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カロリー摂取後の下準備です

「え、なにそれもしかしてヤキモチ焼いてるってこと?」

「いや違うけど」


あれはマオから貰ったお金であって、それを本人に返すのも…と思ったけど、お母さんから貰ったお小遣いで、母の日のプレゼントとか上げてたしな…。

どうしよう、キリにあげたのだって深い意味はなかったけど、正直マオになんか買ってあげようとか思ってもなかった…!


「おれには?」

「うっ…!」


ねだったわけじゃないけど、パジャマを買ってもらった手前、とても居心地が悪い…。


「あっ!マオ、これあるよ!!」


はっと思い出して『それ』を取り出す。

さすがに金属製だからか重い…!


「…それなに?」

「ミンサー!お肉ミンチにするやつ!」


そう、これでひき肉ができるのだ!


解体屋さんに行った帰りに、骨董屋さんと思しき所で発見したのだ。

お店のおじさん曰く、ちょっと大変だけど、魔力が無くても使えるよ~とのことで、ハンドルも滑らかに動くし、喜んで買ったんだった。


「それはハナちゃんのでしょ?」

「そ、そうだけど、これで美味しいごはん作るから!」

「だって皆食べに来るから、おれにってことじゃないし~」


じとっとした表情は演技だったらしく、今はニヤニヤといじわるな目をしてマオが言う。


「じゃあ今日は二人でごはんにしよう!いいもの作るから!」


カップ麺も食べたことだし、夜ご飯を作る気力は十分にある!

そう意気込むと、こらえきれないと言ったようにマオが吹き出し、いつものように私の頭をぽんぽんと叩いた。


「ぷっ。嘘だよ、今日くらい夜もゆっくりして」

「いや、ミンサー試してみたいし」


思わず本音が漏れる。

いやだって向こうの世界では、ひき肉はその形になってるのを買ったことはあっても、自分でやったことはないし…!


「ほんとに料理好きなんだねぇ」


呆れたようにマオが言う。


「じゃ、お昼はたくさん働いてもらったから、せめて夜は二人にしよう。いいね?」

「うん!そしたら早く準備しなきゃ!」

「えっ、もう?」


今日のメニューは難しくないけど、ひき肉で作ったタネを少し寝かせておく必要があるので、下準備だけしてしまおう。


「ちょっと時間かかるから、マオ休んでていいよ!」

「これはそっちの台詞なんだけどね…。おれは自分の部屋にいるから、なんかあったら呼びなよ」


さて、マオを見送ったら早速支度をしなきゃ。

大人2人のごちそうといえば…。


「久しぶりにアルコールいっちゃうか!」


まぁ今までも、キリを除いて全員成人済みだったんだけどね。


こっちの世界にもお酒ってあるのかな~?

なんとなく魔族とかアルコール強そう…樽で飲んでそう…。


「お酒に合って、ひき肉使うと言えば…メンチカツ!」


ハンバーグもいいけど、お昼が軽めだった分がっつり食べたいし、揚げ物にしちゃお~。


「ミンサーって初めて使うんだけど、これでいいのかな…」


キリに分けてもらったブラッドブルのお肉を適当に切り、ミンサーへ入れる。

これでハンドルを回せば、受け口にひき肉が出てくるはず…なんだけど!


「う、ぎぎぎ!か、固いっ!」


こ、これは重労働…肉質の問題なのか…?

店先でくるくるしたときは滑らかだったのに!


「筋トレになりそう…!」


こんなことなら元の世界にいるとき、電動のやつ買っておくんだった。

でも向こうじゃ使わなかったしなあ。


なんとか分量に足りるくらいを挽いて、あとは一緒に捏ねる野菜を切る。

玉ねぎと、キャベツと人参で具沢山にしよう。

野菜が入ると、なんとなく揚げ物の罪悪感が軽くなる…気がするのよね。


野菜をすべてみじん切りにして、ひき肉に混ぜる。

卵とおろしにんにく、塩胡椒、お酒で味付けして、さらにこねこね…。


「ひき肉使えるようになったら、お料理の幅も広がるよね~。コロッケもできるし、ハンバーグ、餃子とか!」


この辺は食堂でもメニューにできる気がするなぁ。


だいぶ柔らかめのタネなので、そっと成型して大きめのお皿に移して、ラップして冷蔵庫に。


「これだけじゃちょっと足りないかな~」


せっかく揚げ物するなら、もう一品作ろうかな!

とはいえさすがにまだ早いから、こっちも下準備だけだけど。


「キリのところから貰ったお芋、ほくほくで美味しかったから、ポテトフライにしてみよう」


表面はキレイなので、たわしでごしごし洗って土を落とす。

小ぶりなので、皮付きのまま串切りにしよう。

これは衣をつけずに揚げるだけなので簡単!


あとは魔法の冷蔵庫からきゅうりを取り出して、板摺したら斜め切りにし、塩昆布と一緒にポリ袋に入れてもみもみ。

これで他のメニューが完成するころには、いい感じに漬かっているはず!


下ごしらえと洗い物を終えて、ほっと一息つく。


お肉続きだけど、明日の食堂でハンバーグとかどうかなぁ?

キリの力ならミンサーも軽々だろうし、タネさえ作っておけばあとは焼くだけだもんね。

それとごはんとパンは選べるようにして…。

彩にレタスとトマト、はこっち産だから、人参のグラッセと今日みたいなポテトフライ…いやでもあの厨房で揚げ物は…。


ソファに座り込み、そんなことを考えているうちに、意識が段々と遠のいて行った。


お読みいただきありがとうございます。

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