう。そんな当時の僕の思惑は当たっていく。初めてしばらく、僕はジュニアの全国大会の舞台まで上り詰めることが出来たのだ。


 ただ、そんな僕を打ち負かしたのは……他でもない奥村アキラだった。


 奥村アキラのテニスが嫌いだった。昔からずっと、嫌いだった。

 ローリスクでテンプレートにはめ込んだようなテニス。まるで機械のようにコントロール良くコースを突き、ウィナーよりもエラーで加点していくのがあいつのテニスだった。


 そんなテニスに、華やかさも鮮やかさも、猛々しさも感じることはなかった。


 あいつの同学年の塩田順平の方が、当時からよっぽど他人を魅了するテニスをしていた。だからだろう。同世代から奥村が人気がなかったのと、塩田の人気が高かったのは。


 僕も、どちらかと言えば塩田のテニスの方が見ていて好きだった。勿論、倒すべき相手として見て思ったことだが。それでも、塩田に負けるのならしょうがない、と天狗になっていた幼少期、初めて来た全国大会の舞台で、あいつのプレイを見てそう思わされた。


 でも、僕に初めて黒星を付けた男は奥村になった。


 それが、気に入らなかった。

 だから僕は、奥村のことが嫌いだったのだ。


 そんな奥村と同じ学校に進んだことはただの偶然。

 過去は過去と割り切り始めていた僕にとって、ズルズルと凋落していく奥村など最早眼中になんてなかったのだ。


 それなのに、僕はまた奥村に負けた。


 あいつは何かと、僕の邪魔をする男だった。

 初めての全国大会の舞台では僕を倒し、一番になれると思った学校では僕の前に立ちふさがり。




 ……そうして、僕の恋を邪魔するそんな憎き男。




 何かと縁のある憎き男に、いつしか僕は不思議な感情を抱き始めていた。


 それは、あの男への恐怖。

 何かと僕の邪魔をするタイミングの良さにも、確実の僕の邪魔をする強かさからも。


 僕は嫌うあいつが、怖くて仕方がないのだ。




 ……そして。




 あの男を、真っ向から打ち倒したいという欲求。

 

 そんな、高くて高くて……思わず畏怖してしまうようなあいつを、僕はいつしかコテンパンに打ち倒したいと思うようになっていたのだ。


 粘りの根津。

 そして、王者塩田。


 あいつのこれまでのドローは決して楽なものではなかった。

 でもそれは、シード枠ではなかった僕が勝ち進んできた道程と比べて、どちらの方が厳しかっただろうか。


 何が言いたいかって、この試合このままあいつが負けた時、僕はあいつに言い訳なんて認めさせないって、そういうことだ。


 初っ端の奇襲によるサービスブレイク。

 リスク度外視のライジングでの左右の揺さぶり。

 

 それらを乗り越え、あいつを術中に嵌めて追い込んだのは間違いなく僕。


 根津でも。

 塩田でもなく……。


 僕なのだ。


 チャンピオンシップポイント。



 このポイントを奪い、僕はお前を超えていく。



 お前を超えて……。





 橘先輩に告白するんだっ!!!




 チャンピオンシップポイントからあいつが放ったのはワイドサーブ。


 今までよりも一層スムーズな体運び。


 この終盤。

 この土壇場で見せた奥村のそんな動きに……僕は目を見張った。



 だが。



 ……だが、もう遅い。




 クロスショットで僕の勝ちだ。




 強烈な僕の打球に、奥村はなんとか追いついた。そして、バックハンドを放つ姿勢を取った。




 これまで奥村は、威力を重視するためにバックハンドは両手で打っていた。

 しかしここに来て、奥村は突如、片手でのバックハンドを放ってきた。


 ここに来て、そんな小細工が通用すると思ったのか。


 低い弾道のボールはクロスに飛び込んできていた。


 だから僕は、そのボールへの返球のため……横移動を始めた。




 ……が。




 ボールは、ネットの白帯に引っ掛かった。




 パサッと乾いた音の後……ボールはネット付近、僕のコートに転がった。


「15ー40」


 ネットイン。

 付いてない。

 思わず、僕は舌打ちをしていた。


 ……焦るな。

 まだ、ブレイクチャンスには2ポイントの猶予がある。


 慌てる必要は、一切ない。


 奥村のサーブに、僕はリターンエースを狙いリスクのあるストレートに放った。


 奥村は辛うじて、そのボールに追いつき……。



 低い……!



 思わずネットだろうと疑うような、そんな低弾道の打球を、放った。




 打球は。




 白帯に当たり……。




「30-40」




 ネットイン。


「……また?」


 思わず、呆れるようなため息が漏れた。

 ここに来て、悪運の強い奴だ。


 本当に。

 本当に、憎たらしくてしょうがない。


 チャンピオンシップポイントからの連続ネットインで、ブレイクチャンスをフイにしかけているだと?

 そんなこと……一体どんな善行を積んだんだ、こいつめ。




 思わず、僕は奥村を睨んでいた。




 ……しかし。




 不敵に微笑みあいつに、身の毛がよだった。




 ……まさか。




 まさか、狙っているのか?




 ネットインを。

 コードボールを、狙っているのか?




 馬鹿な……!


 狙えるはずがない、そんなこと。



 だってそんなの……誤差1センチ以下のコントロールを要求されるような高等技術だぞ?


 プロだって早々出来ることじゃない。


 それを……連続で?




 邪心を振り払うように、俺は首を振った。


 動揺するな。

 慌てるな。


 まだ……。


 まだ、あいつがコードボールを狙っていると、決まったわけじゃない。


 まだ、チャンピオンシップポイントを取り逃したわけじゃない……!



 落ち着け……。



 大きく息を吐いてのあいつのサーブ。



 試合を決めるべく、俺は強打を放つ。




 あいつは、再び辛うじてそれを拾う。




 あいつのラケットの角度。



 低弾道のボール。




 白帯。




「デュース」




 ギャラリーから歓声が上がった。

 三度、ネットイン。



 ……疑う余地はなかった。


 三度も。

 三度も……連続してネットインをさせるだなんて。




 そんなの、狙ってないと出来っこない。



 いいや、狙ってても出来っこない。



 でも、こいつは……。




 奥村アキラは、それを成し得た、というのか?






 奥村は、不敵に微笑んでいた。

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