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忙しくなって参りました



「マオ、一番大きいお鍋にお水入れて。あとキリは、昨日の夜うちで使ってたような丼と、スープ入れるようなカップも出して!ありったけ!」

「なんかお前生き生きしてねぇ?」

「だってせっかく来てる人たちに、適当なもの出せないでしょ!お金ももらうんだから!」


ちょっとお手伝いのつもりが、大変なことになってしまった。

でもここまで来たらもうやるしかない!

そしてやる以上は全力でやるのが私のモットーなのだ!


「キリはそれ終わったら、私が持ってきたお野菜を食べやすくちぎって、お水で洗って!」

「おれは?おれは?」


寸胴鍋にお水を入れてくれたマオが、心なしか楽しそうに言う。

なんか普通に手伝ってくれるけど、この人魔王なんだよね…ありがたいけど。


「マオは…とりあえず待機で!ていうか手伝わせちゃってるけど、大丈夫なの?朝からごめんね?」

「今日はもう休みってことにしたから大丈夫。そういやここ50年ほど休みもなかったしね」


なんというブラック企業…!

管理職でも法定休日は取らないといけませんよ…。


そう聞くと更に申し訳ないけど、この後洗い物とかありそうだし、マオが良いって言ってくれるなら、このままお手伝いしてもらおう。


玉ねぎと人参は薄切りにしてお水から煮る。

部屋から持ってきた大量のコンソメキューブを入れて、蓋をして暫く煮ることにした。

この寸胴鍋なんて水入れたら多分持ち上がらないな…マオ居てくれてホントに良かった。


さて、あとはお客さんが来るのを待つのみ!!






「わー!マオ!洗い物溜まってきたからお願い!」

「はいはい」


あのね、正直舐めてた。

いつもより人が多いとはいえ、メニューは一品だし、ローストビーフは切るだけだし、ごはん盛って、レタス乗せて、お肉の上からタレ掛けるだけ。

そしてスープはよそうだけ。


なのにめちゃくちゃ忙しい…!!


「うわああ…もっと切っておけば良かった…!」

「米はどんどん炊けてるし、肉も多少生でもいいだろ!ピースカ言うな!」


もうずっとお肉切ってる…!

キリの作ってた生肉ランチでも文句出なかったらしいから、多少保温する時間が足りなくてもいいでしょ!

という気持ちと、いやいやせっかく来てくれた人に生もの出すのは…!という気持ちがせめぎ合う。


そして意外と時間を食っているのは…。


「いやぁ神子様、手ずから料理を振る舞うとは…有り難き幸せでございます」

「いえいえ成り行き上…」

「神子様〜今度いろいろとお話お聞かせください〜」

「あっはいまぁそのうち…」

「ごはんおいしかった!よるもやる?」

「アリガト〜。夜はまだわかんないな…」


みんな神子様に興味津々すぎか!!!

いやでもこの前召喚の儀とか言っていっぱい人集めた挙句、たしか私、「盛り上がっていこー!」とかしか言ってないもんね!?

あのとき本格的なハロウィン会場だと思ってたし!


集められたり話にだけ聞いてる人たちからしたら、そりゃまぁ気になるよね!


なんだコイツって思われてもしょうがないところ、概ね好意的な声が掛けられるのは嬉しいんですが…!


「おい!てめぇ、くっちゃべってる暇があるなら肉を切れ、肉を!」

「わかってるけど〜!」

「まぁまぁお2人とも落ち着いて、お客さんの方もぼちぼち引いてきたみたいだよ」


そうマオに宥められて、そっと食堂の外を覗き見る。

もういい加減に並んでる人は居なさそうだ。


てことは今、料理待ってる人と、席で食事してる人で終了かな、たぶん。


「ま、まさか100人近く来るとは…」

「最初の方、外まで並んでたもんねぇ」


さすがに牛5頭分は食い尽くされていないが、お米がやばかった…!

ちょっと待っててくださいって言えるほどすぐ炊けるものじゃないし、何人来るか分からないっていうのは中々の脅威だ。


「ああっ、まだ開いていてよかった!!」

「オピス!!」


用意した材料も少なくなってきたし、そろそろ閉めようかと思っていたところで、フラフラになったオピスが飛び込んできた。

カウンターに倒れ込むようにして、か細い声でランチを注文する。


「わぁ、なんかヘロヘロだねぇ」

「魔王様に言われたトラップ解除、全て終わらせてきました…!」


のんきな声でマオが言う。

昨日の話じゃまだまだかかりそうだったところを、今日一日で終わらせたというから、相当無理をしたんだろう。


「魔王様ばかりハナ様と一緒にお出かけなど…わたくし、どうしても許せなく…!!」


執念だなぁ。

ていうか…!


「オピス!勝手に私が作るとか書いたらダメでしょ!おかげですっごい人だったし、大変だったんだから!」

「噂はこちらまで聞こえておりましたよ。大盛況だったようで」


悪びれもなくにっこりと笑う。

大盛況かもしれないけど、デビューもっとこう、穏やかな感じで行きたかったんだよ!





お読みいただきありがとうございます。

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まだまだありそうなので、発見した際には、お手数ですがご連絡ください(;▽;)

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