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安心と喜びも束の間でした


「てことは、私がこの冷蔵庫から出した食材で料理しても、魔王たちにはあんまり意味無いってことだよねー…」


魔力0のもの食べても、霞食べてるみたいな。


「違いますっ!!」


魔王が口を開く前に、オピスが立ち上がり、ソファに座ったままの私の両手を、その冷たい両手でぎゅっと包んだ。くっ…やっぱり美少年…!


「ハナ様のお料理、魔力はありませんでしたが、魔法のようでした!素晴らしいことです!これは紛れもなく神子様のお力です!」


違うんだ、日本の優秀な調味料と調理器具のお陰なんだ…いたたまれない…!

そのまま私の隣に座ろうとしたオピスを、軽々と放り投げて、魔王が腰を下ろす。これ、1人でもゆったり座れるように2人がけのソファなんだけど、実際2人で座るとめちゃくちゃ狭いな!


「おれたちにだって味覚はあるし、美味いもん食べたら幸せだよ。それにウチのポテトと、小麦から作ったパンもあったから、0って訳じゃないし」


幸せ、という、どストレートな台詞に顔が赤くなる。


「いや本当、久しぶりに食べたメシがハナちゃんので良かったよ。3年ぶりくらい?キリの料理もなぁ、食えないわけじゃないけど、毎回あんな感じの生肉だからなぁ」


キリ、という人は、私の朝食を作ってくれた料理番の方なのだろうか。ていうか聞き流しそうになったけど、3年ぶりの食事なの!?魔力大丈夫だったの!?


「魔王様は規格外なので、長い間食べなくても大丈夫なんですよぅ」


床に座り込んだオピスが、不貞腐れたように言う。


「オピス、おれ仕事してくるから、ハナちゃんにこの世界のこと、色々教えてあげて」


そう言うと魔王はソファから立ち上がった。リビングを出ようとして、何かに気づいたように振り向く。んー、と少し考えて、胸の前で自分の拳をぎゅっと握った。昨日、魔王がこの姿になったときと同じようなモヤが拳を包む。それが消えて解かれた手のひらには、ころりとした、紫色の宝石のようなものが乗っている。


「これ持ってて」


そう言って手渡されて、思わず受け取る。蛍光灯の光にかざすと、魔王の瞳のように、中心に濃い紫色が揺らめいている。


「ハナちゃん、とりあえず魔法は効かなかったけど、物理はまだわかんないから。それは御守りみたいなもん」

「え、魔法効かないって何?試したの?なんかしたの!?ねぇ!?」

「やべっ」


逃げようとする魔王を追いかけようとするが、袖をぐいっと引かれて、あえなく再び腰を下ろす。見ればいつの間にか隣に座り直していたオピスが、語尾にハートマークが付きそうな笑顔で言った。


「ハナ様は、これからお勉強の時間です」

「えっ…ちょ、お手柔らかに…!?」


あっこれ長くなりそうなやつだ…!



お読みいただきありがとうございます!

誤字脱字、ご感想などありましたら、教えていただけると嬉しいです!

少し短めの投稿で申し訳ありません(;▽;)

次回はひたすらオピスが語りますので、お付き合いください。

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