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ロジハラ幼馴染がクンカーの変態で俺の衣類をオカズにしてるってマ?  作者: ミソネタ・ドザえもん


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塩田順平の願い

「ゲーム平塚、3-0」


 第2セットの終盤の展開を見て、思った通りの試合展開になりつつあった。第2セットの中盤から、平塚はアキラ君の攻撃に対してセンターへのスライスショットを多用していた。

 センターへのスライスショットは左右の揺さぶりを仕掛けるアキラ君にとって、一番面白みのない展開。

 センターに返球されることで左右への角度を付けづらくなるだけでなく、遅い打球のスライスショットであることで、平塚の体勢まで整う始末。


 ゲームを重ねる毎に、アキラ君のストロークのコースが甘くなっていることが見ていてわかっていた。


 そして、そうなればより一層平塚の術中であることは明白だった。

 第2セットはサービスキープで奪取したものの、第3セットはその反動か第2ゲームであっさりサービスブレイク。


 対して平塚は、サービスゲームをしっかりキープ。


 これまで、幾度となくアキラ君の試合を見守ってきた。何なら、一度だって彼の試合をこの目で見なかった日はない。

 ただ、今日ほど苦しそうな顔で試合をする彼を見たことは、これまで一度だってなかった。


 それほどまでに、平塚の作戦はガッチリと噛み合っているというわけだ。


 ビッグサーバーで直情的な思考をしていそうな癖に、随分とクレバーだと思わされた。


「ゲーム平塚、0-4」


「うおお、平塚すげえ」


 ギャラリーがサービスブレイクをした平塚に湧き上がる。


「勢い止まらねえ! こりゃあやべえぞ、奥村!」


 ……平塚の勢いが止まらない、か。

 

 違う。


 アキラ君の勢いが、完全に停止しているんだ。


 粘りの根津。

 準決の僕。


 人によればドローに負けたと思うくらい、決勝までのアキラ君の道程は楽な相手ではなかった。

 あんな、平塚だなんて小童に押されているのは、そもそもこのドローのせいでもあるのだ。




 ……でも。




 それは、試合に敗北する言い訳でしかない。

 そんなことは、言うまでもなく誰もが理解をしていた。




「ゲーム平塚、5-0」




 ……あの時。

 準決勝の舞台で、アキラ君と戦った時。




 僕は、片鱗を見た。




 第1セットは、つまらないアキラ君だった。

 押せば押しただけポイントを取れる、面白みも何もないただのアキラ君だったのだ。




 ……契機は、第2セット終盤。




 ギャラリーの女の子、そう、丁度今隣にいるこの子に、アキラ君は何かを話しだした。

 その後から、彼のプレイが変わった。


 いつもはローリスクを心掛けるのに……あの時のアキラ君は、どんなリスクだってお構いなしに突飛に強気に攻めてきた。


 そして迎えた第3セット。


 ……その時見せた、アキラ君の不敵な微笑み。




 あの微笑みに……僕は、片鱗を見た。




 アキラ君が。

 あの時の、楽しいアキラ君が戻って来たんじゃないかって……。



 その片鱗を、確かに見たんだ。




 ……君は、ずっと僕の憧れだったんだ。




 苦しいだけだった僕の人生。唯一の生きがいは、父の嬉しそうな顔だった。





 そんな僕の人生に彩を与えてくれたのが、君なんだ。




 ……他でもない、君なんだ。



 どんな逆境でも。

 どんな辛い場面でも。



 あの時の君は、笑顔でそれに向かっていった。




 ……今ならわかる。




 あれが、あの笑顔が君の強さの源だった。

 そんな強さの源の笑顔だから。


 笑顔が武器の君だから……!




 僕は、君のことが好きなんだ。




「0-15」




 ……戻って来い。




「0-30」




 戻って来い、僕の好敵手。




「0-40」




 戻って来い……!




 奥村アキラ!!!






 遂に握られたチャンピオンシップポイント。


 あと1ポイントで、全てが終わる。


 この試合の全てが……。




 体感したことがある身だから、わかることがある。




 チャンピオンシップポイントを握られたあの状況は……身も震え上がるような、思わず逃げ出したくなるような、そんな畏怖する場面。




 半端ではない緊張とストレスと、不安と……。




 そんな顔が凍り付くような、そんな場面。





 ……彼は。




 アキラ君は……。






 不敵に、微笑んでいた。





 その笑みが、かつての彼に重なった。

笑顔フェチ

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