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なぜか楽しいお弁当作りです

帰り際、キリがまだ物足りなさそうな顔をしていたので、マリーさんがいるときに握っておいたおにぎりをこっそり渡して、私は再びお米を炊いています。

なんでこっそりかと言うと、マリーさんもまだちょっと食べられそうな顔をしていたから!


マリーさん、最初に部屋に行ったときに持って行ったパウンドケーキ、あの時に全部食べてましたよね…?

そしておにぎりも食べましたよね…!?


魔族の食事は魔力回復だけど、胃の容量はどうなってるのかなぁ。

私よりはるかに細い体でモリモリ食べてて、羨ましいような気がしないでもない。

食べたそばから魔力に還元されているんだろうか?

今日はマオの部屋のお掃除も、食器の片づけまでしてもらったし、いっぱい魔力を使ったということにしておこう。


「さて、明日の準備とは言われたけど…」


洋服は動きやすいものを出しておいたし、明日朝早くに出発ということなら、朝ごはんでも作っておこうか。

キリのことだからどうせ出発ギリギリの樹幹に来るに違いない。

てことはお弁当みたいな感じの方が良いかな。


キリは夜食にしてるかもしれないけど、お弁当と言えばやっぱりおにぎり!

だいたいこんな大量のお米があるのに、ほとんど使わないで備蓄に回しているなんてもったいない。

ここは異世界にお米食を浸透させて、たくさん食べてもらわなければ!


「厨房の手伝いのことは一回忘れよう…ブラッドブルのお肉が獲れなければ、レシピの変更もあり得るわけだし」


今考えてもしょうがないことは考えない!


お米が炊き上がる前に、中の具材を作っておこう。

マリーさんに好評だったツナマヨと梅干、鮭は今グリルで焼いているし、あとはおかか…。


おかずもあった方がいいかな。

と言ってももう夜中なわけですし、卵焼きと、お弁当ときたらたこさんウィンナー!こんなもんでいいでしょう!


仕事が忙しくて、久しく自分用のお弁当も作っていなかったなぁ。

誰かが食べて喜んでくれるところを想像しながら作るのは、なんだか楽しい。


卵をボウルに解きほぐして、液体の白だしをお水で割って入れる。

白だしって一発で味が決まるし、ちょっとお高いけどこの冷蔵庫なら使い放題だし、ありがたいんだよね~。


熱した卵焼き用の四角いフライパンに油を引いて、キッチンペーパーで伸ばして…。


「勇気を出して強火のまま投入!!」


強火のまま手早く巻くと、時間が経ってもふんわり柔らかいだし巻き卵ができるのだ!

じゅわっと音を立てて、卵液にふつふつと気泡ができる。

大きいものだけつぶして、くるくると巻いて端に寄せ、開いたスペースに再び卵を流し入れる。


これはまたオピスが羨ましがりそうだなぁ。

明日、ロック鳥なる魔獣の卵を手に入れられたら、私のために頑張ってトラップを解除して回ってくれてるオピスには、特別に何か作ってあげよう。


「だし多めだと美味しいけど、ふわふわで巻きづらい…っと」


なんとか体裁を整えて、最後の卵を巻き終える。

あとはまな板に出して、すのこで巻いて冷ましておけば、なんとか見えるものになった。


たこさんウィンナーは、切れ目を入れて炒めるだけなので簡単。

ちょっとしたひと手間だけど、なんかコレやりたくなっちゃうんだよね~。


おかずを作っている間にお米が焚けたので、どんどん握っていきます!


マリーさん、ふっつーに海苔も食べてたし、巻いちゃっていいかな。

コンビニのパリパリ海苔も革新的だけど、炊きたてご飯の湯気で湿った海苔の香りは…もうたまらんね!

日本人のDNAに刻み込まれているんじゃなかろうか!


思わず手が伸びそうになるけど、私が食べたものは魔力には還元されず、余った分はそのまま脂肪になるだけなので、ぐっと堪える。


まだほかほかのままだし、ここで明日まで冷ましておいても大丈夫だろう。

ふとリビングのテーブルに目をやると、マリーさんにあげたパウンドケーキの残り、私が昨日焼いて切れ端を味見したものがラップに包まって置いたままになっている。


「夜みんなで食べようと思って忘れてた…」


日持ちはするものだけど、どうしようかな。

これも明日持っていたら、朝から焼き菓子は重いかもだけど、キリなら食べてくれるかもしれない。


そんなことを考えていると、玄関の外、つまりマオの部屋から、なにやら物音がすることに気付いた。

マオ、まだ起きてるのかな?

ていうか寝ないのかな?せっかく部屋もベッドもきれいになったのに。


玄関を開けると、うすぼんやりと明かりがついていて、マオは窓際に置いた自分の机で、紙に埋もれながらごそごそとやっている。


「マオー…?」

「わ、まだ起きてるの」


机に置いたランタンの明かりで、マオの顔に影が出来ている。

つくづく、角さえなければ普通の男の人だよなー…。



お読みいただきありがとうございます。

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