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ロジハラ幼馴染がクンカーの変態で俺の衣類をオカズにしてるってマ?  作者: ミソネタ・ドザえもん


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32/75

狙い通り

 先日の練習試合の対策もあっさりと破られ、そこからはひたすら耐えるテニスとなった。

 強烈な平塚のサーブ。

 強烈な平塚のストローク。


 試合前のギャラリーの下馬評では、この試合の勝敗は平塚有利だった。理由はその強烈なサーブ。確かに、決勝の舞台でも、臆すことなく平塚は強烈なサーブでのサービスエースを連発していた。

 もしそんなサーブに対する妨害策があるならば、どれだけ気楽なものだったか、と思うと歯がゆくて仕方がないが……その術がないなら、俺の狙いはただ一つだった。


 あの強烈なストロークを打たせない。


 ハイリスクローリスクを気にしないひたすらの左右の揺さぶり。とにかく、俺は平塚を左右に振り続けた。

 しかもライジングショットでテンポを速めた上で。


 今日の俺だって、平塚に負けず劣らずサーブの調子が良い。

 だけど、俺が第8ゲーム以降でサービスブレイクを許さなかったのは、そのサーブの調子の良さよりもリスクを恐れない強気な攻めのおかげだった。

 ストローク封じで、何とかサービスゲームはキープを続けた。


 しかし、エラーの多さ、平塚のサーブを攻略する術は今のところまだ見つかっていなかった。


「ゲーム平塚。6オール。12ポイント、タイブレーク」


 そして、準決勝第3セットと俺にとっては連続してのタイブレークに突入した。


「うわあ、奥村辛いな」


 ギャラリーの声が聞こえた。

 何を言いたいかはわかった。

 準決勝の試合、ただでさえ俺は塩田君と死闘を演じた。その上でこれからまたタイブレークに突入するような接戦を演じるだなんて、体力的に辛いだろう。連中は、そう思っているのだ。


 ただ、俺はこの試合展開に悲観的な気分はまるでなかった。


 何故なら俺は、どっかの誰かとの特訓のおかげで、前に比べれば目覚ましいくらいの体力強化を果たせたからだ。


「1-0。平塚リード」


 とにかく、俺の作戦は一貫していた。

 ひたすら平塚を左右に振る。早いテンポで、万全な体勢でストロークをさせない。


 それにより俺自身のエラーの確率も増えているが、少しずつ練度も増してきていて意図通りの球を打てるようになってきている。


「2-1。奥村リード」


 これを続ける。


「2-3。平塚リード」


 ひたすら、これを続ける。


 良い兆候だ。

 平塚のサービスに得点出来なかったが……平塚のサーブに圧倒されることがなくなりつつあるのだ。


 平塚のサーブは、いつかの練習試合の時より球威も球速も増している。

 でも、1セット分もその球筋を見れれば、ある程度目は慣れてくる。

 ベースライン前でリターンすることに執着しきっていたのも、早くに目が慣れた要因の一つだろう。


 ここまでの試合展開。

 体力的に辛くない、と言えば嘘になる。


 でも俺は、この試合展開に悲観はしていない。


 1ゲーム、1ゲーム。

 1ポイント、1ポイント。


 1ショット、1ショット。


 全てのプレイは繋がっているのだ。


 平塚に余裕を作らないためにしていたベースライン前でのリターンがサーブに目を慣れさせる要因となったように、一切嚙み合っていないように見えたプレイ一つ一つが、実は密接に絡み合っているのだ。


「4-6、平塚リード」


 セットポイントを握られた。

 でも焦りはない。


 例え、この1セットを取られようが。


 例え、このポイントを取られようが。


 この試合はまだ……まだまだ、終わらない。


 自信ともとれる確信を、俺は内心で持っていた。


 だから、平常心でプレイが出来た。


 ……結果は、


「アウトッ」


 コーナーギリギリを狙った俺のショットが、白線の外でバウンドをした。

 アウト。


「ゲームアンドファーストセット。平塚。7-6」


 ギャラリーから歓声が上がる。

 最後は互いに手堅い展開となったが……まずは下馬評通り、平塚が1セットを先取した。


 ベンチに向かい歩きながら、俺は俯き俺の隣を横切る平塚に目を配った。




「なあ、平塚」




 そして、作戦がハマっていたことに気付き、俺は思わず平塚を呼び止めていた。


 ゆっくりと振り返ると……同じく、気だるそうにこちらを振り向いた平塚と、目が合った。




 全てのプレイは繋がっている。

 我ながら、確信に近づく考え方だと思った。


 ハイテンポで左右に強引に振り、平塚に大勢を立て直す隙を与えないようにこのセットは取り計らって来た。

 でも、その結果相応のリスクが俺にもあった。


 それが、最終ポイントを取られたようなエラーの多さ。

 頻発したエラーと強烈なストロークを浴びせられながら耐えること。


 果たして、どちらの方が勝ち筋としては高かったか。


 人によって意見が分かつくらい、その差は微々たるものだと思う。


 でも俺は……今、平塚の顔を見て、確信した。




 このセットはこの攻めをして、正解だったと。




 全てのプレイは繋がっている。

 

 

 平塚に余裕を作らないためにしていたベースライン前でのリターンがサーブに目を慣れさせる要因となったように、一切嚙み合っていないように見えたプレイ一つ一つが、実は密接に絡み合っている。

 この展開も。


 平塚を強引に左右に振った展開も、今セットを落として意味を成した。




「お前、凄い汗だな」




 強引に左右に振った結果、平塚はコートを目一杯走らされることとなった。その結果、滝のように多量の汗を掻いていた。


 体力勝負となった時、ギャラリーは果たしてどちらが有利だと考えていたか。


 答えは明白。それは平塚だ。

 強力なサーブを武器にここまで勝ち上がってきた平塚は……恐らく、ここまでの試合は体力をかなり温存して戦えてこれていたはず。


 だから、ギャラリーはそう思ったのだ。


 ……でも。


「形勢逆転だな」


 不敵に、俺は微笑んだ。


「……抜かせ」


 そう悪態を突く平塚との第2セットが始まった。

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